劇場クラスターの顛末

1年ぶりに、劇場からクラスターが発生したことが話題になっている。そこで、ちょうど1年前、シアターモリエールで起きたクラスター事件の記事をもう一度、掘り返してみたいと思う。こちらが、その時の記事です。 一方、今回のクラスター、出演した女優さん(PCR陰性)のNOTEが唯一の情報なので、偏りがあるかもしれないが、驚くほど、昨年の問題点を踏襲していた。体調の悪い出演者、感染が確認された出演者がいたにもかかわらず、全員の検査、対象者の休演など、適切な処置を取らなかったアルコール消毒、舞台と客席の距離など、公演中の感染予防対策が不十分だった出演者・観客の安全より、集金を優先していたキャストと観客の交流(終演後面会・2ショットチェキ撮影)を無理やり実施したことから、観客にも感染が確認された主催が、あらゆる意味で、責任を放棄している 今、劇場でクラスターが発生するとしたら、これ以外の原因は考えられない。 その理由はハッキリしていて、主催(プロデューサー/演出家)が、その公演を「金づる」としか考えていなかったからだ。この公演を、安全に多くの観客に届けたい、という演劇関係者としての当然の思いが、そこにはなかった。劇場との当初の約束通りの配席ではなく、少しでも客を多く入れようとしたり、舞台から近い1列目の観客にフェイスシールドを渡すこともしないで、トイレ等の石鹸液・消毒液の補充も怠り、そのくせ、キャストから不安の声が上がっているのに、チェキ撮影を実施し、その上がりを主催が総取りとか…もうどこから突っ込んでいいか…

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6月の状況

東京都の緊急事態宣言は20日で解除、まん延防止等重点措置(~7月11日)に移行した。劇場での演劇公演は、21時までの上演時間を守れば、定員まで客席を埋めることができる。 観劇できなかった作品…「改竄熱海殺人事件 モンテカルロイリュージョン」(紀伊國屋ホール=先行作品「新熱海殺人事件」で陽性者が出て公演が中止、こちらの公演にも出演するキャストが「濃厚接触者」と認定されたため、全公演中止となった。 視聴した作品…「BANANA FISH(千秋楽)」(2.5次元)、「桜嵐記/Dream Chaser(千秋楽)」(宝塚月組)、「舞台刀剣乱舞无伝(千秋楽)」(2.5次元) 普通に観劇できた作品…「アウグストゥス/Cool Beast!!」(東京宝塚劇場)、「レ・ミゼラブル」(帝国劇場)、「ヴェネチアの紋章/ル・ポァゾン」(全国ツアー)、「楽屋」(浅草九劇)、「外の道」(シアタートラム)、「ロミオ&ジュリエット」(TBS赤坂ACTシアター)、「ほんものの魔法使」(KAAT神奈川芸術劇場)、「Disney 声の王子様」(ぴあアリーナMM)、「桜嵐記/Dream Chaser」(宝塚大劇場)、「徒然アルツハイマー」(駅前劇場)、「舞台刀剣乱舞无伝」(IHIステージアラウンド東京)、「MARS RED」(銀河劇場=まん延防止等重点措置により、夜公演の前売販売中止。上演は予定通り)、「ROSSO」(TBS赤坂ACTシアター) ※太字の公演は、夜公演が時間通り開催されたもの※赤字の公演は、私は観劇できたが、日程…

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XXX

タイトルの「XXX」、キスという意味があります。英語の手紙のラストに時々、「XXX」で〆ているものがあって、あれは、「キスをおくります」っていう意味なんだそうだ。「花子とアン」でおなじみの村岡花子さんが、交際中の儆三(のちに結婚)に当てた手紙を、展示で見たことがあるが、見事に「XXX」で〆られていた。 しかし、ここで書くのは、手紙の話ではなく、舞台の話だ。舞台で、出演者が本当にキスをするようになったのは、ここ十数年の話だ…というのは、皆様、ご存じだろうか そもそも、日本には、キスの習慣がない。いや、口吻の習慣があったらしいことは、文献からもうかがえるのだが、どういう間柄の人が、どういう状況で、どんな形の“口吸い”を行っていたか、いまいち、わからない。豊臣秀吉は、息子の秀頼に、しょっちゅう「口吸い」をしていたらしいが、これが、欧米の習慣を取り入れたものなのか、古来、恋人同士で行ってきたものを、わが子&生んでくれた淀君を愛しすぎて、赤ちゃんにも行ってしまったのか、調べれば、なにか手掛かりは得られるのかもしれないが、私としては、誰か調べてくれないかなぁ~と思うレベルの興味だったりする。キスの習慣がない、と書いたのは、性のプロセスとしてのキス(口吸い)はあったものの、友人・知人と交わす(唇以外も含む)キスの習慣がまったくないということだ。 たとえば、こちらのアツアツのキスシーン、日本の無条件降伏により、第二次世界大戦が終結したニュースが流れ、NYのタイムズスクエアで、水兵の青年が、歓喜のあまり、赤の…

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コロナ下なのに、どうして劇場でしゃべるのか…

先日、なぜ、人は劇場の座席で、どうでもいい話を、し続けるのか、ということについて、考えてみた。こちらです。これは、特にコロナ下となってしまった昨今のことではなく、一般論として、自分も含めて考えてみたことです。 コロナ禍の中、劇場も何度か公演中止の憂き目に遭い、感染リスクを減らすために、各劇場はたくさんの対策をしている。その中に、開演前、休憩中、終演後の時間帯に、観客同士が会話しないように注意するという対策も含まれている。東京宝塚劇場では、「飛沫防止のため、お客様同士の会話・談笑はお控えください」というアナウンスを行っている。まあ、それが、本当に感染防止対策として有効なのかどうかは、かなり怪しいところではあるが(※)、いくつかの理由(☆)で、こうせざるを得ないのだろうということは理解できる。 ※有効性が怪しいと思うワケ〇飛沫は前方に落ちるので、座席に座って横同士で話している限りは、感染する危険が少ないと専門家も言っている。また、マスクをして一定の距離を保って大声でなく会話する場合もリスクが低いと言われている。劇場以外の場所では、マスク越しの会話は禁止されていない。〇「お連れ様同士の会話・談笑」を注意しているが、そもそも「お連れ様」であれば、ここで会話しなくても、その前後で会話を存分にするだろうし、そもそも知り合い・友人・家族なんだから、別の場所でも一緒なんじゃないだろうか=もし感染しても、ここで会話したことが原因だなんて特定できないよね。〇飛沫が問題なら、「お連れ様同士の会話・談笑」を注意して歩…

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なぜ人は劇場でしゃべるのか

劇場に知人と連れ立って行く。上演中はもちろん静かにしているが、開演前、休憩時間、終演後、どうしてずっと話し続けているんだろうこんな状況になったことで、あらためて、なぜ、私たちは劇場でしゃべるのか…を考えてみた。(劇場の係の方からたくさん注意されている現在のことではなく、一般論です。) 劇場って、居心地が悪い。端席だったり、隣が空席だったりすると、なにやらホッとする。それはたぶん、パーソナルスペースを侵食するくらい近くに他人が居るという、居心地の悪さなのだと思う。だから、知人と一緒に観劇すると、端席や空席と同じ安心感を得ることができる。ただ、今度は、その安心感を維持するために、なのか、別の居心地の悪さが発生するのか、無言ではいられない空気が生まれる。知っている安心感が、無言でいることで、他人の居心地悪さに変わるかのような、「圧」がある…みたいな。(家族だったりすると、安心したまま無言でもいいのかもしれないけど。)親しさがそれほどでない方が、より、無言がつらい。なにか、自分が、その人を無視しているような、申し訳なさを感じてしまう。今、こんな事態になって、いつも一緒に観劇する友達とは、お互い最小限しか話さない暗黙の了解ができているが、(こんな事態になったので、それ以外の友人と観劇する機会はほぼゼロ(笑))こんな事態が収束したら、またダラダラ話すようになるのかな なぜ人は劇場でしゃべるのか、それも、ほぼ舞台と関係ない話を…という謎は、はっきりと解決していないが、「ある種の居心地の悪さ」がもたらす、「仲…

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劇場からのお願い

最近の各劇場でのアナウンス、少し前からの変化として、 お連れ様との会話をやめて 劇場へは、直行直帰 この二点への言及が多くなった。 「会話をやめて」については、劇場によって表現が違っていて、宝塚では「お連れ様同士での会話、談笑はお控えください」、ステアラ(舞台刀剣乱舞)では、「私語禁止」となっている。この辺は、どちらがいいか、好き好きかな…と思うが、「会話・談笑」という言葉に、私は、毎度、イラッときている。たしか、去年、最初の頃は、「談笑」だけだったんだよね。でも、唐突に“だんしょう”だと意味が分からないと思ったのか、やがて、「会話・談笑」に変わる。だったら、「会話」だけでよくないなんで、二語重ねるかな最近は、「千秋楽まで公演を続けるためにも…」という言葉が加わり、もはや、脅迫…脅迫するくらいなら、「私語禁止」のプラカード持って立っててくれた方が、すっきりするぞ まあ、とにかく、控えてくれと言われているのに、わざわざ劇場内で無意味に喋り続けるのもアレなので、できるだけ、ご意向に沿うようにはしているが、さすがに一人の時以外は、“手話とラインで会話”まではしていない。知り合いがいれば挨拶はするし、連れとは、トイレ行く?とか、チケット代払うね、みたいなことは話す。公演終了後は、「よかったねー」「素晴らしい」くらいは言い合う。それすらもダメと言うなら、もはや、連席でチケットを売るべきではないだろう。一般だけでなく、VIPでもOGでも生徒席でも。 そもそも、隣席同士がマスク越しに会話をしている場…

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5月の状況

5月11日での解除が延長され、しかし、31日いっぱいで解除される予定だった、東京都の緊急事態宣言と三県へのまん延防止等重点措置は、6月20日までの、さらなる延長が決定した。残念すぎる。ただし、演劇への“無観客”については、5月11日までで終了、12日からは、さらなる感染防止対策を実施の上、演劇・イベント・スポーツ等の有観客実施が再開した。この結果、演劇は再開、映画はダメ(東京都)という状況が起きてしまい、エンタメ関係者を戸惑わせている。私の住居地の近くのことを書いてしまったが、関西はまた違う要請が出ていて、遠征民としては、そんなに全部覚えられないよ~と悲鳴を上げている。とりあえず、自分の観に行く公演の再開について、日々調べては、手帳に記載し、中止が決まったら、払い戻しの期間を調べたり…と、本当に余計な手間が増えてばかりだった。  観劇できなかった作品…「ダブル・トラブル」(紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA)、「舞台刀剣乱舞无伝」(IHIステージアラウンド東京)、「魔界転生」(明治座)視聴した作品…「FAKE MOTION‐THE SUPER STAGE‐」(2.5次元)、「ホテル スヴィッツラハウス」(宝塚宙組)、「夢千鳥」(宝塚宙組)、「ロミオとジュリエット」(宝塚星組)、「アウグストゥス/Cool Beast(千秋楽)」(宝塚花組)、「パセリがすねた」(劇メシ)、「ミュージカル刀剣乱舞東京心覚」(2.5次元)普通に観劇できた作品…「ダブル・トラブル」(志木市民会館パルシティホール…

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オレたちには長澤まさみがいる!

「逃げ恥じ」のヒラマサさんとみくりちゃんこと、星野源さんと新垣結衣さんが結婚するとか。 このビッグカップル誕生は、会社でも大きな話題となった。 そして、ガッキーファンの男性陣の傷心ぶりは、気の毒なほどだった。 さんざんショックを訴えたあげく、「でも、オレたちには、長澤まさみがいる」と言って立ち直っていた。(ちなみに、既婚者。子供もいる。たぶん関係ないんでしょうね。) どうやら世間には同じような方が多かったようで…ガッキーと長澤まさみは、同じ棚なのでしょうか

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田村正和さん…

俳優の田村正和さんが亡くなった。77歳。もう40年も前になると思うが、TBSドラマ「離婚ともだち」というドラマが好きで(渋すぎる…)、ヒロインの大原麗子と同棲しているイケメンの大学の先生役が田村正和さんだった。最初は非の打ち所ない彼氏だったのに、彼女を取られそうになると、どんどん余裕がなくなり、変な人になっていく…後年、二枚目とコメディの両方で才能を発揮する萌芽だったのかな…なんて、ふと思う。あとは、蓮城三紀彦「戻り川心中」を題材にしたミステリードラマで、死ななかった大作家という役を演じたのも、印象に残っている。マニアックなものばかり言ってるな(汗) これは1969年の映画「黒薔薇の館」に出てくる青年。まだ爽やかな雰囲気を残しつつ、退廃的なストーリーがよく似合う、印象的な役でした。深作欣二監督で、ヒロインが美輪明宏。田村さんは、父(小沢栄太郎)に囲われるヒロインを愛し、心中してしまう、疾風怒濤に生きた青年役。前年に大ヒットした「黒蜥蜴」の人気にあやかって、もう一度深作監督がメガホンをとった作品らしい。美輪様演じるファム・ファタルにすべてを捧げる父と息子それぞれの愛、そして、彼女のために人生を棒に振ったたくさんの男たちの物語は、衝撃的でした。 本当に絵になる役者さんでした。ご冥福をお祈りいたします。

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緊急事態宣言延長!劇場は?

5月11日まで、とされていた、緊急事態宣言、5月31日までの延長が発表された。 今回の発表内容は、以下の通り。期限…5月31日まで対象…東京都、大阪府、京都府、兵庫県に加え、愛知県、福岡県の6都府県内容…一部変更(下記) 〇床面積が1000㎡を超える映画館・百貨店など大型商業施設…休業要請⇒午後8時までの時短要請※〇イベントの開催…社会生活の維持に必要なものを除き、無観客開催⇒観客上限数を5000人か収容率50%のいずれか少ない方を適用。午後9時までの開催を求める※〇飲食店…酒、カラオケ設備提供する店舗に休業要請⇒利用者による酒類持ち込みを認めている飲食店も休業要請対象に追加路上・公園での集団の飲食への対応…感染リスクが高い行動に必要な注意喚起をする⇒法律に基づき、注意喚起や自粛の要請をする※大型商業施設、イベントについては、各知事の判断で独自の上乗せOK この※を受け、東京都の小池知事は、映画館・百貨店など大型商業施設に対して、引き続き、休業を要請したが、イベントの開催については、国の基準をそのまま適用することを発表した。というわけで、12日以降、野球場などは観客を入れることができ、劇場、テーマパーク、遊園地の営業もOKということになる。ただし、感染拡大の危険性が高まった場合、再度の休業要請の可能性もあるとのこと。酒・カラオケ店は休業要請、その他の飲食店は午後8時までの時短要請が続く。 東京都にある公的施設は、ほぼ、31日まで閉鎖を継続するようだ。新宿御苑は、桜に続いてバラも見られない……

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