「ラヴ・レターズ」

6回目の「ラヴ・レターズ」。前回は、TOSHI-LOW×大空祐飛(現・ゆうひ)。感想は、こちらです。 「ラヴ・レターズ」は、アメリカに住む男女の約50年におよぶ手紙のやり取り、という設定の戯曲を、男女の朗読という形式で、ステージ化した作品。 今回の出演は、矢崎広×妃海風。 パルコ劇場が建替中ということで、今回は、草月ホールでの開催となった。また、演出の青井陽治さんの死去により、演出家が藤田俊太郎氏になっている。藤田演出での「ラヴ・レターズ」は初観劇だ。青井さんの時は、リハーサル以外に出演者へのレクチャーを行っていた(若手の俳優の場合は8時間くらい)そうなのだが、藤田さんはどうなんだろう初演からの年数が経過するにつれ、作中に登場する言葉の意味は、どんどん分かりづらくなっていくように思う。 会場が変わったせいか、演出が変わったせいか、新鮮な気持ちで観劇。矢崎の持ち味って、アンディっぽいな~と、あらためて思う。揶揄されるくらいに真面目で、真摯で。でも、それだけじゃない…みたいな。妃海の持ち味も、メリッサかもしれない。オタクな芸術家って感じで。6回目ともなると、ああ、どこですれ違っちゃったんだろう…みたいな、忸怩たる思いは、すっかりなくなっていて、こういう二人だから、すれ違うのも必定、結婚してたら、ラヴ・レターズは続かなかったし、これでよかったんだよ…という視点になってくる。そういう目で観ているせいか、それとも、本当にキャラが合っているせいか、見事なアンディとメリッサだった。 唯一の失点は、照明…

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「モマの火星探検記」ミニ感想

「MOMAの火星探検記」 原作:毛利衛「モマの火星探検記」(講談社刊)脚色・演出:毛利亘宏 照明:斎藤真一郎音楽:YODA Kenichi衣装:村瀬夏夜舞台美術:秋山光洋舞台監督:横尾友広音響:井上直裕(atSoud)演出助手:本藤起久子振付:エムジェイ(パシフィック・カンパニー)ヘアメイク:林美由紀小道具製作:和田由里子スチール:金丸圭宣伝美術:田中ユウコ、me keyタイトルデザイン:武田和香WEB:田中ユウコ製作:少年社中、東映 2月に続いて今年2回目の少年社中。しかし、ぴあの先行抽選に当たったはずなのに、3階席って…どんな配席なのさすがに、3階まで満席ですけどね。でも、今回、すっごい見切れた。センターがまったく見えないなぜなら、男性客が多いから(笑)劇場に男性客、もっと来てほしいな、と思いつつ、座高の高い客、前に来るな、と思ってしまう身勝手な客ですいいんですよ、見切れても。その分、サイド席、2-3階席の値段を下げてくれるならね。とにかく、いまだかつてないほどに見づらい銀河劇場でした。物語は、宇宙飛行士となって火星探査に出掛けたモマ(矢崎広)を中心とするストーリーAと、仲間とロケットを飛ばしたくてしょうがないユーリ(生駒里奈)という女の子を中心とするストーリーBが交錯する。ちなみに、これ、「日本初の宇宙飛行士」としてNASAに派遣され、無事に任務を果たされた毛利衛さんが原作者なのね。とすれば、主人公の名前「モマ」は、モウリ・マモルから来ているということか。するとユーリの名は、世界初の宇…

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推しの結婚

応援している俳優、矢崎広(29)が結婚を発表した。 なにげに「推しが結婚」とか、初めてなので、動揺中。 まあ、あれですよ、推しとか言っても、相手は「若手俳優」なので、そもそも、ファンではあっても恋ではない、とか思っていたつもりが…「おめでとう」という気持ちと「ちっ」という気持ちが交錯するのは、女というのは、いつまでも女なんでしょうね。 友人知人によれば、推しの結婚相手が芸能人の場合、自分がその相手を好きかどうかで、推しへの気持ちも変化するとか。 どうやら、そちらの心配はなさそうなので、家庭を持ち、さらに高みを目指す「ぴろし」を、ゆる~く応援していこうと、あらためて思った7月4日なのでありました。 (30歳直前に身を固めるとは、オトメだなぁ~)

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「魔王コント」

「魔王コント」脚本・演出:家城啓之美術:泉真舞台監督:谷澤拓巳演出助手:大歳倫弘音響:平井隆史照明:岡野昌代衣裳:中溝ゆうき、安樂岡真実衣裳装飾:田中霧香メイク:森下奈央子、薩日内麻由映像:横山翼、藤田陽平音楽:横川涼今年も、女優界では、大空ゆうひ、男優界では、矢崎広&多田直人のコンプ観劇を目指す私ですが…こんなに早く本多劇場に帰ってくるとは、思ってなかったです…(笑)「魔王コント」は、芸人を引退したまんぼうやしろ改め家城啓之氏の筆になる芝居、いやコントRPGみたいな設定で始まり、「魔王」を倒す!と宣言した「勇者」というか、つい言っちゃったお調子者の顛末についての物語。魔王と戦い、敗れて、このまま死ぬか、生き返って魔族(魔王の部下)になるかを迫られ、魔族になることを選ぶ主人公。そして、第2部は魔王の部下として出世していく物語が描かれる。タイトルに「コント」という言葉があるように、全体的に、すごく笑いが意識されている。出演者にNON STYLEの石田明を起用しているのもその一端だと思う。その一方で、世界観はすごく絶望的。人間という生き物がいかに愚かであさましいか、というところに踏み込んでいる。死ぬか、魔族になるか、の二択を迫られた時、それぞれのキャラが簡単に魔族となって、人類を駆逐しようとする。最初はためらっていても、一人殺せば、簡単に大量虐殺ができるようになる。一方、人類の滅亡を防ぐために人類共通の敵となって計画的に人類の人数コントロールをしている「魔王」もまた、孤独な存在で、ずっと魔王をやってい…

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朗読劇「私の頭の中の消しゴム」

「朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter」脚本・演出:岡本貴也原作:「Pure Soul~君が僕を忘れても~」よみうりテレビ2001年制作舞台監督:小野貴巳美術:木村文洋照明:藤田典子音響:ヨシモトシンヤ宣伝美術:トライボール協力プロデューサー:東圭介プロデューサー:中西研二、西田知佳、柳本美世企画:木村元子2010年から上演されている男女がペアで行う朗読劇。パルコ劇場がやっている「Love Letters」のように、男女が交互に朗読を行う。1回のシリーズに何組ものカップルが出演するというのも同じ。両作品に出演している俳優も多い。会場の銀河劇場は満席で、人気の高さをうかがわせる。私が観劇したのは、『矢崎広×三倉茉奈』の回。初めての“消しゴム”体験だ。この作品は、2001年によみうりテレビで制作された「Pure Soul」というテレビドラマ(永作博美・緒方直人主演)を原作としているが、タイトルは、このドラマをリメイクした韓国映画のものを使用している。でも内容はあくまでも「Pure Soul」。舞台は日本で、登場人物の名前もドラマと同じになっている。朗読劇といっても、「Love Letters」のようにすべてを朗読のみで済ませるのではなく、たとえば、映像が出たり、二人が立ち上がって芝居に入ったり…という部分がある。100%演劇ほどではなくても、やはりある程度の稽古は必要かな、と思った。(「Love Letters」は、逆に、読み合わせ1回しかしてはいけない、という厳格なルールがある完全な朗…

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「BIOHAZARD THE STAGE」観劇

「BIOHAZARD THE STAGE」原作:CAPCOM(「BIOHAZARD」シリーズ)脚本・演出・映像:ヨリコ ジュン  企画・原作監修:小林裕幸(CAPCOM) 美術:中西紀恵  照明:宮野和夫  映像・CG:星野安規  音響:戸田雄樹 衣裳:佐藤憲也  ヘアメイク:中原雅子  アクション・ステージング:浅井星光(RHYTHM COLLECTION) 演出助手:菅田恵子  舞台監督:井坂 舞  舞台コーディネート:成本活明 宣伝美術:永瀬祐一  公式HP:メテオデザイン制作:山本茂、黒永郁美、神戸丈志、たけいけいこ プロデューサー:都田和志、山浦哲也 制作:エースクルー・エンタテインメント、エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ主催:「BIOHAZARD THE STAGE」製作委員会「BIOHAZARD」というゲームがあることすら知らない、こりゃ、完全アウェーでしょとか思いながら、行ってきました。舞台はオーストラリアの大学。そこでレベッカ(飛鳥凜)が講義をしているところから、物語はスタートする。学生には、ルーカス(木村敦)、オリヴィア(紗綾)のラブラブカップルや、ちょっと暗いメアリー・グレイ(倉持明日香)などがいる。この大学で突如バイオテロ事件が起きる。生徒が次々とゾンビ化していくのだそこへ、やってくるのが、ゲームでおなじみのピアーズ(栗山航)、クリス(中村誠治郎)、そしてオリジナルキャラのソフィー(Raychell)の3人と、別ルートで大学に潜入するタイラー・ハワード(矢崎広)。ハワー…

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「しっぽのなかまたち」

朗読劇「しっぽのなかまたち」脚本:江頭美智留、岡本貴也、広田光毅演出:岡本貴也音楽・演奏:森大造音楽:五十嵐宏治、森大造舞台監督:小野貴巳美術:柴田隆弘照明:藤田典子音響:中島聡演出助手:杉山恵朗読劇…というかなんというか…イケメン俳優とアイドル女優によるファンサービスを兼ねた興行という側面は否めない。客席参加型の楽しい朗読劇ってとこかな。3本のものがたりが上演される。音楽は、ギターの生演奏。ものがたりには、すべて、犬と猫が登場する。そして、そのものがたりは、犬と猫と人間のものがたりになっている。第1話は、「六畳一間の王国」(作・広田光毅)龍之介:矢崎広夢想志朗:阿久津愼太郎名無し:松本優希金谷:青柳塁斗雑種犬の龍之介を拾い上げてくれた貧乏な青年、夢想志朗は、龍之介のことを書いた小説で、一躍人気作家となる。そして、六畳一間に住んでいた1人と1匹は、大きなマンションに転居する。ドッグフードはいつも牛100%龍之介は、名無しの猫に自慢たらたら。しかし、本当のところ、志朗は一発屋で、家賃すら支払えない状態だった。取り立て屋の金谷は、金の代わりに龍之介を連れて行こうとする。ゲンキンな龍之介は、金谷の出すドッグフードに惹かれて、そちらに行ってしまうのだが…非常にツンデレな、自分をわかっていない、オレ様な龍之介が、可愛くてたまらない…という話だな、これは。可愛いネコの名無しちゃんは放置で、男同士、1人と1匹が、ひたすらラブラブしている物語でした龍之介は素直じゃないけどね第2話は、「別れ話(さよなら、ありがとう…

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シアタートラム「女中たち」観劇

「女中たち」作:ジャン・ジュネ翻訳:渡邊守章(岩波文庫版)演出:中屋敷法仁美術:土岐研一衣裳:太田雅公照明:松本大介音響:鈴木三枝子ヘアメイク:小林雄美演出助手:入倉麻美舞台監督:白石英輔+村田明この演目を知ったのは、数年前、Studio Lifeの石飛幸治と林勇輔が外部の女優さんと三人芝居をすることになり、行こうかな、と、タイトルを覚えた。結局スケジュールの問題で行けなかったのだが、その公演、もうチラシも配布している段階で、あわや上演中止になりかかった。結局、「今回限り」ということで、上演できることになった、という、ひやひやものの公演で、その理由が「男女混合キャスト」だったらしい。そもそも、「女中たち」は、三人の女性のみによる演劇。だから、三人の女優が演じる、というのが普通だと思うが、三人の男優で上演することも多い。3軒茶屋婦人会(篠井英介・深沢敦・大谷亮介)もやっているし、元祖声優アイドルの井上和彦・三ツ矢雄二・水島裕でも昨年上演した。なのに、混合はダメなんだーと、その時、思ったのだが、きっと、女中姉妹を男女が演じることはダメなのだろう。男二人女一人という出演者だったので、版権者は、当然、女中二人を男優、奥様を女優が演じると思い込んで許可したのだろう。まさかねー、石飛さんが奥様を演じるとは思わないわよね、普通で。今回は、二人の女中役を20代のイケメン俳優が演じる…というところが、新しいのだと思う。しかも二人は、女性らしい恰好では登場しない。黒のワンピース姿は、まったく女性のワンピースには見えな…

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日生劇場「嵐が丘」観劇

「嵐が丘」原作 エミリー・ブロンテ 脚本・演出 G2たしか、「ジェーン・エア」を観たのもこの劇場だったよなぁ~決して小説家としては好みではないブロンテ姉妹の作品を、何の因果か舞台では両方観てしまうとは…ということで、そもそも「嵐が丘」を大学の2ヶ月間の夏休みの間に(宿題にもかかわらず)読み終われなかった私としては、最初からアウェー感満載で劇場に向かった。読書好きな私なので、読み始めて挫折した本は少ない。でも、耐えきれなかった。嵐が丘の厳しい自然の中に生きる「一人ではないのに孤独な人たち」の、「他人を傷つけることで自分が傷つく」連鎖。こんなに痛い物語があるのだろうか、と思って暗鬱たる気持ちになり、挫折してしまったのだった。舞台版は、堀北真希主演…主演…でも、死ぬぞ、キャサリン、真ん中くらいで…いいのかと思ったら、本当に真ん中くらいで死んだ。…というわけで、厳密に言えば主役は山本耕史(ヒースクリフ役)だった。(主演と主役が違うことは、芸能界ではよくあることだ!)しかし、なんで、堀北主演で「嵐が丘」なんかやったんだろうか今回の舞台を観た一番の感想はそこだった。「イケメンパラダイス」も見てたし、「梅ちゃん先生」なんか毎朝見ていた私は、決してアンチ堀北ではない。むしろ、あの間延びした台詞回しのヘタウマ演技を愛していると言っていい。しかし、キャサリンは違うだろう…堀北主演で文芸ものを…的な選択でこの作品が決まったのだとしたら、ほかにいくらでも文芸作品はあるのに…と思うし、「嵐が丘」の舞台化に当たって、キャッチ…

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ミュージカル「タイタニック」観劇

「TITANIC the musical」脚本:ピーター・ストーン作詞・作曲:モーリー・イェストン演出:トム・サザーランドオーケストレーション:イワン・ワインバーガー音楽監督:金子浩介翻訳・訳詞・演出助手:市川洋二郎美術:伊藤雅子 Based on Original Designs by David Woodhead(デヴィッド・ウッドヘッドによるサザークプレイハウス劇場公演のオリジナルセットデザインに基づいたデザイン)照明:西川園代音響:山本浩一衣装:前田文子ヘアメイク:鎌田直樹ヴォーカル・スーパーバイザー:市川洋二郎振付指導:佐々木信彦演出助手:陶山浩乃舞台監督:瀧原寿子以前、国際フォーラムで上演された時は観なかったので、今回のリニューアル版が初見。今から約100年前、大西洋をわずか6日で横断する夢の超大型豪華客船タイタニック号が処女航海で沈没するという悲劇が起きた。それは、世界的な大ニュースで、たとえば、遠い日本の東北地方に住む宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」にもエピソードが取り入れられている。(つまり、「銀河鉄道の夜」は1912年の初夏の出来事だったんだな~)そんなタイタニック号の悲劇を、ほぼ実在の人物を使って描いたのが、今回のミュージカルだ。船長、船主、設計者、(1等船室・2等船室・3等船室それぞれの)客、船のスタッフ…様々な人々の視点が交錯する。平穏な旅の時間、そして悲劇の後、彼らが何を考え、どう行動したのか。人はこんな時、何を考え、どんな行動を取るのか。逃げ出したくなるようなつらい物語が、…

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