「Happy Families」深読み

年末に観たスタジオライフの「Happy Families」、作品を観ながら、もしかしてこういうことなのかなと思ったことが二つある。 ひとつは、階上に住んでいるデレック(楢原秀佳/鈴木智加寿)のこと。彼は、階下のアラン(曽世海司/坂本岳大)とメリック(久保優二/楢原秀佳)のところによくやって来るが、メリックは、彼の存在を快く思っていない。アランの友人だから我慢していると言っている。そんなデレックは、9年前に離婚したアランの前妻を知っている。アランとデレックは、十数年を同じ高級住宅街の上下階で過ごしている。で、二人ともゲイなわけで。ちょっと付き合ったことあるんじゃないかなで、最終的に、友人として生きることを選んだのではだって、メリック、嫉妬しすぎなんだもん… もうひとつ、思ったのは…アランは、あの晩、かなり早い時期から「頭が痛い」と言っていること。これ、もしかして、ちゃんと調べたら、彼の病死がハッキリするんじゃないだろうか。 アランはあの日、スコットランドからロンドンまで車を飛ばしてきた。家に帰ると、濃いお酒を立て続けに飲んでいた。さらに、メリックの希望を聞いて、9年ぶりに再会した二人の多感な子供に、自分のセクシュアリティをカミングアウトし、その結果、息子から至近距離でクリケットのボールをぶつけられて鼻を骨折。どんだけ血圧が上がったり下がったりしたか知れない。 クリケットのボールをぶつけられた外傷性の脳出血なのか、それとも、その前から病変があったのか、ちゃんと解剖したら、結果がわかって、メリッ…

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「Happy Families」観劇

文化庁委託事業平成30年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業日本の演劇人を育てるプロジェクト新進演劇人育成公演[俳優部門]「Happy Families A Greek Tragedy in London」 作:デボラ・ラヴィン翻訳:河内喜一朗 スタジオライフ上演台本:倉田淳 舞台美術・舞台監督:倉本徹照明:山崎佳代音響:竹下亮(OFFICE my on)衣裳:スタジオライフ衣裳部ヘアメイク:MUU演出助手:宮本紗也加宣伝美術:佃美月(FORM)チラシイラスト:及川健協力:葛城奈菜海、円企画、劇団ひまわり、style office、よしよしこ(アナログスイッチ)企画:藤原啓児制作協力:スタジオライフ プリエール制作:公益社団法人日本劇団協議会主催:文化庁 公益社団法人日本劇団協議会 育成対象者:久保優二、澤井俊輝、千葉健玖、鈴木智加寿(MC企画)、相馬一貴(演劇集団円)、高尾直裕(劇団ひまわり) 年末にクリーンヒットが出ました2018年のライフ作品で一番好きかもしれない(過去の公演は観ていません…) タイトルは、“ハッピー・ファミリーズ”となっているが、イタリック体でサブタイトルが書かれている。“ロンドンのギリシャ悲劇”…ギリシャ悲劇にもいろいろあるが、観終ってみると、これは壮大なネタバレというか暗示だということがわかる。(つまり、作品テーマは、「オイディプス王」であった)緻密で、よくできた脚本なので、演じる人の数だけ違うニュアンスの舞台が出来上がると思うし、それでいて、俳優ではなく…

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JUN企画「言葉の奥ゆき 通」

「言葉の奥ゆき 通(アゲイン)~夏休みの宿題~」 演出:倉田淳舞台監督・美術・照明:倉本徹音楽協力:竹下亮(OFFICE my on)音響オペレーター:宮本紗也加制作:Studio Life 昨年上演された「言葉の奥ゆき」のパート2。前回は、小説の朗読については太宰治が中心だったが、今回は、かなりバラエティに富んでいる。 笠原浩夫「ジュール伯父さん」(モーパッサン)山本芳樹「死後の恋」(夢野久作)曽世海司「夢十夜」より抜粋(夏目漱石)岩崎大「一房の葡萄」(有島武郎)牧島進一「沼のほとり」(豊島与志雄)関戸博一「マドモワゼル・ペルル」(モーパッサン)松本慎也「白」(芥川龍之介)仲原裕之「シモンのパパ」(モーパッサン)宇佐見輝「並木」(川端康成)千葉健玖「荒野の王子さま」(O・ヘンリー) 今回、一番多いのはモーパッサン作品。もちろん、フランス語で朗読されるわけではなく、翻訳されたものが朗読されるわけで…JUN企画が新たな境地に進むんだな~と、期待しての観劇となった。 私が観劇した時のラインアップは、下記の通り。 朗読:関戸博一「マドモワゼル・ペルル」朗読:曽世海司「夢十夜」詩:吉成奨人「初恋」(島崎藤村)詩:前木健太郎「人に」(高村光太郎) まあ、つまり千秋楽ですよ(笑)JUN企画の初日を観て、翌日からムラに行き、帰った翌日に千秋楽を観る…という、そんな強硬スケジュール。でも、行けてよかった まず、この日が初日(にして千秋楽の)関戸「マドモワゼル・ペルル」。モーパッサンらしい地の文の流…

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Jun企画「Who am I?」観劇

「Who am I?」 作・演出:宮本紗也加照明プラン:倉本徹照明オペレーター:前木健太郎音楽協力(楽曲提供):竹下亮(OFFICE my on)、山本芳樹音響オペレーター:吉成奨人制作:Studio Life スタジオライフで、脚本・演出を担当する倉田淳氏の企画した、Jun企画。今回は、朗読シリーズ「言葉の奥ゆき」の2回目と、演出助手の宮本紗也加が書いた二人ミュージカルの上演という二つの企画を4日間でやってしまおう…という、さすが倉田さんな企画である。そんな無茶振り企画を、しっかり形にしてしまうライフの男たちが、私は大好きである。 若い演出助手の宮本さんの作品を上演しようとしたのは、スタジオライフという劇団を自身のライフワークに終わらせず、次世代ということを考え始めたのかな…と、思った。 作・演出が宮本さんで、出演は、Jr.11の若林健吾と、Jr.16に昇格したばかりの鈴木宏明。路上ライブをしている連(若林)の姿に感動して、彼を家に連れ帰る不思議な青年、奏(鈴木)。いささか、唐突で強引な導入部は、二人がほぼ同じタイミングで、他の人格に転換することで、納得に変わる。奏は、連の歌の中に、自分の抱えている不安に通じるものを感じ取ったのだろう。そう、二人は、いわゆる二重人格者(解離性同一性障害)だったのだ。連は、旬という人格に変わっている。オドオドした連と違い、明るくて人なつこい。奏は、律へ。彼は、解離性同一性障害について研究している。その研究費を捻出しているのが、奏。彼は元ホストのキャリアを生…

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10年ぶりの「カリフォルニア物語」

行ってきました ちょうど、撮影OK日だったので、宣伝を兼ねてご紹介させていただきます。Grassチームとなります。 後方は、司会のアレックス・吉成奨人、ケイシー・鈴木宏明、ピート・若林健吾、前方が、ブッチ・前木健太郎、スウェナ・伊藤清之。フレッシュからJr16に昇格した三人と一緒でもほとんど浮いていないJr11のわかちゃん、すごいむしろ吉成くん(Jr15)の方が落ち着きがあるような…。 なんかステキすぎるリロイ・石飛幸治と、ルシンダ・宮崎卓真。宮崎くん、来るたび女役…リロイさまがあまりにセクシーだったので、この二人の写真を大量にアップしたいと思います。        リロイはゲイのキャラクターなので、お色気女子のルシンダとは、ただの友人関係という設定なんですが、えらく仲良しなお二人です。 こちら、主人公ヒースご一家。左から、父マイケル・藤原啓児、ヒース・仲原裕之、兄嫁スージー・宇佐見輝、兄テリー・中野亮輔。複雑な家族関係だった芝居と違って、和気あいあい。   中野さん、何故か、結構メイクが厚塗りで、能役者風… メインの三人。左から、イーヴ・千葉健玖、ヒース・仲原、インディアン・澤井俊輝。がっつり肩組んで、いい感じ。 仲原くん、澤井くんのアフロ風の鬘のさわり心地がお気に入りのよう。 集合写真。 ちょっと寄ってみました。 藤原さん、いい顔してます。若手の頑張りに、手ごたえを感じたのかな…なんて思いました。

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「アンナ・カレーニナ」観劇

「アンナ・カレーニナ」 原作:レフ・トルストイ脚本:ジョー・クリフォード翻訳:阿部のぞみ演出:倉田淳 美術:乘峯雅寛照明:日下靖順(ASG)照明OP:和田恵音響:竹下亮(OFFICE my on)衣裳:竹原典子ヘアメイク:川村和枝(p.bird)演出助手:宮本紗也加舞台監督:倉本徹小道具:高津装飾美術宣伝美術:鈴木勝(FORM)制作:Studio Life いい舞台だった。宣伝コピーは、下記の通り。「十人十色というからには、心の数だけ恋の種類が、あってよいのではないかしら」これは、ポスターだけでなく、観客に配られる無料のチラシの表にも書かれている。(配役とスタッフと公演スケジュールが書かれている優れもので、これを持ってさえいれば、公演感想が書けてしまうのだ)つまり、この芝居のテーマなんだろうな、と思う。その言葉通り、冒頭に離婚の危機を迎えるスティーヴァとドリーの夫婦、素朴なコースチャとキティの若いカップル、そしてアンナとヴロンスキーの刹那的な激しい恋が対比されているような舞台だった。 そんな今回の公演、それほど全役Wキャストという感じではなく、やはり、ヴロンスキーは、劇団の誇る永遠の二枚目、笠原浩夫一択なのでしたヒロインのアンナ・カレーニナは、「И」チームが岩崎大、「C」チームが曽世海司。大型のカップル姿は、どちらのチームも美しかった。ジョー・クリフォードによる作劇は、非常にわかりやすく、一人の女性の、女性ゆえの悲劇になっていて、今の時代に伝わりやすいものだと思った。 アンナ・カレーニナ…

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「DRACULA」撮影会

スタジオライフの「DRACULA」を観に行ったら、終演後撮影会があったので、宣伝を兼ねて公開。この回の公演は、曽世海司がドラキュラ伯爵を演じるWeirDチーム。 まずは、笠原浩夫さまの大好きなツガニー人トリオ。ドラキュラ伯爵が眠るための木箱を運んでくれる現地の肉体派の皆さんです。左から鈴木宏明、若林健吾、前木健太郎。 続いて、ドラキュラ城に住んでいる三人の魔女。ドラキュラよりは魔力が劣るものの、不死の魔女たち。左から仲原裕之、吉成奨人、宮崎卓真(客演)。 ドラキュラ討伐隊の皆様。左からセワード・江口翔平、ヘルシング教授・船戸慎士、キンシー・千葉健玖、アーサー・鈴木翔音。 アーサー・鈴木と、アーサーの婚約者で悲劇的な死を遂げるルーシー・関戸博一。美男美女。 左からヒロインのミナ・宇佐見輝、子キンシー・伊藤清之、ドラキュラ伯爵に魅入られたジョナサン・松本慎也。事件が解決した後、この夫婦の間に子供が生まれ、事件で亡くなったキンシーの名前が付けられる。でも、ドラキュラに血を吸われたミナが生んだキンシーは、消滅したドラキュラのDNAを受け継いでいるのかもしれない… ドラキュラ・曽世海司と、ジョナサン・松本。鬘と衣装は、2つの公演でそれぞれ違っていて、その辺も面白い。 「ポーの一族」の中にも、ロンドンにドラキュラが現れたという歌があったりして、実はこの話、ポーツネル男爵夫妻消滅事件と同時代なのよね。二つの劇場の二つの吸血鬼物語、どちらもステキです。

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club LIFE 大感謝祭~マーガレットの花たちは冬に咲く~

「club LIFE 大感謝祭~マーガレットの花たちは冬に咲く~」 舞台監督:倉本徹音響:竹下亮(OFFICE my on)舞台美術・照明プラン:倉本徹照明オペレーター:澤井俊輝、牛島祥太映像オペレーター:吉成奨人企画・制作:Studio Life スタジオライフの公認FC、club LIFEは、ライフが「トーマの心臓」を初演した頃に発足、現在は、チケットの優先予約のほか、ファンクラブイベントなど、ライフの俳優とファンが一緒に楽しめる数々の催し物を提供している。今回は、ウェストエンドスタジオで22ステージの多種多様なイベントを行ったうえで、中野サンプラザでクリスマスパーティーをやるという…2017年は、FC結成20周年だったからか、1月の「ファンの集い」から12月の「大感謝祭」まで、盛り沢山の一年。 もしかしたら22ステージを全通した方もいらっしゃるかもしれないが、私は、4ステージだけ。その4ステージの備忘録を書いておこうと思う。 「DOMINO LOVE」リーディングリーディングは、2作品あり、私は両方とも一度ずつ見ることができた。そもそもは、舞台で上演している作品をリーディングで再現する。リーディングならではの配役もあって面白い。この「DOMINO LOVE」は、初期の作品とのことで、私は初めて知った。内容的には、泉鏡花の「海神別荘」なのだが、現代版というか、ヒロイン(久保優二)がキャバ嬢という設定。その彼氏でキャバクラのホールで働く男(奥田努)と夜逃げをしたものの、売り飛ばされ、行っ…

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「はみだしっ子」観劇

―自分の居場所がなくて家出したボク達は 港を探してさまよっている船のよう―「はみだしっ子」 原作:三原順脚本・演出:倉田淳 美術:乘峯雅寛舞台監督:倉本徹音響:竹下亮(OFFICE my on)照明:阪口美和照明オペレーター:阪口美和、中島俊嗣(SLS)衣裳:竹内陽子ヘアメイク:MUU大道具:俳優座劇場小道具:倉本工房演出助手:宮本紗也加 「THE SMALL POPPIES」で5歳児を違和感なく演じたスタジオライフ、とうとう、三原順の「はみだしっ子」に挑戦今回は、トランク・煙草・帽子の3チームに分かれての公演、3組の4人組が誕生した。トランクチームは、グレアム:岩崎大、アンジー:山本芳樹、サーニン:緒方和也、マックス:田中俊裕…のアダルトチーム。煙草チームは、グレアム:仲原裕之、アンジー:松本慎也、サーニン:千葉健玖、マックス:伊藤清之(Fresh)…の中堅チーム。帽子チームは、グレアム:久保優二、アンジー:宇佐見輝、サーニン:澤井俊輝、マックス:若林健吾…の若手だんごチーム。トランク、煙草のように、グレアム・アンジーに対してサーニン・マックスに若手を配することができない帽子チームは、逆に、Jr.11-12の近い学年でメンバーを揃え、チームワークで見せようとしたのかな。 劇場には、ライフファンだけでなく、原作ファンと思しき方達も連日訪れていらしたようで、三原先生の原画をモチーフにしたグッズは、私が観劇した時にはほぼ完売状態だった… 私自身は、「はみだしっ子」という作品とキャラクターは知…

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ライフのファンクラブ

劇団スタジオライフのファンクラブ(CLUB LIFE)に入会して、もう10年くらいになるのかな… 今でも劇場に行くと、新規会員募集のチラシをもらう。そこには、劇団員の個人写真が、今は、10人分掲載されている。 現在、劇団HPに掲載されている劇団員は38名。新入団員のFreshは、研究生扱いになっていてまだHPに掲載されていない。 10/38ということは、この10人が劇団のプリンシパルということになるのかな。その10名とは… <シニア>笠原浩夫<ジュニア1>山本芳樹<ジュニア2>曽世海司<ジュニア3>岩崎大<ジュニア5>青木隆敏<ジュニア7>松本慎也、関戸博一<ジュニア10>松村泰一郎<ジュニア11>宇佐見輝<ジュニア12>久保優二 まあね、在籍していても、10年くらいライフの舞台に出ていない姜暢雄くんとかを入れるのは、違うと思うけど… 主演経験のある仲原裕之とか、同期の中で抜擢が一番早かった緒方和也とか、鈴木翔音とかが入っていない不思議。 CLUB LIFEには、役者指名制度というのがあって、会報と一緒に担当役者からのメッセージ(便箋1枚くらい?)を受け取れる。(指名しないとアトランダムに送られてくるらしい。)指名の多い順なのかしら…などと、考えてしまう。 人気商売ですものね。

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