「とはずがたり」

以前買っていて積ん読状態だった本を、今、ガンガン読んでいます。



とはずがたり (光文社古典新訳文庫)

とはずがたり (光文社古典新訳文庫)



  • 出版社/メーカー: 光文社

  • 発売日: 2019/10/08

  • メディア: 文庫






こちらも、タイトルに惹かれて、買った本。半年くらい積んでいたけど、読み始めたらイッキでした。


まず、時代が鎌倉時代で、場所が京都の宮中…というのが、「知らない世界」感満載で。
歴史の授業を受けていると、平安時代は京都という場所を中心に習うのに、鎌倉時代は関東という場所を中心に習う。室町時代になると再び京都に戻る。だから、鎌倉時代の京都とか天皇とかって、何してたんだか、全然わからないし、わからなくてもいいや…って思っていた。
でも、そんな、「政治の中心じゃないところ」であっても、人々は生きていて、そこに喜怒哀楽があって。
こういう書物に出合わなければ、お勉強の中で振り落とされている物語。しかも、ここに出てくる上皇・天皇の兄弟って、後の南北朝に分かれる大本の兄弟だったりするわけで、その両方に愛された女房の「問わず語り」って、いや、問いますよ、問いますって。


しかも、源氏物語も真っ青の宮中スキャンダルが実名で書かれているとか、もちろん、リアルタイムではなく、数十年後に書かれたとはいえ、すごすぎる…[あせあせ(飛び散る汗)]特に仏門に入った、後深草院の弟、法親王の子を二人も産んでしまうという辺り、ここまで書いて大丈夫ですか[exclamation&question]と不安になるほど。
とはいえ、少女の頃から好きだった貴族、親の手引きで結ばれることになった上皇、その弟の法親王、もう一人の弟である現・天皇、さらに有力貴族のおじさん…と、二条が肌を交わす相手に対する感情が、未整理のまま、素直に描かれているのも、その時代の恋愛事情が垣間見えて面白い。


そして、恋愛の時だけでなく、公の席だったり、プライベートだったり…の折々に読まれた和歌をしっかり記録し、載せているところが、歌人の家系であったことへのプライドなんだな…と思えて、胸アツ[黒ハート]
とても面白かったです。


おススメ度★★★★

この記事へのコメント

  • 月光

    私が古典文学を志すきっかけになった作品です。
    天皇家を万世一系とか持ち上げる人が出てくるたびに、「いやー、どうだかわかりませんぜ」と異を唱える根拠になってます。
    2020年04月29日 21:30
  • 夜野愉美

    月光さま
    コメントありがとうございます。
    全然万世一系じゃないですねー(笑)
    それにしても、兄弟間の軋轢って、怖いですね~。あ、ほかの時代の天皇もいろいろありましたね。
    2020年04月29日 23:13