「FOCUS ON」シリーズの続き

以前、新しい写真集のシリーズについての記事を、かつての「My Style」シリーズと比較して書いた。その後、順調にシリーズは刊行されるようで、すでに第3弾まで発表されている。さすがにここで終わりそうな企画ではないので、あの縁起の悪さは払拭されたような気がする。お気に入りの鳳月杏さんの発売が決まったので、第2弾、第3弾をまとめて紹介します。 第2弾「彩凪翔」海辺で遊ぶ青春まっただなかの瑞々しい若者、大人の魅力を感じさせる精悍な青年、さらには、洋館にたたずむスーツ姿のダンディーな男性などのポート、紛争写真、日々の様子を稽古や公演の合間に彩凪自身の手で書きつづったブログ風コーナー、ゲストは、雪組トップスターの望海風斗と、2番手スターの彩風咲奈。 第3弾「鳳月杏」クラシックな洋館にたたずむ端正な黒燕尾の青年、ダルマ燕尾の妖艶な女性、そして満開の桜の下に幻のように現れた着流しの男などのポート、ゲストは、花組トップスターの明日海りおと宙組2番手スターの芹香斗亜。本人はもとより、演出家、振付家、共演者達へのインタビューも。 おそらく人選としては、2番手スターより上級生の新公主演経験者で、かつてパーソナルブックを出していない生徒…ということになるのではないか、と推察。全部で5冊程度になるのかな。どうか、これが登場するみんなの飛躍のきっかけになりますように。

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「原作のフェルゼン」名セリフ集

宝塚歌劇「ベルサイユのばら」には、大きく分けて、オスカルとアンドレ編オスカル編フェルゼンとマリー・アントワネット編フェルゼン編の4種類がある。この中で、「フェルゼン編」は、原作におけるフェルゼンの登場シーンがそれほど多くないため、“盛り上がるのが難しい”と、もっぱらの評判である。←脚本を真似てみたしかし、本当にそうだろうか?原作を丹念に見ていけば、フェルゼンのかっこいいシーンはいっぱいあるし、名ゼリフだってめちゃくちゃある。ぜひぜひ、ホンモノ(?)のフェルゼンの素晴らしさを知ってください※フェルゼンのセリフを『 』で引用し、状況等は私の言葉で解説させていただきます。『悪いのはアンドレではない。わたしも正義のために死ねるぞ、オスカル』アンドレが不注意から王太子妃時代のアントワネットに怪我をさせた時、死刑になりかかったアンドレのために、オスカルが命をかけて国王に掛け合おうとする。その時、フェルゼンも国王の前に膝をついて加勢するのだった。男らしいこの時、たしかに、オスカルもすっごいオトコマエだった。後に、この時のことを思い出して、アンドレは、オスカル毒殺を思いとどまる。それくらいインパクトのある場面だった…。でもオスカルはアンドレの主人、冷静に考えれば、庇うのは当然っちゃー当然。赤の他人のために、正義を貫くフェルゼン、惚れます『では……愛していれば………愛してさえいれば結婚できるのか………?』フェルゼンのこんなストレートな男らしさに、アントワネットだけでなく、オスカルが惹かれたとしても、無理はない。しか…

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5組トップ、互いを語る!

家庭画報9月号に宝塚歌劇の特集記事が載っている。 家庭画報 2010年 09月号 [雑誌]作者: 出版社/メーカー: 世界文化社発売日: 2010/07/31メディア: 雑誌 でもって、中身は、各組トップスターの舞台写真とオフショットを篠山紀信氏が激写していて、少々インタビューらしきものもあり、その中で、トップスターがお互いの印象を一言で語る、というのがある。これが面白い。もちろん、TCAなどではお話をしたりしているだろうが、やはり、同じ組で一緒に作品を作った関係と、そうでない間柄には具体性に差があるんだなーと思ったり。家庭画報では、その人が他の4トップをどう思っているか、という感じで編集されていたので、そのトップが他の4トップにどう思われているか、という視点で書いてみよう。水夏希(雪組)…魅惑。神秘的。by真飛          公演中も稽古に励む追求心のある方by柚希          何でもスマートにこなす人。by大空          熱い氷by霧矢真飛聖(花組)…美しい。by水          いろいろと教えてくれるお兄ちゃんのような存在by柚希          細やかな気遣いのできる人。by大空          凛とした華やかさby霧矢柚希礼音(星組)…熱い。by水           草原を走るライオン。by真飛           ダイナミックな人。by大空           大地を揺るがすエネルギーの塊by霧矢大空祐飛(宙組)…クール。by水          …

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ルノーが好き

「カサブランカ」の初日が近いので、映画版のDVDを見て勉強している。 カサブランカ [DVD] FRT-017出版社/メーカー: ファーストトレーディングメディア: DVDカサブランカは、モロッコ最大の都市。ただし、この映画の時代には、フランス領となっている。パリ陥落の戦禍を避けてアメリカに逃れようとすると、ポルトガルのリスボンが中継地となる。が、パリからリスボンに直行するのは難しく、陸路でマルセイユまで行き、そこから、地中海を渡ってオランへ。そして、列車でフランス領モロッコのカサブランカに行く。ここで、リスボンへの出国ビザが手に入れば、アメリカに行ける。それ以外の人々は、ただ、この地で待つしかなかった。戦時中のカサブランカはそんなわけで、雑多な人種の坩堝と化している。そこで、人の弱みにつけこんで私服を肥やす人もいる。危険な仕事に手を染めて、大金を得ようとする人もいる。そんな中、「リックの店」は、今日も多くの外国人で賑わっている。「Rick's Cafe Americain」という店名だったと思う。カフェだけど、夜は普通にお酒を出している。看板は、ピアノを弾いて歌う黒人のサム。でも、本当のウリは、奥のカジノ。そこへは、リックが了解した人物しか入れない。冒頭、一人のドイツ人官僚が殺害されたというニュースが入る。そして、その男は、フリーパスの通行証を奪われていた。この事件を追って、ドイツからシュトラッサー少佐が派遣される。フランス領カサブランカは、ドイツの占領下にあるわけではないが、本国の首都…

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小説で知る「銀ちゃんの恋」背景

「銀ちゃんの恋」の原作は、「蒲田行進曲」。「蒲田行進曲」は、映画・舞台・小説…と様々に展開しているが、実は、これらの間のタイムラグはほとんどない。1980年 劇団つかこうへい事務所にて初演。1981年 小説を「野性時代」に発表。直木賞受賞。1982年 映画化。劇団解散公演として再演。ウィキペディアによると、こんなタイトな時間で、「蒲田行進曲」は広まった。ちなみに沖雅也自殺で話題となったテレビドラマは1983年の放映らしい。錦織一清を中心に再演されるのが1999年なので、実は、宝塚の「銀ちゃんの恋」(1996)は、名作を掘り起こしたことになるのかもしれない。小説版「蒲田行進曲」は、前半を「ヤスのはなし」、後半を「小夏のはなし」として、それぞれ一人称で語られる。バトンタッチの場面は、ヤスのアパートに小夏を置き去りにしたあの夏の日だ。「ヤスのはなし」では、ヤスの心情が、「小夏のはなし」では、小夏の心情が、舞台と違って100%本音で登場する。もちろん、銀ちゃんの心情はどこにも吐露されていないが、一番身近にいた、ヤスと小夏の証言によって銀ちゃんの人物像も立体的に浮かび上がっている。そして、小説だから、上演時間の決まっている舞台と違って、もっと詳細な情報を盛り込めたりする。「新撰組」は、銀ちゃんにとって、“初めての主演映画”橘は演技派のスターだが、実際にはマイホームパパ。年は銀ちゃんより若いけど、もう何本も主演映画を撮っているから、銀ちゃんより格上大道寺監督はテレビ出身で、東大出のインテリヤスは日大芸術学部出…

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「愛と死のアラビア」原作に挑戦 その3

「その3」になりました。ようやく、ヒロイン登場となります。第22章 アノウドとの出会い略奪の夜、我慢できずに街に出たトマスは、ひとりの女を助けた。父を殺され、家を焼かれ、自らも辱めを受けようとしていたところを助け、総督府に連れ帰った。女は、左手の指を3本傷つけられ、うち1本をほとんど失いかけていた。トマスは、少年兵のヤシムに命じて、手当の準備をさせた。そして、既に用をなさなくなった指を切断してやり、傷口を洗い、アラック酒で消毒した。手当てが終わると、トマスは再び街へ出た。そして、女と出会った場所に行き、彼女の父親の死を確かめた。翌朝、女は軍医の手当てを受け、ヤシムが彼女のための手伝い女を見つけてきた。トマスの指示通り、ガマのような老女だった。手当てを受け、気を取り直した女と、正式に挨拶を交わし、事情を聞くと、女には既に身内はひとりもいないようだった。「ならば、必要な時は私を兄と思って下さい」と言うトマスに、女は、アノウドという自分の名を告げるのだった。第23章 トマスの結婚トゥスンが同じ日、メディナに乗り込んできた。彼は、略奪の夜について、司令官のアーメドの責任を追及し、彼を解任する。再会したトゥスンに、トマスはアノウドのことを話した。彼女が身内を持たないことをトゥスンは懸念する。嫌になった時に帰す里がないからだ。また、トマスは、アノウドにも正式に結婚を申し込んだが、彼女も同じことを懸念した。が、トマスの出身には、嫌になった妻を離縁する風習がないことを知ると、もし必要な時は、二人目の妻を娶ってほし…

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「愛と死のアラビア」原作に挑戦 その2

「原作に挑戦」のその2です。既にお気づきのことと思いますが、「その1」の段階で、お芝居は終了します。しかし、その時、原作本はまだ上巻の2/3辺りなのです。では、めげずに、書かれていないトマスのその後の人生です。第11章 生への帰還太守の奥方、アミナは、アッバス長官を自室に呼ぶと、一通の手紙を種にやんわりと脅迫を始める。そして、その秘密を守る代償として、トマスの命乞いをする。アッバスは、そのことが逆に奥方の秘密を握ったように思いこみ、そのこともあってこの交換条件に応じた。トマスは最後の朝を迎えた気持ちだったが、現れたイブラヒムは、彼に無罪放免を伝える。第12章 トゥスンの結婚2年前にアルバニア人の娘と結婚したイブラヒム・パシャには、まだ男児が生まれていなかった。そのこともあり、トゥスンが初陣に出る前に結婚することが決まった。相手はカイロの族長(シャイフ)ミカルの娘。トマスは花婿の友人として結婚式に参列した。とはいえ、結婚式には、新郎と新婦の父親しか出ない。トゥスンは、自分が結婚したらトマスも結婚させ、二人の息子を兄弟のように育てたい、と夢を語るが、トマスは、顔も見たことのない娘と結婚することには、なかなか納得することができない。しかしトゥスンは、会ってみて、好みの娘でなければ、いつでも離縁できるし、もう一人妻を迎えてもいい…と、気にしていない。この結婚式の夜、トマスは、少々メランコリックな気分だった。独身の友人を一人失う気分、そして、結局、スーダン遠征への参加が太守に拒まれたこと、がその原因。そんな…

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「愛と死のアラビア」原作に挑戦 その1

キャトルレーブでも簡単に購入できる原作本「血と砂-愛と死のアラビア-」なので、お読みになった方も多いと思う。そして、「原作と舞台は全然違う!」と呆然とした方もまた多いだろう。とはいえ、大半のファンの方は、原作の膨大さに驚いて、読まずに舞台を見ているのではないだろうか?私もそうなるところだったのだが、優しいファン仲間のTちゃんに原作を貸してもらい、読破した。今日は、その原作のストーリーを紹介していきたい。「血と砂(上)」(ローズマリ・サトクリフ)第1章 エジプトの戦い1807年4月20日、スコットランド高地78連隊は戦闘前のキャンプ地から物語は始まる。ここで、主人公トマス・キースと友人、ドナルド・マクラウドの出自が語られる。ドナルドは、ルイス島出身。大柄な金髪の青年で、鼓手と看護兵を兼ねている。(軍医ではない)トマスは、エジンバラの出身だが、同じように大柄ではあるものの、ドナルドより華奢な体つき。色黒で黒髪。スペイン系らしい。目は灰色。新式のベイカー小銃を支給されるほどの狙撃手。トマスの祖父は、その主君(チャールズ・エドワード・スチュワート王子)に従ってフランスに渡り、フランス陸軍に奉職、20年後、恩赦で帰国した人。トマスに剣術と射撃とフランス語を教えてくれた。そして射撃に興味を持ったトマスを鉄砲鍛冶のもとに修行にやらせてくれた人でもある。祖父の死後、トマスの父親は、その農場を売り払うことにしたが、そのことでトマスは、もうこの地にいる必要はないと感じてしまう。そして、軍隊に入る決意をして家出する。鉄…

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原作ゲット

花組公演「愛と死のアラビア」原作本、『血と砂-愛と死のアラビア-』を友人・Tちゃんが貸してくれるというので、借りることにしました。すごく分厚い本なので、読むのに時間がかかりそう。なので、原作を読み終わる前に、とりあえず、舞台感想を一度仕上げたい。原作を読むことは、舞台を見る者の義務ではないし、舞台は舞台として完成されているべきだと思う。原作と比べてどーのこーのではなく、まず舞台だけを見て感じたことを書いておきたいと思う。それと原作読了後の感想がどれくらい違うか、今からとても楽しみ~!

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ちょっとだけ古事記5

「ちょっとだけ古事記」、ヤマトタケルの後編です。前回記事はこちらです。 さて、倭建命(やまとたけるのみこと)は、尾張の国の造の祖先、美夜受比売(みやずひめ)の家に寄り、すぐにも結婚しようかと思われたが、(この時代、天皇家の方々は一夫多妻です)戦の帰りに婚姻を結ぼうということを誓っただけで、東国へ下った。そこで、山河の荒ぶる神とまつろわぬ人々を平定していった。相武(相模)の国に至った時、国の造が、「この野の中に大きな沼があり、その中に住む神が『ちはやぶる』神なのです」と言った。倭建命は、それを聞いて野に分け入ったが、国の造は、いきなり野に火をつけた。騙されたことに気づいた倭建命が、叔母から授かった嚢の口をほどくと、中には火打ちの道具が入っていた。そこでまず、身に帯びた剣で草を刈り払い、火打石で草に火をつけた。(向い火を炊いた)こうして火を退けた倭建命は、すぐさま戻って国の造を斬り殺し、遺体に火をつけて焼いてしまった。それで、その地を焼遺(やきつ=現・焼津)という。ついでに、この時からこの剣は「草薙の剣」となった。 さらに進んで、走水の海(浦賀水道)を渡った時のこと。海峡の神が、逆巻く浪を起こし、船は進路を進むことができなくなった。そこで、后である弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)が、「私が、御子の代わりに海の中に入りましょう。御子は、つかわされたその政を成し遂げてください」と言って、菅畳八重、皮畳八重、キヌ畳八重を敷き、その上に下りて座った。「さねさし 相模の小野に 燃ゆる火の 火中に立ちて 問…

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