「伝説のリトルバスケットボール団」観劇

MUSICAL「伝説のリトルバスケットボール団」 作:パク・ヘリム作曲:ファン・イェスルオリジナル・プロダクション:アンサン文化財団、IM Culture 演出・振付:TETSUHARU日本語上演台本・訳詞:私オム音楽監督:田中葵美術:松生紘子照明:吉川ひろ子(クリエイティブ・アート・スィング)音響:東慎吾映像:荒川ヒロキイラスト:夜長秋衣裳:高山良昭(ヒカリトカゲ)、栗原りさ(ヒカリトカゲ)ヘアメイク:m.o.歌唱指導:吉田純也バスケットボール指導:石杜駿キャスティング:霞麻衣子(FAB)演出助手:美波利奈舞台監督:竹内彩、林和宏 <出演>スヒョン:橋本祥平ダイン:梅津瑞樹スンウ:糸川耀士郎ジフン:吉高志音サンテ:太田将煕ジョンウ:平野良 <バンド>キーボード・コンダクター:田中葵ギター:朝田英之ベース:澤田将弘ドラム:足立浩 日本でも、もはやミュージカルの一大ジャンルとなっている「韓国ミュージカル」作品。今回の上演は、日本での上演用に私オム氏が上演台本を書き、登場キャラクターもオリジナルとは若干の変更がなされているとか。出演者は6名だが、糸川、吉高、梅津の三人は、15年前に事故死した少年たちの幽霊という「本役」のほか、現在のバスケ部員や、主人公のスヒョンをカツアゲするクラスメイトなどを演じ分けた。15年前に事故死した少年たちは、バスケ部コーチ・ジョンウのチームメイトで、彼らは、遠征先の海岸で水難事故に遭って亡くなった。が、成仏できず…15年後、彼らが閉じ込められていた校舎の屋上で、い…

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「恋花幕明録」観劇

明治モダン歌劇「恋花幕明録ー前日譚ー」 原作:「恋花幕明録」脚本・演出:ほさかよう音楽:坂部剛、田川めぐみ作詞:三ツ矢雄二振付:EBATO美術:乘峯雅寛照明:鈴木健司(ルポ)音響:増澤努(1ststep)音響効果:天野高志(RESON)映像:森すみれ、荒川ヒロキ衣裳:黒田桃加ヘアメイク:柴崎尚子小道具:アトリエ・カオス、枦山兼殺陣:六本木康弘歌唱指導:YUKO演出助手:佐藤優次、中野真由子舞台監督:弘光哲也技術監督:寅川英司 <キャスト>斎藤一…木原瑠生土方歳三…上田堪大木戸孝允…北園涼※西郷隆盛…spi桐野利秋…坪倉康晴勝海舟:川上将大榎本武揚…輝馬近藤勇…宇野結也森鴎外…京典和玖エドワルド・スネル…藤田玲※木戸孝允役の北園涼は体調不良のため、私が観劇した日は休演。演出助手の佐藤氏が声だけで木戸を演じ、他の出演者が、あたかも木戸がそこに居る体でリアクションするという、2.5次元ならではの対応。歌声だけは、リハーサル時の北園の歌声を使用していた。実は休演を知らずに劇場に行ってしまったのだが、もしそれが理由で観劇しなかった場合は、払い戻しも対応してくれたとのこと。 水道橋のIMMシアターは初めて行った。TOKYO DOME CITY HALLが大劇場なら、IMMは、バウホールのような存在。コンパクトで見易い劇場だが、ロビー的な部分が狭く、導線はあまりよくないと感じた。この狭いロビーで、特典渡しやグッズ販売、トイレ待機列を捌く運営スタッフには、驚嘆以外なかった。 小劇場時代から面白い芝居を書い…

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「イザボー」観劇

ミュージカル「イザボー」 作・演出:末満健一 音楽:和田俊輔 美術:松井るみ 照明:関口裕二 音響:山本浩一 衣裳:前田文子 ヘアメイク:宮内宏明 音楽監督・編曲:桑原まこ 歌唱指導:西野誠 振付:三井聡、港ゆりか アクション指導:星賢太 演出助手:渋谷真紀子、高橋将貴 舞台監督:幸光順平 宣伝美術:岡垣吏紗 宣伝写真:中村理生 <出演>イザボー・ド・バヴィエール…望海風斗シャルル七世…甲斐翔真シャルル六世…上原理生ジャン(ブルゴーニュ公)…中河内雅貴オルレアン公ルイ…上川一哉ヨランド・ダラゴン…那須凜ブルゴーニュ公フィリップ…石井一孝 イザベル…大森未来衣ヴァレンチーナ…伯鞘麗名 フランス史上最も悪名高き王妃と言われる(らしい)イザボー・ド・バヴィエールの生涯を描いた日本発のミュージカル。…という謳い文句なのは、本作を海外に売り込みたいという希望があるのだろう。最近、世界的に発信されている韓国ミュージカルでも、欧米を舞台にした作品が多く上演されているし、日本発ミュージカルがフランス王妃の物語でも全然おかしくない。 時代は、14世紀末から15世紀初め、百年戦争の頃。現ドイツのバイエルン地方の公女、ヴィッテルスバッハ家のエリザベトが、フランス王・シャルル六世に見初められたことから物語は始まる。もしもーしでも、これは創作ではなく事実なので、あの一族は、皆様、なにか業を背負っているのかもしれないですね。こうして、ドイツ語圏から、慣れないフランスという外国にやってきた14歳の少女(これもどこかで…

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ミュージカル「ファントム」観劇

ミュージカル「ファントム」 脚本:アーサー・コピット作詞・作曲:モーリー・イェストン原作:ガストン・ルルー「オペラ座の怪人」より 演出:城田優美術・衣裳:トム・ロジャース翻訳・通訳:伊藤美代子訳詞:高橋亜子音楽監督:森亮平照明:吉枝康幸音響:山本浩一、宮脇奈津子映像:西田淳振付:新海絵理子ヘアメイク:馮啓孝特殊メイク:ニール・マーツアクション:幸村吉也 指揮:森亮平、湯川紘惠歌唱指導:西野誠、平岡由香稽古ピアノ:太田裕子オーケストラコーディネート:新音楽協会/安達くるみ、楠理名 「ファントム」は宝塚で何度も観劇しているものの、外部での公演はこれまで観てこなかった。今回、真彩希帆ちゃんがクリスティーヌを演じることになったので、外部でも観てみる気持ちになった。結果… 素晴らしかったもう、次から、宝塚の演出も城田“先生”にお願いしたいくらい 宝塚版の意味不明な部分が全部クリアになっていた。やはり、自分が俳優として出演もしている城田ゆえに、小さな綻びも丁寧に修復して、納得性の高い「ファントム」を再構築していた。もしかして…宝塚版は演出に問題があっただけ… 舞台は、パリの街角から始まる。パリの人々が、三々五々舞台に登場し、平和な日常を演じている。そんな中、開演前の諸注意アナウンスが流れ、パリの人々に扮したアンサンブルさんが、店先からスマホに×をつけた絵を客席に提示する。自然。人々の中に、果物でジャグリングを始める人が出てきて、いつの間にか、舞台と客席がひとつになって応援し、客席が温まっていく。…

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ミュージカル「ムーラン・ルージュ」観劇

「ムーラン・ルージュ ザ・ミュージカル」 <ORIGINAL CREATIVE TEAM> BOOK:John Logan DIRECTOR:Alex Timbers CHOREOGRAPHER:Sonya Tayeh MUSIC SUPERVISOR, ORCHESTRATOR, ARRANGEMENTS & ADDITIONAL LYRICS:Justin Levine SCENIC DESIGNER:Derek McLane COSTUME DESIGNER:Catherine Zuber LIGHTING DESIGNER:Justin Townsend SOUND DESIGNER:Peter Hylenski HAIR DESIGNER:David Brian Brown MAKEUP DESIGNER:Sarah Cimino MUSIC PRODUCER:Matt Stine CO-ORCHESTRATORS:Katie Kresek, Charlie Rosen, Matt Stine DANCE ARRANGEMENTS:Justin Levine, Matt Stine PRODUCER:Carmen Pavlovic, Gerry Ryan PRODUCER:Bill Damaschke <JAPAN PRODUCTION TEAM> 演出補:ジャシンタ・ジョン 振付補:ダニエル・ビリオス 稽古場振付:トラビス・カーン 音楽監督補:スティーヴン・エイモス 装置…

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ミュージカル「Trace U」観劇

Musical「TRACE U」 演出:加古臨王脚本・歌詞:月森葵音楽監督:オレノグラフィティ 「ドバイ」という名のクラブ。そこで演奏している、イ・ウビン(瀬戸かずや)とボーカルのク・ボナ(宇月颯)。ク・ボナは、演奏を途中ですっぽかすし、どうやら、ヤク中っぽい。ボナの様子がおかしいのは、一人の女性に逢ってから。彼女はその女性に恋をしていたー (ここから全公演終了後)ネタバレしないと感想が書けないので、ご容赦いただきたい。この公演は、瀬戸&宇月のほか、津田英佑&榊原徹士、風間由次郎&榊原徹士のトリプルキャストで上演された。瀬戸と宇月は、男役としてでなく、女性役として出演していた(ボーイッシュな女性たちだったが…)。とはいえ、「恋した相手が自分を産んだ母親だった」という設定は逆にできないため、結果としてク・ボナはレズビアンの設定になってしまった。この点については、ちょっと気になっている。同じ脚本で、登場人物が異性愛者と同性愛者というのは、ずいぶん大雑把な設定だな…と。相方が異性愛者か同性愛者かで、イ・ウビンの立ち位置も変わったりしないのか…と。 会場は、ステージで客席を取り囲むような設営で、観客の席は敢えての丸椅子。好きな方をくるくる回って観てほしいということらしい。なかなか真後ろを振り向くっていうのは難しくて、(後ろの席の方の顔をバッチリ見ちゃうことにもなるので)前方と横くらいまでしか観ることはできなかった。でも、周囲の方々が、トシちゃんとアキラ、どっちのファンなのかは、すごく伝わった。宝塚…

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音楽劇「ダ・ポンテ」観劇

音楽劇「ダ・ポンテ」~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~ 作:大島里美音楽:笠松泰洋演出:青木豪 美術:杉山至照明:原田保音響:山本浩一音響効果:青木タクヘイ衣裳:半田悦子ヘアメイク:林みゆき(スタジオAD)映像:松澤延拓振付:新海絵理子擬闘:栗原直樹歌唱指導:満田恵子稽古ピアノ:松木詩奈監修:小宮正安演出助手:陶山浩乃舞台監督:中西輝彦プロデューサー:仁平知世、田中利尚 後援:公益財団法人としま未来文化財団主催:キョードーファクトリー企画製作:東宝 今年、ダ・ポンテを主役にした公園が2つ独立して上演される運びになり、それじゃあ、両方観てみるか、となったので、こういう競合はアリだなと思う。 で、観劇してみたら、これ、両方とも日本オリジナル作品。以前観劇した「マドモアゼル・モーツァルト」といい、日本人、モーツァルト好き過ぎもちろん、本作も「親友(同志)」という立場でモーツァルト(平間壮一)が登場する。そして、全編を通して、モーツァルトの珠玉のメロディーがBGM的に使用されている。こういう作品で音楽担当するって、どういう気持ちだろう…勇気あるよねでも、それぞれのナンバーは、とても美しい楽曲だった。笠松さん、ナイス ロレンツォ・ダ・ポンテ(海宝直人)は、父の後妻に来て、召使のように使われているオルソラ(田村芽実)に思いを寄せていた。しかし思いは届かず、やがて、神学校に進学する。元々ユダヤ人の家系だったのにキリスト教の神学校に行ったため、ロレンツォはかなりのいじめを受け、そのうっぷんから…

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「ダーウィン・ヤング」観劇

ミュージカル「ダーウィン・ヤング 悪の起源」 原作:パク・チリ台本・作詞:イ・ヒジュン作曲:パク・チョンフィ編曲:サム・デイヴィス、マシュー・アーメント 潤色・演出:末満健一 日本版編曲改訂・音楽監督・ピアノコンダクター:松田眞樹振付:大熊隆太郎美術:田中敏恵照明:加藤直子音響:ヨシモトシンヤ衣裳:惠藤高清ヘアメイク:武井優子映像:横山翼、桜葉銀次郎歌唱指導:西野誠、木村聡子稽古ピアノ:中條純子バンドコーディネート:東宝ミュージック演出助手:高橋将貴、新早由季演出補佐:吉本考志音楽監督助手:長崎真音振付助手:奥山寛舞台監督:鈴木輝 翻訳協力:コン・テユ韓国コーディネーター:高原陽子企画:田窪桜子制作:田中景子、中曽根さやかプロデューサー:鈴木隆介、塚田淳一 オリジナル・プロダクション:ソウル芸術団製作:東宝 いやー、すごい作品観ちゃいましたネタバレがあるので、ミュージカル・演劇作品は、終了後に感想をアップしたりしているが、これはもう、待っていられない。とにかく観てほしい。なんかわからないけど、これは、目撃すべき作品です 特に韓ミュ苦手で、敬遠している方、ぜひぜひ本作は、日本版のアレンジが効いているのか、歌唱的に「絶対歌えてないやん」なところがなく、(韓国のミュージカル俳優は音域が化け物の方が多く、日本で上演されると、キャストが歌い切れず、苦しい声を聴かされるので、日本版の韓ミュを苦手にしているミュージカルファンは、一定数存在するのです。)見事なのです、すべてが。 舞台は英語圏のどこ…

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「ジャングル大帝」

リーディング音楽劇「ジャングル大帝」 原作:手塚治虫脚本・作詞:福田響志演出:ウォーリー木下音楽:岩崎廉 振付:ホナガヨウコ美術:伊藤雅子照明:奥野友康音響:岡田直樹映像:大鹿奈穂衣裳:屋島裕樹ヘアメイク:伊藤こず恵演出助手:坂本聖子舞台監督:山本圭太 プロデューサー:江口剛史 制作協力:手塚プロダクション協力:フジテレビジョン協賛:チケットぴあ主催/企画・製作:シーエイティプロデュース 手塚治虫の「ジャングル大帝」、有名な作品なので、内容も知っている(覚えていないだけで)と思っていたが、全然、まったく、ノータッチだったことがわかった。へえ、こんな話だったんだ 舞台上には、バンドのエリア、その手前に出演者の座るパイプ椅子が並び、そのさらに手前に、出演者が演技を行う、もう少し高いステージが設えられている。演者は三々五々登場、ダンサーの二人(ホナガヨウコ・池田遼)は、ステージ上でウォーミングアップをしている。ダンサーだけでなく、演者は全員裸足。そんなところに、「ジャングル大帝」という作品へのこだわりが感じられる。もっくん(太田基裕)もパイプ椅子の上で、ちょっと体をほぐしたりしていて、リラックスした雰囲気が感じられる。朗読で台本を読むから…か、黒ぶちの眼鏡着用。                           ジャングルの王者、パンジャは、人間を敵視し、人間側と見做して家畜すら殺す非情なライオンだった。しかし、妻のエライザを守るために、パンじゃは人間に殺される。エライザは捕えられ、人間…

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「チェーザレ」観劇

明治座創業150周年記念ミュージカル「チェーザレー破壊の創造者ー」 原作:惣領冬美『チェーザレ 破壊の創造者』(講談社「モーニング」所載)原作監修:原基晶 脚本・作詞:荻田浩一演出:小山ゆうな作曲・音楽監督:島健 振付:新海絵理子歌唱指導・コーラスアレンジ・音楽監督助手:福井小百合美術:乘峯雅寛照明:日下靖順音響:山本浩一映像:栗山聡之衣裳:西原梨恵ヘアメイク:宮内宏明擬闘:渥美博演出助手:高野玲舞台監督:岩戸堅一 チェーザレ・ボルジアの若き日の姿を描いたミュージカルを観劇。なんと、あの明治座にオケボックスができるという話題もあり、ぜひ観てみたかった作品。脚本はオギーだし。出演者は、バリバリのミュージカルスターと2.5次元俳優が混ざったような感じで、両方好きな身としては、なんだかこそばゆい。若手陣はロッソとヴェルデのWキャストになっていて、私は“ヴェルデ”の方を観劇したので、話はヴェルデの方になってしまうことをお断りしておく。 チェーザレ・ボルジア(中川晃教)はピサの大学に入学し、そこでフィレンツェ出身のアンジェロ(山崎大輝)と出会う。このアンジェロとチェーザレの友情をひとつの軸に物語は展開する。一方で、チェーザレは、父・ロドリーゴ(別所哲也)の出世に人生が左右されている、という部分もある。というのは、父は聖職者で、カトリックの聖職者は妻帯が許されていない。つまり、父が権力を失ったら、チェーザレは、その存在そのものが「罪」となって二度と浮かび上がれない。さらに、同世代人ではないダンテ(藤…

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