合意書締結…

宝塚歌劇団宙組劇団員の逝去に関するご遺族との合意書締結のご報告並びに再発防止に向けた取組について 2024.03.28 このたびの宝塚歌劇団宙組劇団員の逝去を受け、ご遺族の皆様には心よりお詫び申し上げます。 阪急阪神ホールディングス株式会社、阪急電鉄株式会社及び宝塚歌劇団は、このたびの劇団員の逝去につきまして、本日、ご遺族との間で合意書を締結いたしましたことをご報告申し上げます。また、再発防止に向けての取組の状況についても併せてご報告申し上げます。 2024年3月28日 宝塚歌劇団 詳細はこちら   昨年9月に歌劇団宙組生徒が死去し、その死因をめぐって対立していた歌劇団(阪急阪神HD)と遺族の間に合意書が締結されたとの発表があった。歌劇団側はパワハラの事実を認め、何人かの現役生徒からの謝罪文を遺族側に送ったとのこと。この合意書の締結により、ようやく止まっていた宙組の時が動き出すこととなった。この半年の間、ファンの間でも、事件をめぐって意見が対立し、修復不可能なほどにこじれてしまったり、宝塚に失望してファンをやめてしまったり…と、取り返しのつかない出来事が次々と起きてしまった。 そもそもの発端は、2023年の初めごろの“文春砲”だった。あの記事、ディープな宝塚ファンであればあるほど、それが問題であることに気がつきにくかった。「上級生の厳しい指導」が宝塚の文化だと、21世紀になって信じて疑わない部分があったからだ。その時点で、歌劇団側、あるいは阪急阪神HDがなんらかの手を打っていれば、事…

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宝塚歌劇団の一件について

ご無沙汰しています。 ご無沙汰だったのは、夜野側の事情によるもので、エンタメ好きが高じてとうとう舞台の制作のお仕事を始めたのが原因でしたが、宝塚がこのような状況の中、一言二言書き散らかして仕事に行くことはできないな…と思い、しばらくブログを書けずにいました。 宝塚のことを愛して、その感想をブログに書いたり、Xやインスタグラムに書いているファンの方は数多くいらっしゃると思います。そのすべての方が、多かれ少なかれ今回のことに影響を受け、これまで通りの発信をできなくなっているのを感じています。 発信するのがすべてだとは思いませんし、これを機に、宝塚や観劇から少し距離を置くのもまた、ひとつの方法だという気もします。そんな中、今日は少し時間ができたので、私自身のことを少し書いてみようと思います。 ブログという発信手段が全盛期だった頃に、宙組トップスターだった大空祐飛(現・ゆうひ)さんのファンとして、たくさんのアクセスを稼いでいた自分の過去を振り返ると、このまま、何も言わずに、感想を書き連ねていくのも違うのかな、と思いました。 初めて宝塚に触れたのは、初演の「ベルサイユのばら」です。当時小学生だった私は、「将来、宝塚に入る!」と無邪気に言っていたそうです。しかし、いつの間にかそんなことも忘れ、普通の人生を送っていた私は、「ベルサイユのばら」再演のニュースに再び目を覚ましました。既に社会人になっていた私は、「宝塚に入る」ことはなくても「宝塚を愛する」ことはできるのだな、と知り、1990年2月月組公演「…

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静かな劇場

3月1日、月組を観劇した。この日は、イープラスの貸切公演。当選者本人が電子チケット「スマチケ」をダウンロード(分配不可)して観劇するため、全員が「申し込み枚数1枚」として抽選に参加し、当選して、ここにいる。隣の席は、当然、見知らぬ他人だ。友人知人が当たったという人もいるだろうが、席まで隣ということはあり得ない。休憩時間、終演後の規制退場の順番を待つ時間、今まで体験したこともないほど、静かだった。 本当に感染防止を第一義的に考え、観客が喋らない世界を作りたいならば、チケットをすべて1枚単位で発売すればいい、と、言われていたが、本当にその通りだった。かつては、一人観劇の時に、お隣の方から話しかけられ、話が弾んだこともあったが、このご時世で、わざわざそんなことをしようと思う人もいないだろうから、本当に静かになる。「お客様同士の会話はおやめください」というアナウンスは、あいかわらずなされていたが、(そういえば、お連れ様とは言っていなかった。今回の貸切の販売方法は伝わっていたのかも…)静まり返った劇場にむなしく響くだけだった。 このブログでは、もう3~4回ほど書いているが、そういうチケット販売方法に踏み切っていないということは、宝塚歌劇団は、こういう静かな客席を目指しているわけではない、ということに、いい加減、みんな、気づいてほしい。ああいうアナウンスがなされるのは、それが、宝塚歌劇団と東京宝塚劇場の「感染症対策」であるからだ。5000人以下の「観客が上演中に発声をしない公演」は、対策を講じ、それを公表…

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「桜嵐記」と「fff」

今年、上田久美子先生は、望海風斗と珠城りょう、二人のトップスターのために、ふたつの物語を書いた。「fff」と「桜嵐記」。どちらも歴史上の人物が主人公だが、作品の構成の仕方が正反対で、久美子先生が、色々な作劇を試しているのかな…と興味を持った。 歴史上の人物とはいえ、ベートーヴェンと楠木正行には大きな違いがある。18世紀の生まれとはいえ、膨大なスコアを残しているベートーヴェンに対して、楠木正行の史料は少ない。また、その人を主人公とした先行作品の存在も膨大なベートーヴェンに対して、正行はほとんどない。 そんな対照的な二人の人物を主人公に、サヨナラ公演というプレッシャーも受けながら、上田先生はどのように作品作りをしたのだろうか。 「fff」はベートーヴェンおよび彼と同時代に生きた人々の人生、そして、彼らが生きた市民の台頭する時代を、一度バラバラのピースにして、再構築したような、観念的な作品に感じられた。ベートーヴェンの人生を一言で言い表そうとした時、誰もが思いつく「不幸」という「概念」を「相手役」に、「不幸」から生まれ「歓喜」を歌う「物語」に昇華する。そこに、観客のカタルシスが生まれる。ラストがカタルシスに昇華するのは、すべて、望海風斗と真彩希帆という稀代のシンガーコンビが率いる、最高にチームワークの高まった雪組メンバーによる、歌と踊りによる「第九」(歓喜の歌)あればこそ。最後の部分を、出演者と観客に委ね、その力を信じることで、舞台を成功へ導く。上田先生の演出家としての円熟を感じる部分だった。 …

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誹謗中傷?

SNSやインターネット上における誹謗中傷等への対応について 2021/03/01 いつも宝塚歌劇にご愛顧を賜り、ありがとうございます。 昨今、TwitterやInstagram等のSNSやインターネット上の掲示板等において、出演者やスタッフに対する誹謗中傷や、事実に基づかない悪意ある憶測を流布する行為などが多くみられており、例えば現在、以下のようなものを確認しております。 ・特定の出演者やスタッフを名指しのうえ、事実ではない情報をもとに、非難、攻撃をすること。 ・特定の出演者やスタッフの技量、成果物その他に対し、本人を傷付ける意図を持って、批評や個人的感想を超えた言葉で攻撃すること。 ・特定の出演者の人事情報について、あたかも事実であるかのような表現を使い、事実ではない情報を拡散すること。 宝塚歌劇団といたしましては、お客様よりいただく様々なご意見や叱咤激励を有難く拝見し、より良い舞台をお届けするための励みとさせていただいておりますが、上記のように、特定の個人を攻撃するような行為によって、出演者やスタッフが万全な状態で公演に邁進できない事態になりかねない状況は大変遺憾であり、非常に危惧すべき状況であると考えております。 なお、今後上記行為を確認しました場合には、弁護士等と協議のうえ、しかるべき法的措置を検討させていただくとともに、発信者情報開示請求を実施するなどインターネット上の誹謗中傷等にも対応してまいります。 何卒、ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。 ※太字、カラー、文…

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開演アナウンスへの拍手と雪組公演(追記あり)

以前、開演アナウンスへの拍手についての記事を書き、反響をいただいた。そして、今回、雪組公演で新たな問題を見たと、思ったので、再び書かせていただくことにした。 ※前回書いたことについては、重要な部分は繰り返しますが、詳細については、こちらをご覧ください。 開演アナウンスは、ただの案内放送である。他の劇場では、劇場スタッフによる生放送(数分前の注意事項と同様)、録音されたものを使っているところもある。わが宝塚では、このアナウンスを「トップスター」が務める、という慣例があるが、長らくトップさんが氏名を名乗ったくらいでは拍手しないことになっていた。ところが、100周年を過ぎた頃から、開演アナウンスに拍手が入ることが多くなった。その理由について、前回記事では推測してみたが、今回は割愛する。 そんな中、前回の月組公演「カンパニー」において、先にバレエ「白鳥の湖」の幕が上がり、ダンサーたちが踊り始めたところへ静かに開演アナウンスがかぶる…という新スタイルにより、どうにもこうにも拍手できない状況になっていた。これを見て、どうしても拍手が入るのを防ぎたければ、こういうやり方があるんだな…と思った。 そして、今回の雪組公演「凱旋門」。このプロローグは、まさしく「拍手しないでほしい」パターンの始まり方だ、と思った。開演5分前に緞帳が上がり、指揮者の塩田さんは、開演前に登場して拍手をもらう。いよいよ大戦に飲み込まれる寸前のパリ。静かに登場した通行人の動きがダンスになっていく、まさにそこに開演アナウンスが入ったから…

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開演アナウンスへの拍手と月組公演

宙組20周年イベントの感想などは、ちょっとお時間をいただいてからアップしたいと思います。(ずんこさんの口から、生で寅組の話と、空組だと縁起悪い話が聞けて、嬉しかったです。) さて、ここ1年くらい、とても気になっているのが、開演アナウンスに拍手が入る件だ。もちろん、拍手の入り方や手拍子の入り方は、時代によって変わり得るものではあるのだが、経緯を知らずに拍手を先導している方が多数派になりつつあるのかな…という気もして、オールドファンとしての自分は、どんな立ち位置で対応すべきなのだろう、と考えている。で、一応、経緯だけは、皆さんに読んでいただくのもいいかもしれない、と思い、書いてみることにした。 そもそも。開演アナウンスは、ただの案内放送である。通常の劇場では、開演アナウンスは、劇場スタッフによる生放送(数分前の注意事項と同様)であるところもあれば、録音されたものを使っているところもある。録音しているものも、出演者による工夫を凝らしたものもあれば、なんの変哲もない普通のアナウンスもある。そして、わが宝塚では、このアナウンスを「トップスター」が務める、という慣例がある。とはいえ、開演直前のアナウンスなので、稽古中に録音したものが使われている。そんなこともあって、長らくトップさんが氏名を名乗ったくらいでは拍手しないことになっていた。トップさんに最初の拍手を送るのは、生でその姿を拝めた時。しかし、ここに、少し例外がある。トップさんのお披露目公演の初日のアナウンスには、拍手を入れるのだ。それは、トップになら…

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龍真咲と大空祐飛

9月4日、月組トップスター龍真咲が宝塚を卒業しました。2003年、大空祐飛のDS「SPARK!」に研3で抜擢された龍真咲。2005年の「SPARK!2」に参加した同期生の白鳥かすがと榎登也がそれでも最下だったことを考えると、超大抜擢といえる。そもそも、龍の下級生時代の愛称「まさお」も大空祐飛が命名したそうだし、可愛がっていた下級生の一人だったんだろうな…ということは容易に想像ができた。以下、今は、「まさきさん」と呼ばれているそうだが、一度も呼んだことがないので、下級生時代の愛称「まさお」でしばらく書いていきたい。祐飛さんの月組最後の大劇場公演「マジシャンの憂鬱」では、二人の小芝居を見るのが、日々の楽しみだった。いつから、苦手になったのかな…たぶん、きりやんのトップ時代じゃないかな…と思う。決定的に苦手意識を持ったのは。原因は、いわゆる「まさお節」。あの台詞の高低差が、ジェットコースターに乗っているようで、耐えられなかった苦手なまま、まさおくんはトップになり、でも月組は、ずっと観ていた。で、退団が決まった辺りから、これは、これで極めているってことなんだろうな、と納得するようになった。トップを極めるということは、どこか求道者っぽくなることでもある。方向性は違うけど、祐飛さんもそうだった。きっと、そんな祐飛さんを苦手だと思っていたファンも多かったんだろうなーとか、今は思う。求道者になると、自然体ではなくなる。だいたいにおいて。(中には、自然体であろうとする求道者もいて、そういう場合は不自然なくらい、自然…

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入江先生死去

宝塚歌劇団名誉理事で作曲家の入江薫先生が15日、老衰のため亡くなられたそうです。95歳という記事と96歳という記事がありましたが、どっちなんでしょう1950年に宝塚歌劇団に入団。以来、「ジャワの踊り子」「君の名は」「ノバ・ボサ・ノバ」「風と共に去りぬ」など270以上の宝塚作品で作・編曲を担当されたそうです。「ノバ・ボサ・ノバ」では、『ソル・エ・マル』の作曲を担当。寺田瀧雄先生の『アマール・アマール』、吉崎憲治先生の『カルナバル』と、それぞれの先生の個性が出た楽曲ですね。うーみが、あおーく~~~うぅという突き抜けた歌で始まるからこそ、その後のドラマが甘く切なく進んでいったように思います。「風と共に去りぬ」では、『故郷は緑なり』を作曲。この曲が出てくる場面は全部泣ける~中でも、「ベルサイユのばら」のバスティーユ場面の音楽を担当したことは、特筆したい。「ラ・マルセイエーズ」をモチーフに、マイナーコードで進行する音楽は、岡正躬先生の振付と共に、40年間これなくしてはベルばらではない名シーンとなってる。あの音楽がなければ、あのバスティーユのシーンがなければ、私はこんなにも「ベルばら」を愛していなかったかもしれない。入江先生、本当にありがとうございました

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カレンダー論

2015年の卓上カレンダーの掲載月が決まった。宝塚卓上カレンダー10月17日(金)発売 A5判/13枚(表紙とも、両面仕様) 850円(税込)表紙 コラボレーション1 月 愛月ひかる2 月 壱城あずさ・天寿光希・十碧れいや・麻央侑希3 月 彩凪翔4 月 瀬戸かずや・鳳真由5 月 珠城りょう 6 月 澄輝さやと・凛城きら・蒼羽りく・桜木みなと7 月 彩風咲奈8 月 礼真琴9 月 鳳翔大・蓮城まこと・香綾しずる・真那春人・月城かなと10月 芹香斗亜11月 宇月颯・紫門ゆりや・煌月爽矢・鳳月杏12月 柚香光2015年の卓上カレンダーは、サイズだけでなく、すべてが大きく変容するようだ。これまで、卓上カレンダーは、1枚に1名掲載、それが裏表あるので、24名、表紙含めてだいたい24-26名位の掲載者となっていた。(ズレは表紙で調整し、表紙のみ、複数掲載がありだった。)過去の変更点は、娘役の掲載をなくし、路線男役の掲載数を増やした(1999年版~)A面>B面と、掲載面によって序列を明らかにした(2003年版~)A面とB面の向きを変え、A面は全身写真、B面は顔写真的な構成にした(2004年版~)くらいかなー?なので、今回は、私の知っている限り、最大の変更となる。裏表掲載なのは変わらないのに、1月に1名の月が7カ月もある。表と裏が同じ人ということだ。と、ここで、気になるのは、今回から創設された「ポスターカレンダー」の存在だ。こちらは、表裏1枚ずつ同じスターの写真で、素顔と舞台写真がそれぞれ選ばれているとか。…とすれ…

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