ショー・トゥー・クール
「アクアヴィーテ!!-生命の水-」
作・演出:藤井大介
作曲・編曲:青木朝子、手島恭子
音楽指揮:佐々田愛一郎
振付:羽山紀代美、御織ゆみ乃、若央りさ、ANJU、百花沙里、中塚皓平
装置:新宮有紀
衣装:有村淳
照明:佐渡孝治
音響:大坪正仁
小道具:松木久尚
歌唱指導:彩華千鶴
演出助手:樫畑亜依子
舞台進行:香取克英
アクアヴィーテは、生命の水という意味で、藤井先生は、ウィスキーのことだと言っている。でも、お酒って、どれも生命の水なのよねウオッカも生命の水という意味らしいし。
第1章 ザ・キング・オブ・リカーー酒の王者ー
音楽:青木朝子
振付:羽山紀代美
銀橋下から専科の英真なおきが登場して歌い出し、ショーが始まる。
トップシーンで、誰かが銀橋下から登ってきたら、トップさん2番手さん
とオペラグラスを上げますよね
見事な、藤井先生のフェイントでした
(1990年の芝居「アポロンの迷宮」(作・演出:小池修一郎)でも、こんな演出があって、銀橋下から英真さん@まだ下級生が登場したんですよね。オールドファンには、あれ以来のだまし絵でした)
第2章 ジェントルマン・クラブー紳士の社交場ー
音楽:青木朝子
振付:羽山紀代美
藤井先生のお酒シリーズ、本当に面白いのかな…と思っているクチですが、プロローグの衣装(光沢のある茶系の衣装って、なかなか珍しい)は、雰囲気があって、今回も素敵(Sante!!の衣装も好きだった
)
あと、舞台後方が巨大なバーカウンターになっていて、そこから生徒たちが次々に飛び降りてくるという演出も、なるほどと思った。こんな風に、ウイスキーがお客さんに提供されていくのね…
と、元気に飛び降りてくる琥珀色の衣装の生徒たちを眺めながら、感じた。
いや、それよりなにより、英真さんの場面が終わって、真風涼帆がセンターに浮かび上がり、バーカウンターの前に、男役たちがわらわらと登場する場面、ずっと見つめ合う、芹香斗亜と和希そらに、けっこう心を奪われた。(腐のパワー)
スポットの中で踊っている男女は、実羚淳と愛咲まりあ。退団者への藤井先生の愛を感じる。
総踊りの場面は、羽山先生らしい振付で、皆さん、カッコよかったです
第3章 ゴージャスリー・ブライトリーー華やかさとキレー
音楽:青木朝子
振付:百花沙里
総踊りから全体がハケた後、トップ娘役・星風まどかを中心とする娘役だけの場面でプロローグが終わる。星風は、こんな風にひとつの場面を任せられる安心感があるね
第4章 ダウンタウン・ビーストーダフタウンの猛獣ー
音楽:青木朝子
振付:御織ゆみ乃
2番手スター、芹香を中心とした場面。
藤井先生、スターに猛獣役をやらせるの好きなんだけど…私はいまだに意図が分からない。
芹香が酒瓶片手に銀橋で歌っている(この歌が、また恥ずかしい歌詞なのだ…)間、舞台上では、和希を中心とした男役たち(ビーストマンらしい)が踊り始める。ここも、キキソラなのね
(というか、キキソラ多かった
)
そして、カーテンが開くと、本舞台上には、女豹のようなビーストウーマンたちと、岩の上で、足をぴーんと上げたトゥシューズの女(ロフティドリーム)姿の実羚がいる。
ロックのビートで踊りまくるビーストたち。同じ振りをトゥシューズで踊り続けるロフティドリーム。アンマッチだけど、目を奪われる。
どんどん熱いビートで場を盛り上げるシンガーの和希と瀬戸花まり。二人のデュエットは、息が合って、カッコよくて、最高だった
超長い脚を駆使してトゥシューズで踊る実羚を観るのも、これが最後なんだな…と、しみじみ。宙組を観る楽しみのひとつでありました。
第5章 スモーキー・ナイトー煙った夜ー
音楽:手島恭子
振付:中塚皓平
あれ、この花柄の衣装は…
ワインをテーマにしたショー、「Sante!!」で男役たちが着ていた、あのチャラチャラした花柄じゃありませんかウイスキーもワインも酔ってしまえば、花畑…みたいな
酒場の店主夫妻(寿つかさ・美風舞良)と、看板娘(星風)が、がんがんお酒を売りまくり、男女がカップルになって寄って楽しく踊る…という場面。真風も星風も相当ヤバいデザインの衣装を着ているのだが、(柄on柄みたいな…)似合ってしまうのが、おそろしい…
最後は男女がペアになって踊るのだが、途中、遥羽ららと天彩峰里が下手花道裾でいちゃいちゃしながら歌っているところが、個人的に大好きで、そこばかり観ていた
第6章 リファインド・テイストー洗練された味わいー
音楽:青木朝子
振付:若央りさ
桜木みなとを中心とする短い場面から、中詰が始まる。
暗闇で光る衣装が目立つ。藤井先生お得意の極楽鳥的メンバーが今回も(春瀬央季・七生眞希)。黒の網タイツにブーツを履いて、細く長い脚を見せびらかしていた。宙組の男役、みんなスタイル抜群ね。
中詰は、全員が白い衣装で。微妙に黒のヒョウ柄がワンポイント。ウイスキーなのにヒョウ柄なんだ…てか、藤井先生、やはりアニマルテイスト好き
スターの銀橋渡りの中、唐突に和希が、白のダルマ姿で銀橋を渡る。なんだ、この大サービス
普通、ダルマで登場したスターは、そのまま中詰ラストまでダルマでいてくれるのだが、歌って踊れる和希は仕事が多いので、ダルマはラストの総踊りには登場しないのだった
この辺で登場する「夜空にウイスキーレイン」という粋なナンバーは、西城秀樹の曲なんだそうで…。最近の大介&吉正は、ヒデキブームなんだな…
中詰の真ん中辺で、Wデュエットダンスが入る。真風・星風のトップコンビと、芹香・夢白あや。Wデュエットダンスは、かなり珍しくて、ここに入るトップ以外の娘役がよっぽど買われてないと実現しない。私の記憶にあるのは、花組時代の実咲凜音かなその後、一年以内に宙組のトップ娘役に昇格したと思う。
若い夢白と一緒にいると、星風がお姉さんに感じられるし、貴公子然とした芹香に夢白の大人っぽいノーブルな魅力は、お似合いに感じた。
娘役二人が、連れ立って銀橋から花道に去ると、桜木が登場して、真風、芹香と三人が、銀橋で「ウイスキーが、お好きでしょ」を歌う。そのまま客席に下りて、観客に語り掛ける。かなり、こっぱずかしいセリフを…さらにそれぞれの愛称とウイスキーの名を掛けた恥ずかしいダジャレまで…
これをやり抜くなんて、ジェンヌの精神力、ハンパないな…
再び総踊りになって中詰は終わる。
この時、次景で歌手を務める星吹彩翔と桜音れいが、ハンドマイクを持って登場し、そのまま客席に下りるのも、けっこうツボだった。特に桜音は、超キュートなパンツ姿なので、目が釘付けになった。
第7章 ヒーローズ・テスティモニーー勇者の証ー
音楽:青木朝子
振付:百花沙里
星吹と桜音がウイスキー・ボンボン
と歌う中、和希を中心とした男役たちが踊る。ジャジーでおしゃれな、短くてインパクトのある場面だった。最後に和希をセンターに星吹と桜音に銀橋を渡らせるのは、なかなか胸アツだった。藤井先生、GJ
第8章 ターストー孤高の渇きー
音楽:手島恭子
振付:ANJU
アルゼンチンのもぐり酒場。
そこに現れた一人の男(真風)。煙草を片手にタンゴを踊る男達とひと踊り。
咥え煙草で踊る場面もあるのだが、咥え煙草って難しいのねオペラグラスで個々の顔を見ると、それほどカッコよくない。手に持っている方がステキだった。
そして、現れる一人の美女(秋音光)。美女をめぐる緊迫した男達の踊り。そして、真風と秋音による、激しいアルゼンチンタンゴ。踊っただけなのに、やがて、男は倒れ、女は去って行く…藤井先生らしい1シーン。
意味を求めるのは、ショーでは無粋だけど、どうして、倒れちゃったの酔いが回っただけ
ダンサー・真風涼帆の魅力を伝える秀逸の場面ではあった。
第9章 リザウンド・リッチリーー豊かに響くー
音楽:手島恭子
振付:御織ゆみ乃
麦芽の発芽からウイスキーができるまで…の長い長い工程をダンスで表現する…という、チャレンジングなステージ。でも、宙組は、昔から、こういう全力群舞の場面がステキなので、今回も堪能した。
音楽に笛や太鼓を使っていて、ダンサー達も鉢巻のようにカチューシャを付けているせいか、和風な音楽によく似合う、祭りのような威勢の良さを感じる。
ダンスの振りの激しさ、ダンサー達のフォーメーション変化の激しさ、相当の運動量と思うが、一糸乱れぬ動きは見事だった。こんな風にして、ウイスキーは生まれていくのね…と思いつつ…なんか、大人の味というよりは、体育会の味だな…って思った。
第10章 ヴィヴァシャス・ホースー快活な馬ー
音楽:手島恭子
振付:百花沙里
上品な薄いグレーの衣装に身を包んだ瑠風輝と夢白あやが、下手花道から登場して、銀橋を渡る。そのまま、ホワイトホースに扮したロケットガール達のナンバーへと引き継がれる。
第11章 アンバー・モーメントーバラ色のひとときー
音楽:手島恭子
振付:若央りさ
男役の群舞の前に、ピンクのドレスを着た娘役たちが真風に絡むシーンがあり、そこから、黒燕尾の男役のダンス(アンチェイン・マイハート)となり、曲調が変わって真風が歌う中、大勢のデュエットダンスに展開していくのは、とても美しかった。
真風・星風のデュエットダンスは、芹香が英語で歌う「男が女を愛する時」。曲の切れ目のところの芹香のポーズがカッコいい。ハケるところまでの一連の動きには、うっとりしてしまう。デュエットダンスは、手数の少ないしっとりとしたもので、最後に赤いバラを星風に贈ってからのポーズが美しかった。
第12章 アクアヴィーテ!!-生命の水ー
音楽:青木朝子
振付:若央りさ
エトワールは小春乃さよ。
バラエティに富んだショーの最後は、レビューっぽくたくさんのスターをセンターで下ろしていて、楽しく眺めることができた。藤井先生、なんだかんだで、お酒のショーは、クオリティーが高いわ
ベタすぎるギャグさえなければ…ね
この記事へのコメント
校閲担当
夜野愉美
ご指摘ありがとうございました。
みりおんについては、完全に誤変換でしたが、実羚くん…昔はちゃんと「実羚」と書いていたのに、ここ数年、すっかり「美羚」だと勘違いしてしまっていたようです。
すべて修正いたしました。ありがとうございました。