宝塚歌劇「夢千鳥」配信観劇
緊急事態宣言の影響で、公演が飛んでしまった宝塚の各公演。揃って配信公演を実施してくれた。このため、チケットが取れなかった公演も、映像で見られることになった。チケットを持っていた公演が中止になってしまった悲しみは、配信を見ても癒えることはないが、こういうラッキーもあるので、どっこいどっこいなのかな…なんて、判断力が弱くなった頭で、うっすらと考えている。
「夢千鳥」は、竹久夢二と彼を取り巻く女たちの物語(大正時代)と、その夢二を主役にした映画の撮影周辺の物語(昭和時代)が交錯する作品。主演の和希そらは、夢二と映画監督の白澤を演じる。他の出演者も、両方の世界で、それぞれの役を演じている。夢二らは、白澤が撮る映画の登場人物という側面もあるし、作・演出の栗田先生が描こうとする夢二やその恋人たちそのものでもある。そんな多面的な構造が、現代の倫理観では、ちょっと引いてしまうような、竹久夢二という男の恋の物語を、嫌悪感少な目で見せることに成功したのかな…と感じた。
和希は、多くの女に愛され、同時に複数の女性と交際する、竹久夢二と白澤監督の二役を演じているが、けだるい雰囲気を漂わせて、女性たちを翻弄するものの、繊細で寂しがりやな内面を抱えている男を好演。娘役たちも、普段の娘役芸では太刀打ちできないような、キャラクターに果敢に挑戦し、タカラジェンヌの芸域の広さを示した。天彩峰里の美しさには、ハッとさせられる。また、彦乃を演じた山吹ひばりの瑞々しさ、歌の上手さにも驚いた。新たな、トップ娘役候補の誕生。本公演でも、ど…