星組新人公演を観劇してきました
新人公演担当は、谷貴矢先生。
アバンギャルドな谷先生が、古典の王様のようなこの作品をどのように演出するか、ドキドキしていたが、特に新人公演だから…という演出変更は感じなかった。本公演をそれほどリピートしていないから、気がつかなかっただけかもしれないが。
では、さっそく出演者の感想です。
極美慎(カール・シュナイダー)…愛くるしいルックスの極美が、精悍な海の男を演じ切った。
言葉を崩してはいるものの、本役(紅ゆずる)ほど崩し切らず、若さを出してきたのかなと思った。その辺は、本役をトレースすればするほど、未熟さが出てしまうので、よい判断だったと思う。
歌は相当苦戦していたが、(シンプルな歌ほど難しいものなのかも…)それでも、マルギットへの愛だけは、ものすごく伝わって来て、それが伝わったことだけで、この新公は成功だったと思う。
水乃ゆり(マルギット・シュラック)…美しい白いドレスが、どれもよく似合っていた。
本役(綺咲愛里)の、どこまでも突き抜けたカマトト(古い作品なので古い言葉になってしまい、恐縮です…)ぶりとは違い、自分の身の丈に合った役作りをしてきた…という感じかな。
本公演の潤色・演出担当の上田先生が“Once upon a time in Takarazuka”をすごく重視している演出なのに対して、谷先生は、そこへの拘りはなかったということかも。おとぎ話という外枠を取っ払って、普通に身分違いの悲恋を作ったというのが、新公の演出なのかもしれないですね。
とはいえ、水乃も歌がかなり厳しかった…
天華えま(フロリアン・ザイデル)…油断していたら、すっごい持っていかれるフロリアンだった。本役(礼真琴)が、私には、黒いキャラに見えていて、この人は、マルギットと結婚しないんだろうな…という気がしていた。少なくとも、ここしばらくは。(個人の感想です)
でも、天華のフロリアンは、マルギットの心の傷が癒えるのを待ち続け、また結婚を申し込むんだろうなと思える、そんなフロリアン。
とにかく、心の美しい人なんだな~と、まずそのことが強く印象に残った。
歌も胸に沁みとおるような、素晴らしい歌声でした
遥斗勇帆(ヨゼフ・シュラック)…今回もうまかった。新公が引き締まったのは、遥斗くんのお力の賜物
有沙瞳(ヴェロニカ)…新公離れしたうまさ20年も“夫”の帰りを待っているには、若いというのは、もちろんあったが、あえて老け役にせず、酸いも甘いも嚙み分けた酒場の女という部分に特化して、ラストシーンもしっかりと極美カールを受け止めていた。
あと、歌が素晴らしい中盤の男装も可愛らしく、男役っぽい歌も完璧。
天飛華音(トビアス)…冒頭のショー場面のダンスがめっちゃかっこいい。この時点でクギヅケになった。
トビアスは、ヨーニー(碧音斗和)とセリフを交わす場面が多く、天飛の本役がヨーニーなので、なんとなく観ていてもそもそする。新公あるある。
石を投げる姿は、本役(七海ひろき)に非常に似ていると思ったが、その他のシーンでは、天飛らしいトビアス像を作っていると思った。ベティとのキスシーンも、きゅんきゅんするステキなシーンになっていた
夕渚りょう(カウフマン)…本役(天寿光希)をトレースしている部分もありつつ、役としての連続性がしっかりと感じられ、好演。
星蘭ひとみ(アンゼリカ・ロンバルト)…美しさは文句なし。短い出演場面をしっかりと演じていた。鬘と地毛の色味が違っているのが気になったが、アクセサリーで工夫するなど、もう少し気を遣ってほしかったな。
桜庭舞(シュザンヌ・シュラック)…本役(有沙瞳)をなぞってるのかなキャラは違うと思うが、印象は似ていた。で、本役より、印象は弱かった気がする。わくらばのデュエットは良かったです。
その他、ホテル・フロイデの主人(本役=美稀千種)を演じた朱紫令真は、もう一役のマルギット似の女が、めっちゃ美稀に似ていて、可愛かった。
ベティ(本役=水乃ゆり)を演じた瑠璃花夏は、超可愛い。カールに会いに御屋敷に行く場面では、ぴゅーっと駆け抜けて客席の笑いを誘ったり、フェストの場面でもヨーニーと二人で、可愛く踊っているのが印象的。
アンゼリカの夫・ロンバルト(本役=輝咲玲央)を演じた湊璃飛は、容姿の美しさが際立つ。本公演ほどこの夫婦にドラマを感じることはなかったが、センターに集中させたい新公では、その演出で間違いはないと思う。妻への深い思いやりは、しっかりと伝わったし。
最後のご挨拶で、極美くんのいっぱいいっぱいな感じが伝わり、すごく頑張ったね~と思った。
お疲れ様でした。
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