「昨日の月」観劇

劇団papercraft第11回公演「昨日の月」 作・演出:海路照明:國吉博文音響:櫻内憧海、野崎爽舞台監督:伊東龍彦舞台美術:椎橋蘭奈宣伝撮影:中川達也宣伝美術:大島悠宣伝ヘアメイク:伊達ともえ(KIND)演出助手:村田千尋制作:渡邉結衣、泰地美里、名波亜加里プロデューサー:清水達彦 <キャスト>大野歩…名村辰佐藤杏…福田麻由子橋岡寛希/守本…高橋健介ももこ…井上向日葵大野珠理…伊藤歌歩八木優佳…谷藤海咲土井/大野哲…村上航(猫のホテル)大野瑞枝/芳川…加藤貴子 昨日か明日を売るというアルバイトがあるらしいと聞いた大野歩(名村)は、それをやっているクラスメイトの佐藤杏(福田)に声をかけ、明日を売ることにする。明日は自分の誕生日。家庭に居場所がないと感じる歩には一番イヤな日だった。そんなこともあって、明日を売る抵抗の少ない日だったのかな。学校にも居場所のない歩が、どんどん明日を売り、やがては昨日も売り、学校にいかなくなり、杏と暮らし始めるまで、そんなに時間はかからなかった。明日や昨日を売り始めた頃は、お金も余っていたし、杏とはまだ、ただのクラスメイト状態だったので、風俗に行き、ももこ(井上)という女性と関係を持つ。また、杏に誘われるままに、不思議な店に行き、酒に溺れたりもする。物語後半、不思議な店の人々、杏、ももこは、月世界の住人だったことが、だんだんわかってくる。(え、SF⁉)人類は月を支配し、新しい人工の月を作り上げる。(だから月の住人は迫害され、地球上では「11号」という組織に抹殺され…

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タメ劇Vol.1「タイムカプセルBye Bye Days」観劇

舞台 タメ劇 Vol.1「タイムカプセル Bye Bye Days」 脚本:亀田真二郎演出:植田圭輔音楽:Yu(vague)振付:川隅美慎企画・プロデューサー:荒牧慶彦(Pasture)エグゼクティブ・プロデューサー:野上祥子(ネルケプランニング)BGM音楽制作:馬渕智史美術:乘峯雅寛照明:大波多秀起(デイライト)音響効果:天野高志(RESON)音響:瀬谷正夫(エス・シー・アライアンス)映像:O-beron inc.衣裳:大西理子(I-stage)ヘアメイク:akenoko▲歌唱指導:黒崎ジュンコ演出助手:河原田巧也舞台監督:冨岡伸夫技術監督:寅川英司 <キャスト>トモキ(茜沢智樹)…赤澤燈うみお(徳留海雄)…荒牧慶彦ゆーぼー(小山優作)…植田圭輔ノブ(塩崎伸生)…櫻田佑(トンツカタン)やっちん(堀井康人)…冨森ジャスティンはるちん(春田里志)…回替わりゲスト=青柳塁斗、トニー(マテンロウ)、市川刺身(そいつどいつ)、上田悠介、大山真志、小沼将大、栗谷(カカロニ)、塩田康平、橋本真一、服部武雄、山本一慶ほかSpecial Thanks:小野賢章、輝馬 タメ劇というのは、タメ(同い年)の俳優だけで構成された演劇という意味で、今回は、1989年度生まれ(学年)の俳優が実年齢の35歳と、20年前の15歳を演じ分けるという構成になっている。同じ35歳といえど、何歳に見えるかは、人それぞれだし、俳優として何歳くらいの役を演じているかもそれぞれなので、「同い年」の俳優が「同い年」の役を演じているというだ…

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「RUNWAY」観劇

SPECIAL ENTERTAINMENT STAGE「RUNWAY」 構成・演出:稲葉太地音楽:長谷川雅大、高橋恵振付:川崎悦子、原田薫、三井聡、大野幸人、若央りさ装置:國包洋子照明:氷谷信雄音響:大坪正仁衣裳:十川ヒロコアンサンブル衣裳:大西理子ヘアメイク:柴崎尚子歌唱指導:西野誠音楽助手・稽古ピアノ:宇賀村直佳稽古ピアノ:田中幸美演出助手:木下マカイ舞台監督:瀧原寿子<ミュージシャン>キーボード・指揮:荒井正美ドラム:高岡憲治ベース:石井孝宏ギター:池田定男ピアノ:中島徹、黒澤力也、内山朋子トランペット:後藤悠介、築山昌広サックス:真野峻磨バイオリン:田島朗子、坂元愛由子マニピュレーター:長谷部光祐、外山凌平 <出演者>蘭寿とむ 龍真咲 壮一帆 柚希礼音 凰稀かなめ北翔海莉 柚香光 / 夢咲ねね 朝月希和瀬戸かずや 愛月ひかる光月るう 沙月愛奈 響れおな 天寿光希 音波みのり 笙乃茅桜 夢妃杏瑠 和海しょう 風馬翔 晴音アキ 秋音光 希峰かなた 大原万由子 帆純まひろ 花束ゆめ KAATで参戦いたしました‼チケットを取ってくれたお友達は、轟悠様のファンとのことで、100周年当時の作品には疎く、「宝塚の曲が知らない曲ばっかりだったのは寂しかった…」と残念そうでしたが、その横で、ノリノリだった私💦ゆうひさんの現役時代は98周年までなのですが、まだまだ余韻でバリバリ観ていた頃の楽曲が出てきて、めっちゃ楽しかったです。あと、長年のファンだから感じる、この組み合わせ、もう一度…とか、同期の並…

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「天保十二年のシェイクスピア」観劇

絢爛豪華 祝祭音楽劇「天保十二年のシェイクスピア」 作:井上ひさし音楽:宮川彬良演出:藤田俊太郎振付:深海絵理子日本舞踊:花柳寿楽アクションコーディネーター:諸鍛冶裕太美術:松井るみ照明:勝柴次朗音響:山本浩一衣裳:有村淳(宝塚歌劇団)ヘアメイク:野澤幸雄映像:横山翼、KENNY歌唱指導:林アキラ日本舞踊助手:藤蔭静千華アクション助手:東慶介美術助手:平山正太郎照明助手:日下靖順ムービングプログラマー:鈴木寛子音響部:山下真以子、月井ゆかり、橋本みのり、中嶋志穂衣裳助手:川崎千絵衣裳製作:飯塚直子(松竹衣裳)ヘアメイク助手:富塚りさ映像部:松尾和稽古ピアノ:宮川知子音楽コーディネート:東宝ミュージック(森岡孝夫、松本まりや)ミュージシャンコーディネート:新音楽協会(川嶋哲也、古田佳、安達くるみ、大谷佳乃)演出助手:郷田拓実、鄭光誠舞台監督:中村貴彦 <キャスト>佐渡の三世次…浦井健治きじるしの王次…大貫勇輔お光/おさち…唯月ふうかお里…土井ケイトよだれ牛の紋太ほか…阿部裕小見川の花平ほか…玉置孝匡お文…瀬奈じゅん鰤の十兵衛ほか…中村梅雀尾瀬の幕兵衛…章平佐吉ほか…猪野広樹お冬ほか…綾凰華浮舟太夫ほか…福田えり清滝の老婆/飯炊きのおこま婆…梅沢昌代隊長…木場勝己 蜷川さんが演出した公演以来の観劇。えーと、2005年に観ているので、ほぼ20年ぶりってことですかね。当然、ほぼ覚えていませんでした…💧 新作を観るイメージで観劇しましたが…シェイクスピアも井上ひさしも、女性に対してあまりよい感情を持…

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「結合男子」観劇

Experimental Theater「結合男子」 原作:『結合男子』(SQUERE ENIX)演出:松崎史也脚本・作詞:三浦香音楽:国井陽平振付:REX(福澤侑、Daiki、皇希)美術:松生紘子照明:大波多秀起音響:吉田可奈映像:TOGUCHI、荒川ヒロキ衣裳・造形:早瀬昭二、辻沙織、吉村健一(マッシュトラント)ダンサー衣裳:丁鎣(1‐stage)ヘアメイク:瀬戸口清香アクション監督:栗田政明歌唱指導:草刈絵里子、今井マサキ演出助手:小林賢祐、高久健太舞台監督:須田桃李(DDR)<キャスト>源朔(H)…高橋祐理安酸栄都(O)…高野渉聖鍛炭六花(C)…高梨怜宇緑四季(Be)…早乙女友貴凍硝七瀬(N)…西山蓮都浮石三宙(Li)…北出流星鐵仁武(Fe)…磯野大舎利弗玖苑(F)…荒牧慶彦塩水流一那(Cl)…福澤侑清硫十六夜(S)…武子直輝天空王九慈(U)…吉高志音( )で元素記号を付記しておいたが、登場キャラ(劇中「志献官(しけんかん)」と呼ばれている)は、元素の力を宿している。結合してパワーアップもできたりする。一方で、鉄の要素を持つ志献官は、代々、錆びていく運命を背負っている。面白くなりそうな要素はあるものの、私は、あまり面白味を感じなかった。源朔は、真面目でそんなに口数も多くない。こういう役を演じるには、俳優自身が強烈なカリスマをもっていないと、最後まで観客が着いてこない。高橋は、キャリア不足なのだろう、つまらないヤツ…という印象を受けてしまった。物語の設定も暗いし、難しい。スタッフ側も、そう…

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「鴨川ホルモー、ワンスモア」観劇

「鴨川ホルモー、ワンスモア」 原作:万城目学(『鴨川ホルモー』『ホルモー六景』/角川文庫刊)脚本・演出:上田誠(ヨーロッパ企画) 美術:長田佳代子音楽:伊藤忠之照明:倉本泰史音響:加藤温映像:大見康裕振付:EBATO歌唱指導:福井小百合衣裳:高木阿友子ヘアメイク:大宝みゆき演出助手:山田翠、千代麻央舞台監督:川除学 <CAST>安倍…中川大輔早良京子…八木莉可子高村…鳥越裕貴楠木ふみ…清宮レイ(乃木坂46)芦屋満…佐藤寛太清原…石田剛太(ヨーロッパ企画)本赤人…酒井善史(ヨーロッパ企画)三好兄…角田貴志(ヨーロッパ企画)清森平…土佐和成(ヨーロッパ企画)べろべろばあ店長…中川晴樹(ヨーロッパ企画)紀野…藤松祥子大江…片桐美穂山吹巴…日下七海坂上…ヒロシエリ三好弟…浦井のりひろ(男性ブランコ)松永…平井まさあき(男性ブランコ)立花美伽…槙尾ユウスケ(かもめんたる)菅原真…岩崎う大(かもめんたる) 実に楽しい舞台だった。映画にもなった「鴨川ホルモー」と、そのエピソード集「ホルモー六景」を原作に、ヨーロッパ企画の上田誠が脚本、演出を担当した。ヨーロッパ企画は、舞台がベースで映画製作もやっている集団だが、京都を地盤に活動しているので、私は映画しか観たことがなかった。昨年、ヒットした「リバー、流れないでよ」は鳥ちゃん(鳥越裕貴)が出演していたから見たのだけど、もうすっかりハマってしまって何度も観た。そして、今回、やっぱり、「鴨川ホルモー」にもハマってしまった。万城目学さんの原作本も購入し、めちゃくち…

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「デカローグ」1~4観劇

新国立劇場小劇場で上演されている「デカローグ」(「十戒」をテーマにした10の小作品)、コンプリート目指してまず「1~4」を観劇した。 「デカローグ 1~4」 原作:クシシュトフ・キェシロフスキ、クシシュトフ・ピェシェヴィチ翻訳:久山宏一上演台本:須貝英 美術:針生康映像:栗山聡之照明:松本大介音楽:阿部海太郎音響:加藤温衣裳:前田文子ヘアメイク:鎌田直樹舞台監督:濵野貴彦、清水浩志総合舞台監督:齋藤英明 「デカローグ1・ある運命に関する物語」「デカローグ3・あるクリスマス・イヴに関する物語」 演出:小川絵梨子演出助手:長町多寿子 「1」<キャスト>クシシュトフ…ノゾエ征爾パヴェウ…石井舜イレナ…高橋惠子オラ…木下希羽、宮下楽七(交互出演)エヴァ・イェジェルスカ…浅野令子隣人の夫婦…鈴木勝大、森川由樹近所の住人…チョウヨンホヤツェク…関大輝、片岡蒼哉(交互出演)男…亀田佳明 原作となる短編連作映画は1988年製作。第1話には、パーソナルコンピュータが登場する。私の弟が当時珍しかったパソコンを買ってもらったのが、1980年前後だったと思うので、ブラウン管のテレビモニターや、そこに映し出される意味不明の英字と数字の羅列…はリアルタイムで見ていたそれと同じで懐かしかった。当時のパソコンは、プログラミングができないと使えないが、プログラミングは数式と簡単な英単語から成り立っているので、勉強すれば子供でも操ることができる。主人公、クシシュトフ(ノゾエ)の息子、パヴェウ(石井)は、父の理論通り…

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「GOOD 善き人」観劇

「GOOD 善き人」 作:C.P.テイラー翻訳:浦辺千鶴演出:長塚圭史 音楽進行:荻野清子、秦コータロー、片岡正二郎編曲:秦コータロー美術:石原敬照明:横原由祐音響:佐藤日出夫衣裳:前田文子ヘアメイク:河村陽子振付:広崎うらん歌唱指導:河合篤子演出助手:神野真理亜、溝端理恵子舞台監督:福澤論志 <キャスト>ハルダー…佐藤隆太モーリス…萩原聖人ヘレン…野波麻帆アン…藤野涼子ボック、事務官 他…北川拓実エリザベス、看護師 他…佐々木春香フレディ 他…金子岳憲ヒトラー 他…片岡正二郎ボウラー、医師 他…大堀こういち母親、アイヒマン 他…那須佐代子 <ミュージシャン>ピアノ、アコーディオン…秦コータローマルチリード…大石俊太郎コントラバス…吉岡満則ドラム…渡辺庸介 とても深い物語だった。まあ、普通に善人と思われるハルダーが、認知症っぽい母親(那須)のいる家を捨て、大学の教え子、アン(藤野)にのめりこんでいくのと並行して、ナチスに取り込まれ、優性思想推進に乗せられていく。そして、唯一の親友だったユダヤ人のモーリス(萩原)を救おうとしない。(そもそもモーリスが実在かどうかは、微妙(もしかしたら、ハルターの心の中の住人かもしれない)だけれど、まあ実在してても、見捨てるだろうなとは思う。)登場人物が、バンドに合わせて歌いだしたり、台に乗って浮かれたり、ちょっと面白い演出を入れつつ、中身は、人間自分が一番大事だよね…みたいな、本音があぶりだされる物語。善人って、なんにもしない人、ってことなのかもしれない。…

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中村福助・児太郎の会「三本の糸」観劇

第二回 中村福助・児太郎の会「三本の糸」 企画・構成:中村児太郎演出・脚色:市川青虎脚本:久保田創音楽:杉田せつ子、杵屋五吉郎、田中傳次郎振付:花柳達真殺陣:安田桃太郎狂言作者:竹柴健舞台美術:尾谷由衣衣装・ヘアメイク:nonchi(87)かつら:太陽かつら舞台監督:佐藤アキオ大道具:保坂史朗(ステージフォー)照明:大野哲生(PAC)音響:永井潤小道具:内野稔也(藤浪小道具)宣伝美術:清水みちる(礼泉堂)宣伝票券:池谷美保、石井千聖(全栄企画)制作:岡田るみ(ちあふる)、稲毛明子(エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ)プロデューサー:石塚仁基(全栄企画) スーパーバイザー:中村福助 主催:文化放送/全栄企画株式会社 <キャスト>天つ神…中村福助雪/お静…中村児太郎力丸/政…松田凌月太郎/佐吉…中村莟玉いと…小見川千明椿鬼座右衛門…安田桃太郎恨次…越中睦士神使…中村梅花魔女…中村芝のぶ男…中村福緒母/おとせ…中村梅寿父/村人…中村梅大 ほか キャストに惹かれて行ってきました メインの物語は、三人吉三なんだけど、そこに彼らの親世代の物語を絡めて、三人の関係性をより緊密なものに仕立てている。親の世代、夫婦とその弟だった政(松田)、お静(児太郎)、佐吉(莟玉)。貧しくとも幸せに暮らしていたが、椿鬼座右衛門(安田)の一味に幸せを打ち砕かれ、次々に死んでいく。お静の産んだ三つ子だけは、天つ神(福助)の慈悲によって助けられ、別々に育つ。そして、力丸(松田)、月太郎(莟玉)、雪(児太郎)として成長した…

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「ボイラーマン」観劇

赤堀雅秋プロデュース「ボイラーマン」 作・演出:赤堀雅秋舞台装置:池田ともゆき照明:佐藤啓音響:田上篤志衣裳:坂東智代ヘアメイク:林摩規子演出進行:松倉良子舞台監督:足立充章 <キャスト>中年男…田中哲司喪服の女…安達祐実老人…でんでん中年女…村岡希美喪服の男…水澤紳吾若い女…樋口日奈若くもない男…薬丸翔小柄な女…井上向日葵警官…赤堀雅秋 赤堀雅秋×本多劇場、わりとコンスタントに観ている気がする。 今回の作品は、過去に観た作品ほどヤバい人も出ていなくて(少々ヤバい人しか出ていないとも言う)、事件も起こらない。主人公の中年男は、たぶん、今夜のことを今後の人生で思い出すことはないような、そんな、なんでもない一夜の物語が、ちゃんとエンゲキになっている…というのが、素晴らしい。 村岡希美の、訊かれてないのに「独身なんです」と言っちゃう中年女のプチヤバい雰囲気や、喪服の男のカタギなのだけど、ちょっとヤバい感とか、小柄な女の醸し出す宗教感とか、彼女の語る「死」と、老人が恐れる「死」の徹底的に相容れない感とか、赤堀演劇の濃いエキスがあちこちに散りばめられている。それでいて、若い女と若くもない男が、うまくまとまってしまう展開は、あー、まだなんか知らない部分があったかも…と、興味深く感じた。 田中演じる中年男の「ここの人じゃない感」と、安達演じる喪服の女の「ここにしか生きられない感」が交差し、なんとも言えない人生の妙が浮かび上がる。ただ夜の道を歩く二人の世界をもっと見たかったが、それは心の中で想像するべ…

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