舞台
「PSYCHO-PASS Virtue and Vice3」
原作:サイコパス製作委員会
総合演出:本広克行
脚本:深見真
音楽:菅野祐悟
演出:元吉庸泰
演出補:荒井遼
脚本協力:私オム
アクション監督:奥住英明(T.P.O.office)
ステージング:多和田任益(梅棒)
美術:石原敬(BLANk R&D)
照明:吉川ひろ子
音響:毎原範俊(エス・シー・アライアンス)、今村太志(エス・シー・アライアンス)
ドミネーターSE:小山恭正
映像:O-beron
衣裳:桃木春香
ヘアメイク:河村陽子
キャスティング:霞麻衣子(FAB)
舞台監督:大友圭一郎
<キャスト>
九泉晴人…鈴木拡樹
海堂自我…和田雅成
林崎仁哉…多和田任益(梅棒)
鹿取尊…田村心
水落涼介…菊池修司
馬場吾郎…中村祐志
青蓮院洸也…春本ヒロ
仁木蔵藻負…高橋駿一
イリュージオ…山本咲希
葉原博…工藤潤矢
(映像出演)嘉納火炉…和田琢磨
(ボイスキャスト)常守朱…花澤香菜
壬生壌宗…榊原良子
ドミネーター…日髙のり子
舞台「PSYCHO-PASS Virtue and Vice」シリーズは、テレビアニメ「PSYCHO-PASS」シリーズのスピンオフ的位置付けで2019年にスタートした。副題の「Virtue and Vice」とは「美徳と悪徳」というような意味。
舞台シリーズは、第一作でW主演だった九泉(鈴木)と嘉納(和田琢磨)が相打ちのような形で終演となり、第二作は、嘉納主演で前日譚が描かれていた。この第三作にして最終作では、第一作で、九泉が生き残っていたことが明らかになり、その後の物語が描かれている。
三作ともに出演している多和田任益の役柄も、初演を観ていると「なるほど!」と思わせるキャラクターになっていて、特に私が観に行った日は、初演メンバーが2階席で観劇していたこともあって、大変盛り上がった。(ちなみに今回の映像出演だった和田琢磨さんご出演のトークショー回)
未来の鎖国状態の日本が舞台の物語。
人々は、犯罪係数で管理され、それが一定の基準を超えると、潜在犯(犯罪者予備軍)として収容され、さらに高い基準を超えるとその場で(まだ犯罪を犯していなくても)処断(一瞬で逮捕⇒処刑)されてしまう。その犯罪係数を測り、処断まで行える特殊拳銃「ドミネーター」を使用できるのが、厚生省内の警察組織「公安局」。
この公安局刑事課所属メンバーを主軸に、テレビアニメ、劇場版アニメ、ゲームなどの展開があり、テレビアニメを原作とする舞台版も存在する。
今回観劇したのは、2019年4月から上演されている、舞台オリジナルキャラクターが登場するシリーズ。
テレビアニメを原作とする舞台シリーズにさきがけて、上演開始し、今回第三部を以て一応の完結編となる。
私が本シリーズを知ったのは、2020年。そして、明治座にシリーズ第2作を観に行った。
第2作には、鈴木拡樹演じる九泉は登場しなかったので、鈴木九泉を生で観るのは、今回が初めて。(第1作は映像で観ているので、話は知っていたが…)
開演5分ほど前に席についたが、ほどなく舞台に鈴木が一人現れたので、オペラでロックオン。台詞はないが、なにか重要なポイントがあるのでは…と、5分間眺めていたが、これは、開演前から登場人物を舞台に出すという演出だった。トークショーで、あの時間は「好きに過ごしててください」という放置タイムだったことが明らかになったが、なかなかに眼福でした
公安局刑事課の執行官(ドミネーターを使用できる)は、訓練を受けた潜在犯。そのため、上に監視官がいて、常に監視されてもいる。九泉は監視官だが、実は、社会全体を監視しているコンピュータ“シビュラシステム”によって、記憶を捏造されていて、この作品の中で、それが明らかになってくる。
「犯罪のない社会」を実現するための、あれやこれやは、決してユートピアのそれでなく、シビュラシステムに支配されたディストピア。その世界で、すべてを知った九泉の選択に胸が痛む。イケメン鈴木氏を変貌させる特殊な装備に息を呑む。
和田雅成、多和田をはじめとする共演陣も充実していて、あっという間の上演時間だった。
イリュージオ(山本)の歌声が心地よく、作品への説得力が増していたことも特筆したい。
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