「仮面のロマネスク」考
1997年の初演当時は、全組観るライトファンで、当時なりのご贔屓は雪組ではなかったので、一度しか観ていない。ただ、トップ退団公演についてはビデオを購入することにしていたので、公演ビデオは何回か観ている。という程度なのだが、これが意外にあちこち憶えていて、ストーリーもほぼ間違いなく記憶していて、名作というのは、そんな風に人の心に残るものなんだなーと、改めて感慨に耽った。さて、祐飛さん。貴重なトップとしての大劇場公演なので、積極的には希望したことはなかったが、「ベルサイユのばら」のアンドレと、「風と共に去りぬ」のレット・バトラーは似合うだろうな~と思っていたので、セリ上がって来た姿が、「ベルサイユのばら」アンドレ編のプロローグっぽくて感動!これで十分です初演の高嶺ふぶき×花總まりコンビは、美貌のトップコンビで、この公演は高嶺のサヨナラ公演でもあったので、とにかく衣装が豪華だった記憶がある。そして、心の底では愛し合っている男女の心理戦が、王政復古という特殊な時代背景と相俟って、緊迫感をもって胸に迫って来た、という記憶がある。一方、新たに革命を起こそうとしているブルジョアジーや、貧しくも逞しい一般民衆の場面が、せっかくの恋愛劇をブツ切れにしていてもったいないなーという気持ちにもなった。原作はフランス革命の時代なので、わざわざ時代背景を変更した王政復古時代の背景は、どこか唐突感があったのかもしれないし、当時の多彩な雪組メンバーを効果的に使うためのこの配役に無理を感じたためかもしれない。この後、柴田先生は脚本…