「ひとのみち」って書いたけど…

「ひとのみち」に外れたことなんて、一度もしたことがない、と、言っている人がいたら、かなりの大ウソツキか、忘れっぽい性格なんだと思う。誰でも、生きている限り、大なり小なり、「ひとのみち」に外れることをしてきたはずだ。私だって、えらそうに語る資格はない。特に、「色恋」っていうヤツは、本人にはどうしようもない、「不可抗力」だと思うから、多少のことなら、目をつぶってあげたいと思う。自分に関わりのないところで、だったら。 「寝物語」っていうのがあるそうで。そこで、面白おかしく語られたことが、「真実」のように、一人歩きして、当人の元上司の耳に入った。もう、彼女は、普通の人生は歩いていけないだろう、と思う。 でも、同情する気はないな。「不倫はいけません」みたいな「ひとのみち」についてお説教する気はないけど、たとえどんな不満があっても、「お世話になったところに、後足で砂をかけるようなことをしちゃダメなのよ」っていう「ひとのみち」に反し、しかも、こっちには砂がかかってるんだもの。 上記の記事は、2006年に書いたものだ。(2006年6月6日の記事)それから、一回りの歳月が流れた。最近、2006年頃の観劇記録を探していて、その時にふと、目に留まって読んだら…すっかり忘れていた、私、こんなこと書いていたのね。 その後、私たちの会社は解散し、私は元の会社に戻り、「元上司」は、現在、第二の人生を楽しんでいる。で、「彼女」なのだが、現在、私の会社の最大の取引先に勤務している。こっちがひれ伏す立場まだ会ったこと…

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73年目の夏

今から73年前の8月9日午前11時、長崎に原爆が落とされた。高校生の時、修学旅行で九州に行き、長崎で原爆資料館を訪れた。恐ろしかった。楽しい修学旅行で、箸が転んでも笑い転げる年代の高校生が、あの時だけは無言になった。もちろん、平和記念公演も訪れた。 今も高校生は修学旅行で原爆資料館を訪れるのだろうか。果てしなく暑い夏、平和ボケしまくっている私だけど、8月6日、8月9日、そして8月15日は、しんみりとあの時代のことを考えたい。 よく、あの戦争で尊い命を失くされた方々のおかげで、今の私たちがある…と、綺麗事で思考停止している意見を見かけるが、当時の記録を見ると、それは違う。むしろ、国の無謀な戦略とも呼べない戦略のせいで、死ななくてもいい人が大勢死んでしまったように感じる。本当に一億玉砕しかかっていた…と。一般家庭から金属類を回収するとか、松やにを飛行機の燃料に使うとか、そんなもので戦争に勝てるとはとても思えない。なのに、大真面目にそういうことをやってしまう。 なぜ、そんなことになってしまったのだろう…反省を忘れてしまうと、また同じことの繰り返しになってしまう。それこそ、あの戦争で亡くなった方に申し訳ない。 あれ、そういえば…携帯電話の金属でオリンピックのメダルを作る話、まだ、だいぶ足りないとか聞いているけど、大丈夫かな。

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差別の世界

裏口入学という、異例の贈賄容疑で捜索を受けている東京医科大学。捜査の過程で、とんでもないことが発覚した。なんと、受験生のうち、女子の点数を操作して得点を下げ、入学する女子学生の人数をコントロールしていたというのだ。女子の入学者を全体の3割程度に抑えるために。女性は、結婚・出産で離職することが多いので、女性医師の割合を増やさないように、こうしたコントロールを続けていたらしい。 えーと、正直、どこから突っ込んでいいかわからない。 女性医師の数を増やさないために、なんで大学の入試の時点で、こっそり女子だけ減点するのか。普通に成績順に入学させると、東京医科大学は、女子大レベルになってしまうのか。さらに、医師の国家試験もまた、女子の合格者が多くなることが予想できてしまうのか。それほど、実は、女子学生の方が優秀なのか。 もし、大学の施設的に、急激に増える女子学生に対応できない(トイレなどが)のであれば、正直にその旨を公表し、施設が整うまで、暫定的に男子学生と女子学生を別々に募集し、〇年間は男女比をこのようにしていく…みたいにすればいい。女子高、男子高から共学に変える時など、よく、こんなシステムを見る。知っていれば、あえて、東京医科大学の受験を避ける受験生もいたはずだ。受験料は取るくせに合格させる気がない…とか、詐欺としか言いようがない。 また、この件が明らかになってから、現職の医師から、女性医師が増えると困る…みたいな意見も聞かれる。医療の現場は厳しいので、24時間戦えない女性医師はいらないみたいな意…

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人権宣言

現在、博多座で上演中のミュージカル「1789」。主人公のロナンが死んだあと、残されたロベスピエール達が、人権宣言を読み上げる。 この作品の中で、何度も「自由とは、他を傷つけないすべてのことをなしうる権利」と語られている。ここに人権の本質があると思う。自分の意志で、望むことすべてをやれる、言える、それが「自由」。しかしそれは、自分以外の人を傷つけるものであってはならない。肉体的に…というだけでなく、他者の尊厳や生き方や性自認や性志向を踏みにじってはならない。それが「人権」。フランス革命は、「自由・平等・博愛」を三色旗に表し、すべての人間が、生まれながらに人権を持っていることを宣言した。ここに、世界の近世が始まったのだと言われている。 多くの犠牲の果てに、市民が獲得した「人権」。それは、恐怖政治や、ナポレオンの時代や、王政復古を乗り越えて、今も生きている。このフランス革命は、日本でいうと寛政の改革と同時期の出来事。当時の日本は鎖国中だったので、ヨーロッパの新しい考え方は、幕末から明治にヨーロッパを訪れた一部の人々によって日本にもたらされた。人権は民主主義の根幹をなす意識だが、人権に限らず、日本人は、民主主義というものを、誤解したまま運用している…と、井沢元彦氏が著書「逆説の日本史」に書いていた。民主主義とは、「多数決」でもなければ、「話し合い至上主義」でもない。多数決や話し合いより上位に「基本的人権」がある。それを前提に、話し合い、最終的に多数決で物事を決するのが民主主義なのだ。なぜならば、「人権…

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1995年から23年

阪神淡路大震災から23年、ということは、地下鉄サリン事件からも23年ということになる。若い人は、あの事件をリアルタイムで認識していないだろう。リアルタイムで認識していなければ、あの事件の珍妙さは伝わらないだろうな…と思う。悲惨さは伝えることができるとしても。 1985年の三浦和義逮捕から1995年のオウム真理教一斉摘発までの10年間は、犯罪のワイドショー化ともいえる時代だった。それは、終わったわけではなく、まだまだ続いているが、あの頃に比べれば、ナンボかましだと思う。それほど、あの時はひどかった。ある事件の犯人ではないか、と疑われる人々を、ワイドショーがスターのように日夜テレビでその動向をリポートし、夜には特番で本人たちを呼んで、真面目な番組では討論会を開催し、バラエティー番組ではアイドルのようにいじる…先方はカルト宗教の団体であるから、それも布教の一環…として、どんどんメディアに露出する。広報を担当していた青年などは、もはやアイドル並みの人気者だった。 一連の事件は、既に結審し、本日7人の死刑が行われた。私は個人的には死刑廃止論者なのだが、法律上死刑が存在し、既に判決が言い渡された以上、いつかは執行されるものだということも理解している。それでも今回の執行は異常だった。どんな凶悪事件であっても、(たとえば、連続幼女誘拐殺人事件の犯人でも)これまでは、死刑執行の翌日以降に、伝聞形式で新聞に発表されるのが常だった。ひっそりと執行し、遺体の引き渡しを済ませ、平穏になったところで世間に公表する…それが…

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すみ花ちゃん

月日と週が一回りしても、やっぱり変わらずにゆうひさんを応援している自分を強く認識した翌日、かつての相手役だった野々すみ花ちゃんが、フリー宣言をした。 6年前、素晴らしい才能に溢れた人だから、女優さんになってほしいな、と思ったが、同時に、宝塚という場所で守られてきたからよかったけど、芸能界の荒波、大丈夫かしら…と心配もした。だから、梅田芸術劇場の所属になると聞いて、ホッとしたのを覚えている。梅芸さんは、プロデューサーやマネージャーに元タカラジェンヌが多く、宝塚時代と同じように所属するタレントさんを守ってくれるだろうと信じられたから。 あれから6年。すみ花ちゃんの活躍はすごくて。特に、思いもよらなかった映像の世界での活躍が目覚ましい。その一方で、日本舞踊の名取になって舞台で踊ったり、カメラを始めたり、みずからのHPで色々な発信を行ったり、人生のプロデューサーとして、ものすごく強い発信力を持った人なんだな~と思うようになった。芸能界の荒波にも、現場での真摯な姿勢、愛される人柄で、しっかりと立ち向かえているように感じる。 フリーになっても、全然いけるんじゃないか、と心から思う。これからは、女優としてだけではない、彼女の様々な発信を楽しみにしていきたい。 願わくは、大空ゆうひさんのプロデュースなんてことも、やってくれたりすると嬉しいのだが…。

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回る回るよ時代は…

月日が一回りして同じ曜日になるには、6年かかるんだとか。7月1日日曜日。前回は言わずと知れた2012年。その日は、千秋楽で、ゆうひさんは男の人を演じていて、私の周りにはいつもの友達がいて、公演が終わった後は、フェアウェルがあって、終わってから、いつもの友達と乾杯した。 月日が一回りして、あれからなんとびっくり、2200近い夜を越えて、その間には、出会いも別れもあったりして…でも、今日も千秋楽で、ゆうひさんは男の人も演じていて、私の周りにはいつもの友達がいて、公演が終わった後は、お茶会(ゆうひさんのじゃないけど)があって、終わってから、いつもの友達と乾杯してた。 こんな日がまた来るなんて、あの日は思えなくて、燃焼しつくしてしまったけど…来るんですね、穏やかな幸せな「ありがとう」が。あの日の私に、 来ましたわよ と言ってあげたい、そんな独り言です。 (「来ましたわよ」は、太宰治の奥さん、美知子さんの劇中のセリフです。)

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コラボ企画

W杯日本VSセネガル戦について、こんな面白企画を見つけました。こちらです。 これ、書いてくださったのは、「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」の著者、菊池良さん。 もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら 作者: 神田 桂一 出版社/メーカー: 宝島社 発売日: 2017/06/07 メディア: 単行本  実は、この本、以前のお茶会で、ゆうひさんがファンにすすめてくれた3冊の本のうちの一冊だったんですよね。 で、「グッド・バイ」の脚本・演出をされている山崎彬さんも、この記事についてリツイートをされているのですが、山崎さんも、まさか、ゆうひさんが前からこの本をお気に入りだということまでは知らないだろうな…。 しかし、この筆力で、「グッド・バイ」の続きを書いてくれないだろうか…なんてね。

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大阪北部地震

今朝8時少し前、大阪など関西地方で震度6弱の大きな地震が起きた。 被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。 熊本地震から2年、東日本大震災から7年、阪神淡路大震災から23年…日本は本当に地震国なのだな…と改めて思います。 被災された皆様のために、7年前に、勇気づけてくださった皆様のために、できることは何でもしていこうと、決意しています。 今日、宝塚大劇場は、1時間遅れの14時に開演したそうですね。奇しくも、東日本大震災当日、東京宝塚劇場で公演中だった雪組。96期以上は、その経験をしているんですね。トップのだいもんは、その後、入り出のできなくなった東京宝塚劇場で、募金箱を持って活動していた一人。そして、「凱旋門」で主演しているいしちゃんは、阪神淡路大震災を経験している数少ない現役生の一人。もしかしたら、下級生は、初めて経験する大地震に、ものすごい恐怖を感じていたかもしれない。そんな時、大丈夫、と言ってあげられる上級生がたくさんいることに、不思議な摂理を感じつつ… 今、私にできることは、経済を回すこと…かな…貧ちゃんに取りつかれてるけど…

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伝統ってなんだろう

大空ゆうひさんは、相撲女子らしいが、私は、まったく相撲には興味がない。日馬富士の暴行事件からの引退、貴乃花親方の乱、そして昨今の緊急事態での女子土俵入り話…全部、へぇ~くらいの情報しか持ち合わせていなかった。 しかし、向こうから話が寄って来たのなら、語らざるを得ないじゃないか。 そう、この件に関して、 歌舞伎や宝塚を引き合いに出して、これは、男女差別ではない、と言い出した方がいた 宝塚市長(女性)が、大相撲宝塚巡業の際、土俵上で挨拶したいと言ったら、相撲協会から断られた ということがあり、私のテリトリーに向こうが踏み込んで来たのだ。 宝塚は、私のテリトリー。なので、今度は、私も考えてみたい。 そもそも、「土俵は聖域だから、女は上がれない」という発想と、宝塚や歌舞伎は、別次元の話だ。 「土俵」を「舞台」と置き換えてみればすぐわかる。 宝塚歌劇の出演者は、女性だけだ。宝塚は劇団として、出演者を女性に絞って採用しているが、そういう劇団はプロ・アマ含めて数多くあると思う。Studio Lifeもそのひとつだ。劇団だけなく、出演者を片方の性別に限定して上演する演劇もある。蜷川さんのオールメイル・シェイクスピアシリーズなんか、典型的な例だろう。 しかし、それは、演劇的な効果(効果の種類は、それぞれある)を期待しての話で、舞台に男性が上がってはいけないという意味ではない。舞台上には、裏方さんというのがいて、大道具の出し入れやスモークなどの効果を担当している。その人達は、公演中、客席から見えな…

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