「新春浅草歌舞伎」観劇(2)

では、夜の部の感想です。 「新春浅草歌舞伎」 【第2部】近松門左衛門作『傾城反魂香』(土佐将監閑居の場) 通称“ども又”の場面ですね。“ども又”とは、この場面の主役が“どもりの又平”だから。今の時代、アウトな表現だが、省略しているから大丈夫なのかな?土佐将監光信(中村橋吾)は絵の先生で、主人公の浮世又平(中村橋之助)は、彼の弟子。そろそろ弟子として、“土佐”の名を許してほしいと思って妻を伴いやってくる。その少し前に、山に虎が現れたという騒ぎがある。日本に虎がいるわけはないのに…と訝しんでいると、本当に藪の中に虎がいる。将監は、この虎は狩野元信が描いたもので、その絵に魂がこもって立体化したものだと看破する。すると弟子の修理之助(市川男寅)が、自分が虎を描いて、立体化した虎を消したいと申し出る。将監がそれを許し、筆を与えると、修理之助は見事に虎を描き消す。これを見て将監は、修理之助に“土佐光澄”の名を与え、印可の筆を与える。そんなところに又平夫婦が現れて、私にも名前をください!と言っても、そりゃインパクトがないですよね…💧しかも、又平は吃音があり、そのため思うところがあっても、なかなか言葉にできない。その分、女房のおとく(中村鶴松)が、口八丁手八丁で夫の気持ちを代弁する。二人は貧しいながらもそうやってこれまで生きてきたわけだが、将監には、それも効かず。もはや生きる希望をなくした又平は、自ら命を絶とうと考えるが、おとくは、最後に自画像を描いてから…と説得。こうして、又平は手水鉢に自画像を描き始める…

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「新春浅草歌舞伎」観劇

「新春浅草歌舞伎」 ご存じの方も多いと思うが、この「新春浅草歌舞伎」の公演中に、ポスターにも載っている主要な出演者である中村鶴松が、泥酔して飲食店のドアを壊すという失態により現行犯逮捕され、謹慎のため休演することとなった。私は、結果的に、鶴松休演の前に第1部第2部を同日観劇、そして休演した舞台の第1部を観劇した。ご贔屓の莟玉さんは、休演に伴う配役変更で「形成反魂香」のおとくを演じることになったのだが、色々考えた末、追いチケはしなかった。以下、各演目ごとに感想を記載していくが、第1部については、当初配役・変更後配役両方の感想を記載していこうと思う。歌舞伎は私の守備範囲ではないので、失礼のないよう、出演者に敬称(さん)をつけて記載しているが、今回、敬称を付けることに違和感を持たれる方もいらっしゃるかもしれないと思い、かといって一文の中に敬称あるなしがあるのも、気持ちが悪いので、すべての出演者について敬称を付けずに記載することにした。これで、私自身が気持ち悪さを感じなければ、今後、歌舞伎についても、敬称略で記載していこうかなと思っております。 【第1部】『梶原平三誉石切』(鶴ケ岡八幡社頭の場)石橋山の戦いで敗れた源頼朝を見逃した…と、吾妻鏡に書かれている、当時は平家の武将だった梶原景時(市川染五郎)が、いよいよ源氏に寝返る直前の物語。ここでは、刀の目利き、二つ胴、石切、という見どころが目白押しで、1場だけだが、非常に面白い。敵役の平家武将、大庭景親(中村橋之助)とその弟、俣野景久(市川男寅)が鶴…

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「舞台鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」観劇

「舞台 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」 原作:水木しげる原案:映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』脚本:毛利亘宏(少年社中)演出:中屋敷法仁(柿喰う客)音楽:川井憲次 舞台監督:川除学美術:池宮城直美照明:加藤直子音響:山本能久映像:森すみれアクション監督:六本木康弘振付:井田亜彩実演出助手:石井麻莉、入江浩平衣裳:惠藤高清小道具製作:羽鳥健一ヘアメイク:古橋香奈子、城本麻紀、橋本紗希、海野由香、原田美優企画・製作:東映株式会社、東映アニメーション株式会社 <CAST>鬼太郎の父…鈴木拡樹水木…村井良大龍賀沙代…岡本姫奈(乃木坂46)龍賀乙米…沢海陽子龍賀丙江…しゅはまはるみ長田庚子…岡内美喜子龍賀時麿…コッセこういち龍賀孝三…加藤啓ねずみ…中田翔真長田時弥…橋本偉成龍賀克典…三上市朗長田幻治…良知真次 なかなかチケットが取れない公演でしたが、お友達のツテで、ようやく一回だけ観劇することができました💕いやー、なんといっても、このキャスティングですよね❗「敦盛2011」から15年。「戦国鍋」ファンとしては、お二人の共演というだけで胸アツで。まだ2.5なんて言葉がない時代から、ずっと今まで、最前線で2.5次元を戦い続けていた鈴木と、まだ2.5じゃない時代の2.5次元を主演という立場で盛り上げ、その後、幅広い分野で活躍している村井。でも、二人はずっと戦友だったんだな~🎀「戦国鍋」から追いかけ続けているキャストの皆さんもだいぶ減少しちゃったけど、今なお、第一線で活躍している彼らがたのもしすぎる。 殺陣の…

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ミュージカル「ISSA in Paris」観劇

musical「ISSA in Paris」 原案・作詞・作曲:モーリー・イェストン脚本・訳詞:高橋知伽江演出:藤田俊太郎 振付:ジュリア・チェン音楽監督・編曲・キーボードコンダクター:森亮平美術:松井るみ照明:勝柴次朗音響:山本浩一映像:O-beron inc.衣裳:前田文子ヘアメイク:宮内宏明擬闘:栗原直樹歌唱指導:YUKA、田中俊太郎オーケストラコーディネート:新音楽協会(安達くるみ、古田佳、大谷佳乃)稽古ピアノ:中野裕子、田畑俊介通訳:伊藤美代子振付助手:チヒロ・カワサキ美術助手:平山正太郎擬闘補佐:西村聡演出助手:守屋由貴、大舘実佐子舞台監督:倉科史典企画・制作:梅田芸術劇場 海人(ISSA)…海宝直人小林一茶…岡宮来夢ルイーズ…潤花テレーズ…豊原江理佳ラファエル…中河内雅貴・染谷洸太(Wキャスト)絹子…彩吹真央・藤咲みどり(Wキャスト)マユ…内田未来陸人…阿部裕ペーテル…森山大輔リオ…塚本直レミー…中井理人・星駿成・見崎歩誠(トリプルキャスト)写真の二色の紫の〇は、梅芸のマークだそうです。モフモフしてました。「ファントム」などでおなじみのモーリー・イェストンさんが、日本の俳人・小林一茶をモチーフにミュージカル楽曲を作り、日本のスタッフが肉付けをして、オリジナルのミュージカルが完成した。現代の日本とパリ、そして18世紀後半の日本とパリが同じ舞台の上に登場する。とはいえ、ストーリーをちゃんと見ていれば、見失うことはない。解釈違いはあるかもしれないが、ストーリーは最後まで追えたと思…

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楽劇「フィガロ」観劇

楽劇「フィガロ」~「フィガロの結婚」より~ 上演台本・演出:荻田浩一音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ジョアキーノ・ロッシーニ/福井小百合作詞:荻田浩一音楽監督・編曲・歌唱指導:福井小百合 美術:伊藤雅子照明:柏倉淳一音響:大野美由紀衣裳:木鋪ミヤコ衣裳製作:大屋博美ヘアメイク:関谷佳代子演出助手:陶山浩乃舞台監督:中西輝彦企画・製作:アーティストジャパン <キャスト>フィガロ…矢田悠祐アルマヴィーヴァ伯爵…山本一慶スザンナ…皆本麻帆ロジーナ…朝月希和ケルビーノ…谷山知宏ドン・バジリオ…柴原直樹ドン・バルトロ…駒田一マルチェリーナ…霧矢大夢 <演奏>ピアノ…福井小百合ギター…佐藤誠 モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」には、前日譚とも言える物語があって、それはロッシーニが歌劇にしている。「セビリアの理髪師」というタイトルで。原作となる戯曲は、両方ともボーマルシェによるもので、三部作になっているとか。ということは、「フィガロの結婚」には続きがあるってことか‼本作は、回想シーンで「セビリアの理髪師」も再現している。←これがビックリなのは、本作の音楽、基本、オペラの楽曲をベースにしているから。モーツァルトの途中にロッシーニが入っているって、なかなかだよね💦(回想シーンだけでなく、「セビリアの理髪師」からの楽曲がいくつか入っています。)ついでに、あれ、この歌、オペラの曲、使ってる⁉でも、まんまじゃないよね⁉と気づいた私も、音楽教育、ちゃんと受けてるな…と思った。貴族社会というも…

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「賢治島探検記」観劇

文学座×キャラメルボックス「賢治島探検記2026」 原作:宮沢賢治構成:成井豊(演劇集団キャラメルボックス)演出:西本由香(文学座) 美術:杉浦充照明:勝本英志(Lighting Lab.Ltd)音響:早川毅衣裳:萩野緑演出助手:大月リコ舞台監督:下柳田龍太郎主催・企画・製作:TBS <CAST>文学座:栗田桃子、石橋徹郎、萩原亮介、宝意紗友莉、渡邊真砂珠、山下瑛司演劇集団キャラメルボックス:畑中智行、筒井俊作、多田直人、原田樹里、木村玲衣、石森美咲 大学の授業の一環として、石橋教授の探す“賢治島”を求めて、初台にやってきた12人。ここが“賢治島”である証拠を求めて、4つの物語を演じ始める面々。『どんぐりと山猫』『注文の多い料理店』『セロ弾きのゴーシュ』『銀河鉄道の夜』の4作品がピックアップされ、キャラメルの原作あり作品のいつものパターンで「地の文を出演者がリレーで読み進め、スピード感ある展開でドラマが進んでいく。成井脚本のせいか、キャラメルのキャストが目立つ。まあ、エース級をがっつり送り込んでるし。その中で、成井脚本への親和性が高かったのが、栗田桃子。第1話の山猫役や、第3話のゴーシュ役、どちらも見事だった。もともと好きな女優さんだったけど、今回もステキでした💓亡くなられた蟹江敬三さんのお嬢さんなんだよね。第2話では、筒井俊作と文学座の萩原亮介の肉体美も見せてもらった。筒井の高速腕立て伏せも見事。腹筋が途中で止まってしまった萩原が可愛かった。(もしわざと…なら演技派である) 下手に草が…

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2025年タカラヅカ総括

恒例の総括、今年もいってみたいと思います元々は、宝塚バトンで回ってきたものが始まりなので、感想以外にもちょっとした項目はそのまま使っております。タイトルは、面倒なのでサブタイトル全部カットしてます。・エンジェリックライ&Jubilee(花)東京公演を観劇。花組トップコンビのお披露目公演かつ専科の凪七瑠海の退団公演という、かなり複雑な公演。特にショーは、交互にお披露目とサヨナラを見せられている落ち着かなさがあった。お芝居の方は、好みではない感じでした。・宝塚110年の恋のうた&Razzle Dazzle(宙) 大劇場と東京で観劇。芹香斗亜のサヨナラ公演ということで、複雑な感情で観に行ったが、和物のショー作品も、お芝居もステキな作品で、しんみりすることなく、キキちゃんを見送れたと思う。でも、9年も2番手をやったあげく…と思うと、なんとも切ない気持ちではある。・FORMOSSA!!(雪)縣千主演の別箱公演(KAAT)。未見。一応、お願いはしていたのだけれど、残念ながら観劇はかなわず。・ANTHEM(星) 礼真琴の武道館コンサート。ライビュで鑑賞。これまでの武道館コンサート(真矢みき・柚希礼音)は、どこかからチケットが降ってきて、特にファンではなくても武道館に行けたのに、こっちゃんのチケットはどこにもなかった💦というわけでライビュに行ったのだが、ライビュでも楽しかったし、行ってよかった。本当に素晴らしいコンサートだった。・にぎたつの海に月出づ(星)極美慎主演のバウホール公演。こちらは、お願いしたチケットで…

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詩楽劇「八雲立つ」観劇

詩楽劇「八雲立つ」 構成・演出・振付:尾上菊之丞脚本:戸部和久テーマ曲作曲:川井郁子劇中歌・劇中音楽作曲:大貫祐一郎、吉井盛悟編曲:安部潤美術:松野潤照明:品治尚貴(PAC)音響:河内佑輔(PAC)映像:本多孝成、山中伸二(Ride)装束・衣裳:落里美(井筒企画)舞台監督:川上大二郎(Scale Laboratory)ヘアメイク:AKANE振付(洋舞):港ゆりか振付助手:五條珠太郎演出助手:日置浩輔附打:山崎徹歌唱指導:日高悠里音楽制作:和田淳石見神楽監修:神田惟佑企画・制作:TAILUP、井筒企画後援:東京都、千代田区、東京商工会議所主催:TAILUP 井筒 井筒企画 東京国際フォーラム <CAST>尾上右近(素戔嗚)紅ゆずる(岩長姫)佐藤流司(瓊瓊杵尊)和田琢磨(伊邪那岐、陵王)梅田彩佳(伊邪那美、木花咲耶姫)  *川井郁子(ヴァイオリン演奏) 年末、最後の観劇は、29日、東京国際フォーラムホールB7で開催された「八雲立つ」。装束シリーズと呼ばれている、昔の装束をできるだけ再現した衣装を着けて、演劇や舞踊を披露する国際フォーラムの公演は、過去に何度か観ている。今回の「八雲立つ」は再演作品とのことだが、前回は観ていない。でも、再演されるのは納得、という素晴らしい公演だった。 伊邪那岐・伊邪那美による国産みの物語に始まり、素戔嗚による八岐大蛇退治、天孫降臨、岩長姫VS木花咲耶姫…と、日本の神話をコンパクトに描きつつ、和楽と洋楽の絶妙なコラボが展開される。楽器は、和楽が笙、笛、鳴物、太鼓…

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朗読舞踊劇「新版 お七」観劇

朗読舞踊劇 Tales of Love Other Side 2025「新版 お七ー最初で最後の恋ー」 上演台本:与田想振付・演出:花柳幸舞音音楽監督:KOHKI演奏:KOHKI、大河内淳矢舞台監督:岡田直哉照明:㈱PAC音響:㈱PAC衣裳:市川政栄、松竹衣裳㈱かつら:徳々屋、㈱大澤かつら衣裳協力:CLOCHE pelaq制作協力:永田景子協力:dat works、STUDIO-KOHKI、OCO design.主催:朗読舞踊劇 Tales of Love Other Side 実行委員会・歌舞伎町劇場 <CAST>朗読…綾凰華(両日)、神尾晋一郎(27日)、土屋神葉(28日)舞踊…花柳幸舞音、藤間礼多演奏…KOHKI、大河内淳矢 2021年、大空ゆうひ主演で上演された「お七ー最初で最後の恋ー」を綾凰華主演で観られるとは💓宝塚歌劇団が十数年に一度発売するクリスマスCDで、ゆうひさんと同じ楽曲(クリスマスキャロルの頃には)を歌って以来の偶然かな。 脚本はゆうひさんが主演した時と同じ。ただ、あの時は、お七の心を幸舞音さんが舞うだけだったが、今回は、藤間礼多さんとの連れ舞で、お七と吉三郎の姿を声だけでない、立体的なものに見せてくれた。礼多さん、超イケメン💕丙午の生まれで十六歳、と言い張るお七。その心にあったのは、自分の心の中の恋心に殉じたい願いか、吉三郎を含む現実社会への失望か。一途に恋に突き進むお七のまっすぐなベクトルに比べ、吉三郎は様々なしがらみを抱えている。寺の小姓だが、武家の念者がい…

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「熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025」観劇

「熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025」 作:つかこうへい演出:中屋敷法仁振付:野田裕貴(梅棒) 音響:山本能久照明:熊岡右恭映像:込山璃久、富所浩一衣裳:佐藤憲也特殊効果:ギミック舞台監督:中島武主催:熱海殺人事件モンテカルロ・イリュージョン2025製作委員会 <CAST>木村伝兵衛部長刑事:多和田任益速水健作刑事:嘉島陸犯人大山金太郎:鳥越裕貴水野朋子婦人警官:木崎ゆりあ 昨年上演された時は、スタンダード版との連続上演だったが(タイトルも「熱海連続殺人事件」だった!)、今回は単独での公演、しかも同じキャストでこんな短期間での再演というのは、期待値の高さだろうか。さて、つかこうへいの「熱海殺人事件」は、様々なバージョンが存在している。私がこの作品を知ったのは、つか自身による小説版だったと記憶しているが、取調べを担当する部長刑事・木村伝兵衛の手によって、「熱海の砂浜でたかだかブスを一人殺しただけ」の犯人・大山金太郎が見事に十三階段を登って死刑台に立てるような大殺人犯に成長していく…みたいな、犯罪さえも演劇的に表現するとこうなるのか!という画期的な物語だった。とはいえ、ゆうひさんの外部デビュー作だった「滝の白糸」(唐十郎)といい、70年代の演劇って、ぶっちゃけ荒唐無稽で、今の時代の、常識的な演劇ファンにはついていけない部分があるな…とも思う。まあ、そんな、荒唐無稽感を高揚感に変えてくれる存在として、このモンテカルロ・イリュージョン版木村伝兵衛部長刑事役の多和田がいる、と思っ…

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