小池先生、おめでとうございます

(公式HPより) 2014/05/01 平成26年度春の褒章 紫綬褒章受章について このたび、平成26年度春の褒章受章者が発表され、宝塚歌劇団演出家 小池修一郎が、紫綬褒章を受章することとなりましたのでお知らせいたします。 小池先生、おめでとうございます小池先生は1977年、慶応大学卒業後に宝塚歌劇団演出助手として入団し、1986年、雪組バウホール公演「ヴァレンチノ」(主演:杜けあき)で演出家デビュー。本人によると、このデビューはかなり遅く、劇団史上最遅か、ブービーかというものだったそうだ。大劇場デビューは、1989年の月組公演「天使の微笑・悪魔の涙」。ゲーテの『ファウスト』を大胆にアレンジし、世紀末のウィーンを舞台に、ハッピーエンディングの物語とした。この結末は物議をかもしながらも、出演者の魅力もあって、作品は一部で高い評価を受けた。この公演は、東上しないサイクルの公演となったが、翌年の星組「アポロンの迷宮」で東上を果たし、またまた大胆なエンディングでファンをアッと言わせた。翌年、雪組「華麗なるギャツビー」で菊田一夫演劇賞を受賞。1992年には、シェイクスピアの「夏の夜の夢」を下敷きに、「PUCK」を発表。涼風真世の妖精的な演技もあり、絶賛された。1995年、雪組「JFK」などを経て、1996年、雪組公演としてウィーンミュージカルの「エリザベート」を翻案、大ヒット作品となった。この作品は、年内に星組公演として再演、2000年には東宝ミュージカルとなり、小池は外部公演の演出も担当することと…

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散らば花のごとく。

壮一帆の退団会見の模様が公式HP等でアップされた。印象的な発言を公式HPから拾ってみよう。 「19年間という長い期間を在籍させて頂くことができ、またその中で様々な方々と出会い、経験をさせて頂けたことは、人生の中でも最も輝かしい日々であったと改めて思います」「雪組に組替えというお話をいただいた時に、三作の本公演に自分の持てる力を全て発揮して卒業しようと具体的に決めました。自分が目指す最高の舞台を作る上で必要な体力・精神力を冷静に考えた上で、自分の舞台人として燃え尽きることができる時が今だなと考えるにいたりました」「宝塚人生の中でターニングポイントとなった三回の組替えは非常に心に残っています。花組時代に当時トップスターの真飛さん、同期の蘭寿とむと共に「組」ということを意識しながら作品を作り上げていたときが、今から思うと非常に勉強にもなりましたし、現在にも大きく役立っていると感じています」「大劇場三作品という短い期間ではありましたが、私が在籍したこの時代に雪組で良かったと思ってもらえるように、私の舞台に対する想いをしっかり発信していきたいと思っています」いいなぁ、えりたん他のメディアの記事からも少し。「寿はありません、退団後も決まってません、という、通り一遍で申し訳なく、私的にはもう少しひねりも効かせたかった」同期の蘭寿さんからは、「(退団は)早くない?」と返されたみたい。そして、「100周年だからこそ、その年のうちに、次の世代にバトンを渡すのもアリだと思う」そんな言葉を象徴するように、発表されたポスタ…

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未完の大器・七海ひろき

今回の「風と共に去りぬ」は、朝夏まなとと七海ひろきのWスカーレット。今後、宙組の2番手スターとなっていく朝夏は、スターとしての豊富な経験を持っている。何度もバウホールで主演しているし、既にショーでは大劇場でセンターの場面を務めているし、ネックになるのは女役であること位。主役としてのスキルを十二分に持っていると言えよう。それに引き換え、七海は、タナボタ的な新公主演と、バウホールのW主演程度の経験しかなく、女役の経験が多少ある程度。舞台にたった一人で場面を持たせるとか、トップさんとずっと台詞の応酬をして芝居を動かすとか、そういう経験がほとんどない。この手の役者が突然主役をもらうとどういうことになるか、というと、途中から顎が疲れてきて、台詞の流れがおかしくなる。言語不明瞭になったり、台詞のリズムが崩れたり…。口の中にコオロギを飼っていようが、カエル声だろうが、それで統一されるのであれば、芝居の流れ上、気にはならない。しかし、途中に突然不明瞭な発音が混ざると、あれ?今噛んだ?みたいな意識が働く。それが何度か繰り返されると、「この人大丈夫?」になる。そんなわけで、正直、七海の主役スキルは、現在、かなり低い。それ以外にも、女役ゆえなのか、顔の、特に口周りの表情作りが下手で、口を開いていることが多かったり、笑うべきでないところで口角があがっていたりする。また、歌に自信がないのか、『わたしとあなたは裏表』など、スカーレットIIの伶美うららともども、小さな声でこわごわ歌っているのが客席からも丸わかりなのが痛い。そん…

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蘭寿とむの道

トップスター退団発表時に記載する履歴を書いてなかった。それだけ感傷的になっていたのかな?ということで、あらためて、劇団が発表した舞台歴に、感想など付け加えつつ、どっぷりと感傷に浸ろうと思う。1996年 3~5月、月組公演『CAN-CAN』で初舞台。5月、花組に配属。1997年 3月、『失われた楽園』新人公演 マイク・テイラー役(本役=伊織直加)。初めて役らしい役が付いたこの公演、プロットはフィッツジェラルドの「ラスト・タイクーン」と同じ。ちょっと運命的なものを感じる     4月、バウホール公演『君に恋して ラビリンス!』出演。(こちらはどうでもいい話だが、この作品のプロットは、『巡り会いは再び』と同じ。マリヴォーの「愛と偶然の戯れ」、実は再登板だったのね)     7月、アキコ・カンダレッスン発表会に最下級生として出演。     8月、『ザッツ・レビュー』出演。新人公演ではプロローグのパリゼットの歌手トリオ役。     10月、バウホール公演『白い朝』出演。1998年 2月、中日劇場公演『ザッツ・レビュー』出演。宝塚歌劇団スタッフ役。第二部のショーで、エイト・シャルマント(ダルマ)にも挑戦している。      5~6月、『SPEAK EASY/スナイパー』出演。マックの部下、フレデリック役。新人公演では、作曲家のランディ役(本役=伊織直加)。ショーの『スナイパー』でもダンサーとして活躍。     8月、真矢みきスーパー・リサイタル『MIKI in BDOKAN』出演。     10月、バウホール…

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気持ちが大事?

雪組の「ベルサイユのばら」東京公演を観てきました。公演感想はたぶんすごーく先になると思うので、公演を観ていてふと気になったことを先に書いておきたい。劇中、ありえない展開が何回か登場する。その中で、特にありえないと思われるのは、ジェローデルとアンドレの会話だ。ジェローデルは、衛兵隊の隊長としてパリに進駐していくオスカルの身を案じ、誰がオスカルを守るのだ?と言う。するとアンドレは、自分が守るから大丈夫だと答えるのだが、ジェローデルは、アンドレの左目が見えていないことを指摘し、そんな君がオスカルを守りきれるのか?と重ねて問う。これに対してアンドレは、これ以上みじめな気持ちにさせないでほしい、と言い、土下座せんばかりになって、左目のことを言わないでほしいと懇願する。ここで舞台は暗転するのだが、その後の経緯を見ると、ジェローデルはアンドレの言葉を呑んだらしい。呑むか?普通…常識で考えれば呑まない。だって、ジェローデルはアンドレの左目が(←実はここがポイントだとは思うが)見えないことを知っている。戦闘になったら、そんなアンドレではオスカルを守りきれないだろう。しかもオスカルは、アンドレの目のことを知らないらしい。これはもう、アンドレの気持ちの問題ではなく、オスカルの命を守るためにも、アンドレの目のことをオスカルに告げるのは、「人としての義務」だ。なのに、ジェローデルは、アンドレの命懸けの思いを汲み取って、黙っていることを約束した(らしい)。それこそが、植田歌舞伎なんだろうなーと思う。歌舞伎の世界では、命より気…

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かいちゃんの宙

あの人、頭いいなーと思うこと、ありますよね?実際に勉強ができるかどうかは別にして、あー、頭いいなーって思うタイプ、私の場合は、本を読んでるんだろうなーと思う人を見ると、頭いいなーって、無条件に感じます。語彙が豊富で、言葉の遣い方が適切な人。だから、祐飛さんのファンなのかもしれない。祐飛さん卒業後、そういう意味では、寂しくなってしまったのだが、そんな私の心を慰めてくれる候補が…この3ヶ月間の歌劇「えと文」@宙組は、本当に素晴らしかった!ネタがファンの心をくすぐっていたのももちろんだけど、かいちゃんの締めの言葉がねー7月号(退団月)では、ゆひすみコンビが大好きだったこと、その他の退団者への愛を叫びつつ、『七つの海から見える宙は、いつもキラキラ輝いています』と締めている。8月号(組旅行ネタ)では、『ずっとずっと見上げていた大きな空は、私達の心に、永遠にその青さを残すでしょう。全てを心に刻んだまま、私達は進んで行きます。悲しさもあるでしょう。心に穴もあくでしょう。でも、目の前に広がる青の先には、新しい宙の世界が待っています。行きましょう!!一緒に。新しい宙に向かって…』と。そして新生宙組が始まった9月号では、『変わりゆく、宙という名の扇は、要があるからこそ、開かれるものです。そこに新たな彩りが加わる瞬間を、皆さん見守っていて下さい。“宙の歴史がまた一ページ”』うまい!新生宙組、期待してるからね-という気分になる。かいちゃんも間違いなく、本を読む人の頭の良さを備えている。惚れちゃうかも

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トップスターと準トップスターについての公式見解

歌劇誌3月号の「夢・万華鏡」by小林公一理事長の中に、以下のような文があった。大切なところなので、該当部分を全文掲載させていただきたい。『2月14日に、月組の次期体制と作品を発表した。トップスター龍真咲、トップ娘役愛希れいか、そして準トップスター明日海りおを中心とした体制となる。6月22日に初日を迎える「ロミオとジュリエット」から本体制での公演となる。ロミオは龍真咲と明日海りおが役替りで務める。基本的にはトップスターとトップ娘役がいて彼女達を中心に組が形成されるのであろうが、各組にはそれぞれ特徴があり、これからの月組の体制はこの形が適切だと思っている。但しこの体制は、以前に行われたことがあるダブルトップ体制とは全く異なっている。つまり月組のトップスターは龍真咲であり、各組のトップスターが集う場合には龍真咲がそこに参加することになる。それでは準トップスターの位置付けはどうなるのかというと、これはトップスターが演ずる役を作品によっては役替り公演が出来る立場にあると考えている。この体制によって作品の幅が広がり、組全体の更なる向上を期待している。皆様におかれましても、ご支援よろしくお願いいたします。』(引用ここまで。例によって太字と色付けは夜野)大事なことなので、分かりやすく箇条書きにしてみたい。これからの月組の体制としてこの形が適切月組トップはあくまでも龍真咲ひとりで、各組トップと同じ立場今後も主役の役替りがあるこの体制によって組全体の更なる向上が期待できるでは、この4つについて、ひとつひとつ、考えてく…

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藤咲えりのヒロイン性

今年も、一応、定番の友人との名古屋旅行に行ってきた。今年はなーんもできなかったな~公演が公演だったので。友よ、許せ。去年は、病が癒えていない友を強行スケジュールで振り回し、今年は劇場にカンヅメにしてしまった。来年こそ、普通の名古屋ライフを提供したい。雪組だよね、たぶん。さて、「仮面のロマネスク」、初日からだいぶ深くなっている。下級生がぐーんと伸びたのと、祐飛さんが静かに深くなったのは言うまでもなく。大きく変わったのは、メルトゥイユの能面の表情が効いてきたこと(コケティッシュ100%のすみかメルトゥイユも好みではあったけど)、ダンスニーがみっちゃん的方向性に進化してきたこと(想定の範囲だったので、もうしょうがない)、そしてトゥールベル夫人のえりちゃんが自信を持って楽しんでいるように見えたこと。その、藤咲えりのトゥールベル夫人。「おとめ」の演じたい役にも「仮面のロマネスク」のメルトゥイユとトゥールベルと書いている。好きな作品のヒロイン役を書くのは、娘役の夢。ゆずみねえさんだって、ナイヤとかスカーレットとか書いている。でも、ヒロインじゃない役を書くのは、本当にその役に惚れこんでいるということだ。そして、そんな夢が叶うことは、ほんとうに稀なことだ。初日の藤咲は、死ぬほど演じたかった役を演じているのに、つらそうだった。そして、「仮面のロマネスク」再演が決まった時、藤咲は星奈っぽい雰囲気があるから、身長はだいぶ違うが、いいんじゃないかなーなどと勝手に思っていたのが、実はちょっと違うのかな?とも思い始めていた。…

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「ファントム」Bキャストの効能

先日、Bキャストで観劇し、あまりの違和感に、“こんなのいらない!”とまで書いてしまったが、Aキャストに戻った初日を観劇し、また別の感想を持った。たしかに、Aキャストの方がすべてにおいておさまりがいい。ショレ役の華形が、まだBキャストを半分引きずったような芝居をしていた以外は、ほぼ大劇場での印象のまま、各人パワーアップした芝居をしてくれていた。ところが!愛音のシャンドンを観て、その貴族っぷりにうっとりし、やっぱりシャンドン様はこうでなくっちゃ~と思っていると、なにやら目の端に発光体が見える。誰?あの白い人!と目をやると、朝夏まなとが立っていた。一週間前、シャンドン伯爵として全然足りてなくて、舞台監督と同じにしか見えなかった朝夏が、本役のセルジュに戻って、白く発光している。“エリック・ストーリー”では、物語の枠の中にちゃんとおさまる芝居をしつつ、若き日のキャリエールはキラキラしたスターでもあった。これか!劇団は、これを待っていたのか!と思った。「ファントム」のBキャスト公演は、東京で8日間14公演しかない。私が観劇したのは、その真ん中辺なので、たぶん、朝夏のシャンドンの出来を平均した位の日なんじゃないかと思う。その時点で、シャンドンのニンじゃないとまで思ったのだから、役の適性と本人の資質の間には大きな乖離があったんだろう。でも終わってみたら、ちゃんとシャンドン効果が出ている。シャンドンとの相性は、そんなに良くなかったかもしれないが、シャンドンを演じることで、宝塚のスターとして必要な資質を身に纏うように…

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こういうショーはダメ

こういうショーはやっちゃだめだ!と、初見で心底思って早、1ヶ月。悪く書く場合は、公演終了してから!と決めているので、書きたい気持ちを抑えて、梅田にも行った。千秋楽付近でも観劇した。それは、「黒い瞳」という作品がよいもので、しかも、公演期間中に役者の進歩がものすごい大きく出る作品だったからで、「ロック・オン!」が観たい気持ちはゼロだった。「ロック・オン!」は、先代トップ水夏希のさよなら公演のショーだったため、さよなら的場面が入っている。新トップのお披露目ショーとして、その部分は不要なので改変する…というようなことは、他の公演でも行われている。瀬奈じゅんさよなら公演だった「Heat on Beat!」しかり、春野寿美礼さよなら公演だった「ラブ・シンフォニー」しかり。ただ、今回、このショーがだめだと思った決定的な理由は、改変部分ではなかった。水が出演していた時、音月と舞羽によって演じられた、わかりやすい「2番手さん用」の場面が、まんま残っていたにもかかわらず、そのセンターが彩風咲奈だったのだ。ちなみに、今回のショーの序列でいくと、トップ音月桂に続く男役は、未涼亜希、彩那音、沙央くらま、香稜しずる、彩風の順になっている。芝居の番手を初演の月組と比べても、外れるのは彩那位で、ほぼこれが、今回の全ツの責任順ということだ。もちろん、宝塚は仲良しクラブではないので、なにもかもが学年順、番手順、下剋上なし、というのではやっていけない。大胆なバッテキというやつが、よくも悪くも存在してきた。しかし、今回に関しては、唐突…

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