ショー「シルクロード」感想(「fff」出演者感想付)

ショー感想の前に、「fff」の主要4人(ベートーヴェン、謎の女、ナポレオン、ゲーテ)以外の、気になった出演者について記載したい。


一樹千尋(ケルブ)…「何が正しいかは私が決める」という誰も寄せつけないものがあって、文句は言っても抗うことができない…という音楽家たちの気持ちはよくわかる。でも、「歓喜の歌」を聴きながら、ちょっとウキウキしてる姿が可愛いのよね。


奏乃はると(ヨハン)…モーツァルトの父のように息子を引き回したかったけど、できなかった飲んだくれのダメ父の悲哀が出てました。本当にダメ父だけど。


沙月愛奈(ロッテ)…上演された舞台「若きウェルテルの悩み」でロッテ役を演じ、踊る。その後も、ロッテ的なものの象徴として、ベートーヴェンの世界に登場する。踊る沙月の説得力がうまく出た起用。美しかったです[黒ハート]


千風カレン(オーストリア皇后)…音楽への造詣が深い皇后様でした。


透真かずき(皇帝フランツ一世)…鷹揚で、失礼なベートーヴェンに対しても決してカチンときた様子を見せないあたり、ホンモノの王族だな~と思いました[揺れるハート]ナポレオンのことは、本当に嫌いだったみたいね。でも、王女はナポレオンの皇妃になるのよね…心中、お察しします[もうやだ~(悲しい顔)]


真那春人(ヘンデル)…バッハは天国に行けたのに、天国に行けないヘンデル。何がいけなかったのか[exclamation&question]狂言回しとして、実力を発揮[ひらめき]


笙乃茅桜(小さな炎/マリア)…ベートーヴェンの心に芽生えた小さな炎を、彼の人生の節々でダンスで表現。まさに、炎の妖精のような素晴らしいお姿でした[ぴかぴか(新しい)]マリアは、力なきベートーヴェンの母。この二役にも、意味があったのだろうが(久美子先生だし)、私には、深いところはわからなかった。


久城あす(サリエリ)…イヤミで、権力者におもねるけど、陽キャで、MCも得意。さすが、実力派[ぴかぴか(新しい)]


煌羽レオ(メッテルニヒ)…皇帝よりも偉そうな、秘密警察を意のままにする恐ろしい男。トップスターを相手に、一歩も引かない心意気が素晴らしかったです[黒ハート]


杏野このみ(家政婦)…一場面だけだけど、ものすごく印象に残った。好きです[揺れるハート]


朝美絢(ゲルハルト)…少年時代から、青年時代、壮年時代…と、3人が交代するルイ(ベートーヴェン)に対して、ゲルハルトは朝美が一人で演じ切る。久美子先生の愛と信頼が伝わる[ぴかぴか(新しい)]ゲルハルトってこういう人だったんだろうな~[わーい(嬉しい顔)]


愛すみれ(ブロイニング夫人)…小さな炎の存在をルイに教えた人。あの時代に、人の価値は身分で決まるものではない、という真理を知っていた素晴らしい女性…心がほっこりする存在だった[ひらめき]


朝月希和(ロールヘン)…ゲルハルトの妻になった後のロールヘンを演じる。友人としてルイを心配し続ける姿が、慈愛に満ちていてステキでした。


妃華ゆきの(マリー・アントワネット)…なぜ、出てくる[exclamation&question]みたいな登場だが、本当に心の美しいヒロインとしての登場で、モーツァルトとの場面も心洗われるシーンとなった。


綾凰華(ルドルフ大公)…冒頭の皇帝御一家場面だけでなく、ルイの友人としても登場し、目立っていた。可愛い[揺れるハート]


彩みちる(モーツァルト)…可愛い×1000[exclamation×2]ヤバい、トリオが出てくる場面では、クギヅケでした[黒ハート]久美子先生、ありがとう[黒ハート]


夢白あや(ジュリエッタ)…象徴的な役どころではあるが、自身の意思を持たない人形のような娘。そのまんまに見えた[わーい(嬉しい顔)]


縣千(テレマン)…ヘンデルとモーツァルトが目立ちすぎるので、そのそばにいるただのイケメンでしたが、本当にイケメンでした[ぴかぴか(新しい)]


レビュー・アラベスク
「シルクロード~盗賊と宝石~」


作・演出:生田大和
作曲・編曲・録音音楽指揮:太田健、高橋恵
作曲・編曲:菅野よう子
振付:羽山紀代美、御織ゆみ乃、川崎悦子、桜木涼介、百花沙里
装置:二村周作
衣装:有村淳
照明:笠原俊幸
音響:大坪正仁
小道具:増田恭兵
歌唱指導:やまぐちあきこ
演出助手:樫畑亜依子
衣装補:加藤真美
舞台進行:宮脇学


この作品は、生田先生の初ショー作品。望海風斗のトップお披露目作品の芝居を書き、サヨナラ公演のショーを書くことで、まさに、最初と最後を担当する…という、珍しい作家となった。この先、芝居もショーも担当する作家になっていくのか、今後に注目したい。
「君の最後を俺が奪おう、誰にも渡さない」なんていう歌詞を書いているところをみると、あながち偶然とも言えないかも…ですが。


呪われたダイヤモンドとして有名な、ホープ・ダイヤモンドが、このショーのモチーフになっている。
45.52カラット(9.1グラム)のダイヤとなったのは最近のことで、ルイ14世が購入した時には、112.5カラットあったとのこと。そんなデカいダイヤを身につけていたら、重くて死ぬわ…と思うが、王侯貴族って、そういう意味で、ものすごく逞しいのだろう。
発見は、9世紀頃、インドのデカン高原。その後、ペルシアに渡って国王に献上され、17世紀に、宝石商からルイ14世に売り渡された。大きくカットされたのは、それ以降のことになる。なので、シルクロードを渡っている頃のホープダイヤは、100カラットを超える大きなダイヤのイメージなのだろう。
このショーでは、砂漠~砂の下の亡国~ペルシャ~インド~中国~世界の終わり…という流れでダイヤは移動していく。


第1章 プロローグ・シルクロード~盗賊と宝石
大きな砂時計をはめ込んだセット。キャラバン隊がオリエンタルムード溢れる曲の中、移動していく。キャラバン隊のリーダーは、彩凪翔。メンバーには、煌羽レオ、真地佑果、ゆめ真音、笙乃茅桜…と、退団者が多い。そこに、羽織夕夏、有栖妃華の歌手2名が加わり、キャラバン隊を歌で支援している。
その他、綺麗どころの娘役たちが、「砂」という役柄でダンスを見せている。
トップスター・望海風斗は、「盗賊」という役どころ。彼が、狂言回し的なキャラバン隊から、大きなブルーダイヤを奪ったところから、物語が回り始める。ダイヤは、人(真彩希帆)になり、ブランコで降りてきて歌う。


第2章 シルクロード幻視
プロローグの終わりで、手紙のようなものを受け取ったキャラバン隊の娘(有栖)が歌い始める。
彼女の歌に導かれるように、かつてここにあった亡国の青年(彩風咲奈)と乙女(朝月希和)が砂の中に蘇る。二人のただただ、美しく、愛に溢れるデュエットダンス。


第3章 ペルシャ・運命のアラベスク
バザールに現れた盗賊(望海)は、スリの親玉。仲間のスリ(諏訪さき・彩海せら)と、商売に精を出す。コミカルな場面。ここで、スリの親玉は、キャラバンの体調に捕まってしまう。
一方、後宮では、シャフリヤール(朝美絢)が、宝石たちを侍らせ、躍らせている。宝石(女)たちは、ナマ腹である。私としては、オペラグラス上がりっぱなしのシーン[ぴかぴか(新しい)](変態と呼ばないで…[もうやだ~(悲しい顔)])さらに現れたシェヘラザード(真彩)もナマ腹である。もはや、正気ではいられない[キスマーク]
この場面、手錠をかけられた盗賊とシェヘラザードのデュエットダンスがあったりするのだが、きぃちゃん(真彩)と、ナマ腹娘役ばかり見ていて、トップ様の記憶がない…[爆弾][爆弾][爆弾]


第4章 インド・神々の饗宴
中詰は、インド。インドの神々は、キラキラ[ぴかぴか(新しい)]なので、中詰にふさわしい。
途中、彩風が歌う場面で、笙乃煌羽の、短いが見事なダンス&リフトがあって、退団する二人の素晴らしいテクニックに目を奪われた。
そして中詰パレードから、ロケット。


第5章 中国・蒼く燃え立つ、緋き夜
そういえば、生田先生のデビュー作は、「BUND/NEONー深緋の嘆きの河ー」でしたね。この場面に登場する劉衛強って、その時の望海さんの役名なのよね…[わーい(嬉しい顔)]生田先生の愛、重い…[あせあせ(飛び散る汗)]
上海の外灘(バンド)地区は、かつて、英国租界のあった場所。華やかなナイトクラブもあって、それが、「BUND/NEON」というタイトルに反映しているのだろう。(もちろん、ボタン式鍵盤楽器のバンドネオンにかけたタイトルでもあるとは思う。)紅幇とか青幇とかは、秘密結社…というか、闇組織…かな。
そのナイトクラブで歌う、歌姫・藍色寶石(真彩)。キャラバンのシンガーポジ、羽織有栖を従えて、古いスタンドマイクの前で歌い踊る、かっこいいラップのナンバー。もう、クギヅケですよ。またしても、2010年に観られなかった(「カサブランカ」東京公演中だったので…)ナマ劉衛強がそこにいるってのに…ほぼ、見てません[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
その後、紅幇頭目の彩風と、劉衛強、そして歌姫の三人のタンゴは、息も止めて見入っておりましたが。


第6章 盗賊と宝石
最近流行りの、人々が争う中、ヒロインが絶望する…みたいな団体芸の場面。
そんな世界を救ったのは、あの盗賊(望海)。世界が希望を取り戻した時、白い鳩が二羽(彩風・朝月)、それを祝福するように大空にはばたく。


第7章 フィナーレ
彩凪を中心としたキャラバンの軽いナンバー。飄々と銀橋を渡り、「じゃあね」と去っていく。
青い薔薇を一輪持った黒燕尾の男(望海)が、青いドレスの女たちに囲まれて歌う。青いドレスの女たちも青い薔薇を持っている。…青に青は映えないんですけど[むかっ(怒り)][むかっ(怒り)][むかっ(怒り)]
望海さんだけが、目立てばいいのかなぁ[exclamation&question]
黒燕尾の男役たちとの群舞。望海は、青い薔薇をを彩風に手渡し、去っていく。新しくセンターを任された彩風を中心とした踊りが華麗に決まる。
あらためて、白の衣装に身を包んだトップコンビによるデュエットダンスは、「時には昔の話を」のインストで。
いろいろ、強烈な個性を感じるショーデビュー作だったが、フィナーレは、わりとオーソドックスだったかな。トップさんのサヨナラ公演として、よきショーになったと思う。


きっと、望海さんも、きぃちゃんも、舞台を続けると思うから、私個人としては、最も感傷的にならない、幸せなサヨナラ公演でした。圧倒的な歌声の素晴らしきトップコンビでした[黒ハート]

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