クリスマスソングを聴きながら

クリスマスシーズンなので、車載CDは3年前に発売された「CHRISTMAS PRESENT」を演奏している。ドライブしながら、たった3年なのに、こんなにみんないなくなってしまったんだ…と、茫然とする。ちょうどエンジンをかけたら「かりそめのスウィング」で、♪去年の今頃さ …… 二人とぶように踊り狂った♪という歌詞が出てきて、本当に去年の今頃は、あさこさんがサヨナラ公演で、踊り狂っていたなー、と思った。あれから1年…なんだか、1年とは思えない長い時間が過ぎたような気がする。あさこさん、もう女優だし。CDの構成は、次の通り。Christmas Meley(柚希礼音・蘭寿とむ)Pearl White Eve~恋人がサンタクロース(桜乃彩音・陽月華)Joy To The World(水夏希)Happy Xmas(War Is Over)(真飛聖)サイレント・イヴ(遠野あすか)かりそめのスウィング(瀬奈じゅん)Last Christmas(大和悠河)The Christmas Song(安蘭けい)Amazing Grace(春野寿美礼)Song of X'smap(真飛・霧矢・大空・彩吹・柚希・蘭寿)Grown-Up Christmas List(彩乃かなみ)アヴェ・マリア(白羽ゆり)クリスマスキャロルの頃には(大空祐飛)When You Wish Upon A Star(彩吹真央)クリスマス・イブ(安蘭けい)O Holy Night(霧矢大夢)Blue Christmas(瀬奈じゅん)White C…

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秋風と宝塚

一気に秋がやってきた。私のお気に入りの桜の木も、なんだか紅葉というよりは、枯れてるような、そんな葉の色になっている。夏の暑さがしみたのか、木そのものが病気なのか、ちょっと心配。そんな気持のまま、日本青年館公演「はじめて愛した」を観劇。新生雪組は、こんな陣容で行くんだ!みたいなものを見せつけられたようで、なんだか落ち着かない。一気にそこまで持って行く意味が分からない。いくら、世間が仕分けブームだからって、タカラジェンヌをそこまで仕分けしても、いいことなんか何一つないぞ、と思った。今回、抜擢されている研1の夢華あみ。歌手としても女優としてもある程度、出来上がっているし、抜擢されるだけの技術を持っているのだが、娘役になっていない。今回は、敢えてそういう使い方をして、宝塚らしさみたいなものに風穴を開けようとしているのかもしれないが、回りがちゃんと娘役になっているので、一人素朴に女の子をやっているようには見えない。むしろ周囲より老けて、ふてぶてしい感じに見えてしまうのが残念だ。雪組のホープらしい、彩風咲奈。まだまだ丸い。今回は演技的に全く向かないところを正塚先生に利用されて、ダメなギャングの2代目を演じている。頭が悪そうには見える。キレているようにも見える。が、怖くはない。手がつけられない感じもない。それでもこの役をさせた、というところに、不気味な何かを感じる。一方で、唯一安心して場を任せられる沙央くらまは、役としての出番が少なかったり、晴華みどりや舞咲りんには歌の場面が全くなかったり、大湖せしるなどはチョ…

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みりおショーヴランに思う

このブログを読んでくれているリアルなお友達から、“愉美さんって、みりお贔屓だよね”と言われたことがある。あんまり自覚がなかったが、そうかもしれない…と、最近思うようになった。(遅すぎ?)さて、龍真咲ショーヴラン&明日海りおアルマンは大劇場で観劇していたので、東京まで持ち越しになっていた明日海りおショーヴランへの期待は、評判のせいもあって高まるばかりだった。舞台写真もかっこいいし♪期待いっぱいで、初めてみりおショーヴランを観た時、「おー、頑張ってるな、よしよし」と思ったのだが、2回目に観た時、“頑張ってるみりお”じゃダメなのかもしれない、と、突然思った。舞台では、ハッタリが利く、ということも重大な要素である。が、芝居は、ハッタリが利く役ばかりで構成されているわけではない。ほとんどの演劇の、ほとんどの役が、緻密な演技構成と、俳優自身のキャラクターで演じられる役となっている。宝塚といえど、それは、あまり変わらない。違いがあるとすれば、俳優のキャラクターという部分に本名とは分離した芸名のキャラクター(男役・娘役)が確立していることだろうか。明日海りおの芝居は、彼女の律儀で誠実な温かみのあるキャラクターに裏打ちされている。それが役に実在感を与え、記憶喪失のピアニストだろうが、1000年前のプレイボーイの貴公子だろうが、役として感情移入できる人物となっていた。新公での明日海が、少ない経験の中で、本役とは違うアプローチで説得力を持って役を演じきれていたのは、彼女のキャラクターと、役に向き合う姿勢の誠実さによると…

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藤井くんと齋藤くん

こうして、色々と見ていると、藤井先生と齋藤先生は、作風が繋がっている。というか、ぶっちゃけお互いに相談してるというか、お互いの作品に口出ししてそうである。藤井先生は1992年入団。といってもとうこさんを“同期”と呼ぶところをみると、77期が研1の時に入団したのではないかと思う。対する齋藤先生は1994年の入団。退団した荻田浩一氏、そして劇団の女性演出家の先駆け、植田景子先生は同期入団ということになる。この辺の人たちが、2000年前後に相次いで大劇場デビューし、そろそろ10年になろうとしている。若手、新感覚と言われていた彼らも、そろそろ不惑に突入し始めている。デビュー当時は、二人ともショー作家としてのデビューだったので、このままライバルとして切磋琢磨していくのかな?と思っていたし、実際、同じような立場で作品を書かされている。                       藤井                      齋藤1999年 シェイクスピアシリーズ から騒ぎ(月組)         TEMPEST(宙組)2000年 大劇場デビュー        GLORIOUS!!(宙組)   BLUE MOON BLUE(月組)2001年 バウ文芸シリーズ      イーハトーヴ 夢(星組) 血と砂(月組)こんな感じで。その後も、2004年に、三木章雄先生を入れた三人の共作という形で、花組公演「アプローズ・タカラヅカ!」雪組公演「タカラヅカ・ドリーム・キングダム」というショーを作っている。そして2006年は…

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「太王四神記」のミザンセーヌ

まだヅカに嵌まりたての頃、東京宝塚劇場で上演される公演は、すべて一回観劇だった。ま、好きな星組だけは、2-3回観ていたし、時々ムラにも観に行っていたけど。今は、大空さんの出る公演は、東京だけでも10回位観ているし、他の組だって、最低でも2-3回は観劇するので、もうライトなファンとは、既に舞台の観方が違うのかもしれない。さすがに、それだけ観ると、脚本の穴など気づかなくてもいいことに気づいたり、変なツッコミが増えてきたり、大好きな宝塚を観ているのに、気づいたら舟を漕いでいたり…と、ろくなことがない。たとえば、今回の「太王四神記」は、お茶会のついでにムラで観劇した時は、あまりにすごいスペクタクルに気分が高揚し、これはすごい作品だと思っていたのに、だんだんと、セリフから見えてくる登場人物の心理状態に疑問が湧きはじめ…そうなってくると、アラばかりが気になってしまう。で、ちょっと考えてみたのだが。今回の「太王四神記」は、宝塚の作品的には「エリザベート」風の歌劇。曲はミュージカルナンバー風ではなく、それぞれの楽曲は比較的短い。が、繰り返し何度も使われたり、同じフレーズを別の曲に使ったりしながら、リフレイン効果を出すようにしている。小池先生は、楽曲にはかなりのこだわりを持っているそうだ。だから、今回の太田先生作曲の音楽は、小池先生のフィーリングに適った曲なのだろう。そして、今回の「太王四神記」は、台本の仕上がりが遅かったと聞く。ということは、台本より先に音楽ができてしまったんじゃないだろうか?その結果、曲の歌詞と…

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圧倒的な歌の力で~安蘭けいの場合~

「スカーレット・ピンパーネル」を観劇した。「エリザベート」に少々食傷気味の観客としては、宝塚発東宝ミュージカルになりそうな、新しい作品の登場に心が躍った。やっぱり、「ファントム」も小池演出で観たかったな。小池の潤色能力の高さは、方々で言われていることだが、今の星組にピッタリ合ったキャスティングと、きめ細かい演出に、唸りっぱなしだった。こういう、再演が最初から視野にあるミュージカルの場合、初演は絶対失敗が許されない。手堅く安蘭のいる星組で初演したことも、成功の一因だろう。以下、軽く感想。トップコンビが歌えることには、なんの不安もなかったが、柚希礼音の歌には、やはり多少不安があった。ただ、同じワイルドホーンの「Never Say Good-bye」で、大和悠河が思いのほか歌えていたので、もしかしたら、柚希も今回は歌えるのでは?という期待もあった。結果、期待の方が当たった。1幕を観た時は、「こりゃ、大化けしたな!」と大拍手を送った。ところが、1幕も中盤を過ぎると、「柚希、お腹いっぱい」状態になる。難しい歌を音程を取りながら、しっかり発声して心もこめて歌っているが、ショーと違って、柚希の多面的な魅力を出せないため(=ショーヴランとして歌っているから)、そんなに何曲も歌われると、観ている方が疲れてしまうのだ。つまり、緩急がないっていうことかな?途中、いくつかのナンバーを1番だけにするとか、工夫次第では十分聴けると思うのだが。そうしないのは、この作品、続演の可能性があるのかなぁ。遠野の歌は、ちょっとキンキンし…

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春野寿美礼と瀬奈じゅん

春野寿美礼ファースト・コンサート「My Heart」に行った。退団後最初のコンサートは、ステージも客席も温かくて、その温かさのスタンディングの中、幸せそうに春野は客席を見渡していた。本人は、二度とステージに立つことはないだろうと思いながら、宝塚を去ったそうだが、私は、音楽の神がこのミューズを手放すとは思えなかったので、1年以内に復帰することを信じて疑わなかった。それは、私が春野のファンではないから、そういう風に冷静に信じられたのだろう。春野の性格も、バックグラウンドも何も知らず、ただ、音楽の神に憑かれた者は、音楽を捨てることはできない、それだけを確信していたにすぎないから。コンサートの最初の何曲かが終わり、衣装を変え、客席から出てきた春野は、ドレス姿で「Feeling Good」を歌った。以前の月組公演、男役たちの大階段のダンスで瀬奈が歌った歌。あれは「レ・ビジュー・ブリアン」だったかな?それでコンサートを聴きながら、瀬奈を思い出した。かつては、オサアサコンビと呼ばれていたが、90周年の2番手特出のまま、瀬奈は月組に異動した。春野とトップ-2番手の関係だったのは、博多座「あかねさす紫の花」「カクテル」と、「天使の季節」「アプローズ・タカラヅカ」の2作品のみ。大劇場でのたった1作が「天使の季節」じゃ、オサアサファンも浮かばれない。けれど。オサアサ解体は、単に人気者を分断することで、二倍以上の収益を上げようとした歌劇団の作戦のようなものだと思うが、このことが、春野寿美礼DIVA化に拍車をかけたように思…

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シンデレラの誕生

花組全ツ「ベルばら」配役については、こちらです。博多座の「ME AND MY GIRL」を観て、ヒロインを演じた羽桜しずくを飽かず眺めていた。羽桜しずく…まったくのノーマークというわけではない。星組時代から美貌では定評があったし、祐飛さんファンは、初舞台時にお茶会ゲストだったこともあって、気になる生徒ではあったと思う。バウホールやDC公演では、目立つ役どころも与えられていた。そして、ミーマイの新人公演でもヒロインを演じた。でも、バウヒロインだったり、ショーで場面のセンターだったりの経験はなかったので、“センターで踊るしずく”がどんなものか、まったく想像できなかった。美貌だけは心配していなかったが、あとはドキドキしながらの観劇。幕が下りた時、シンデレラ誕生!だと思った。抜擢と、それに応える新鮮なエネルギー。若く、素直で、瑞々しい演技…もちろん、まだまだ不足しているものがたくさんあることは、わかっているが、それを補ってあまりある、透明な清純さが、ランベスの幻想シーンのセンターで踊る彼女から、最後のデュエットダンスで微笑む彼女から、立ち上る。センターに立つ、圧倒的な実力やスター性も大切なことだが、この子は、センターでの居住いができる子だ、と思った。芝居もまだ上手ではない。でも、心の動きを丁寧に表現できるし、セリフも丁寧で聞き取りやすい。歌は、まだ声も出ていないが、ちゃんと心を乗せているし、決してあきらめずに、声を出そうとしているのがわかる。ダンスは、一番安心して見られるが、スカート捌きは、まだまだ乱暴。…

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新・花組主演男役 真飛聖の課題

お披露目公演もいよいよ終わる。中日公演に始まった長いお披露目期間が終わる今、書いておこうかどうしようか、ちょっと迷っていた件を、一応ここにまとめておきたい。ちょっと苦言になりそうなので、花組だけにヒトゴトとして書くのもどうかな…と、躊躇してはいたのだが、やっぱり書かないと、この先、私のスタンスを明確にできないと思うので、敢えて書くことにする。でも、これは、私が大空祐飛ファンであることとは、何の関係もない話なので、そこんとこ、よろしくです。本人の意思とは関係なく、真飛聖は、下剋上スターだと思う。1年先輩の朝澄けいが新公学年の間に、新公主演した(’99 「我が愛は山の彼方に」)のは、意外ではあったが、下剋上とまでは思わなかった。が、2001年の「ベルサイユのばら」でのアランは、完全に朝澄の扱いを抜いていた。2003年に星組ではスターの退団・組替えが相次ぎ、当初は、汐美真帆、立樹遥に次ぐスターという位置付けだった真飛が、2004年早々に3番手スターという位置付けに変わった。そのまま星組でトップになる人なのか、と思っていたら、突然、花組に組替え。その当初は、彩吹真央に次ぐ3番手という位置付けだったが、彩吹が雪組に組替えになったため、2番手に昇格した。そして、春野退団に伴い、主演男役に。90周年特出2番手のメンバーではなかったのに、研1から抜擢され続けた同期の大和悠河に遅れること、わずか1年弱でトップになった。本人的には、トントン拍子の出世ということで、いまどき、めでたい限りだが、大和に比べると、ここに至る…

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花組・真飛聖

「明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴」の感想を長々と書いてきて、ふと、真飛聖の演技について何も書いていない、と気づいた。私の視点で、よかったら「いい」と書き、悪かったら「悪い」と書くだけのことなのに、そういえば、言及していない。評価を迷っているわけでもないのに。雨宮潤一という役を的確に演じていたと思うが、的確に演じること自体が、現在の花組において、意味を持たない上に、非常に不安定な状況を生んでいる気がする。春野寿美礼をトップに置く花組は、「常春(とこはる)の国」だ。マリネラ王国のようなものだ。そこに普通の真面目な人がいたら、異質としか言えない。春野のペットのような状態の壮、下手すぎて普通でない桜乃に挟まれているから余計に。 ショーの最初の場面、第2場が終わる時、もう一度最初のセットが左右から閉じて、それでトップコンビが銀橋デュエットになる。閉じる時、セットの向こうに真飛が残る。暗くシルエットだけになって。 もう一度、最初のセットに戻す必要があったとは思えないのだが、そこに真飛を閉じ込めることによって、あのショーにおける真飛の役割が見えたような気がした。真飛が登場する時って、現実の向こう側の世界なのかな、夢のシーンの登場人物なのかな?そう思った。春野を頂点とする花では異質な存在。そして異質だからこそ、必要な存在。今の花組は、春野さんスキな人たちで構成されている。それは、この快楽を知ってしまった人たちにとっては、とても楽しくていつまでも過ごしていたい竜宮城のような場所で、だからこそ拒否反応を示す人がいたってお…

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