ジョンソン&ジャクソン
「ニューレッスン」
作・演出:ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二 ブルー&スカイ)
音楽:The Dubless(魚澄直希、原田亮)
美術:稲田美智子
照明:櫛田晃代
音響:佐藤こうじ(Sugar Sound)
衣裳:畑 久美子
演出助手・舞台監督:城野 健
イラスト:大倉孝二
宣伝美術:坂村健次
イラスト協力:川原田 樹
制作:瀬藤真央子、重松あかり、仲谷正資、川上雄一郎
広報宣伝:米田律子
プロデューサー:高橋典子
製作:北牧裕幸
協力:ダックスープ、ナイロン100℃
企画・製作:キューブ
3月に池谷のぶえさんの出版記念イベントに参加し、そこで、ブルー&スカイ氏の不思議な存在感に出会い、この人は何者なんだろうというモーレツな興味を覚えた。一方、その場で購入したのぶえさんの本を読み、この人の作る演劇は一般人に理解できないらしい…という恐怖を覚えた。
「グッド・バイ」と初日&千秋楽まるかぶりということもあり、観に行けるかどうか、観に行って本当に理解できるのか、など悩みに悩んで…気がついたら、ぴあの当日引換券をぽちっとしていた。
公演は日に日に盛況になり、私が観に行く日には、当日券は抽選になっていた。ぽちっとしていてよかった…と思う。
ナンセンス劇というものを初めて観た。
理解できるだろうか…という不安は、すぐに消し飛んだ。
おもしろい
そして、嵌まった。お勧めしたい。
ナンセンス劇のストーリーを紹介するほどナンセンスなことはないのだが、
「ハリボテの熊の大腸に手を突っ込んで、中のものを掴みだす」
という仕事についた新人の青年(大倉孝二)が様々なナンセンスに巻き込まれる話…かな。
そもそもハリボテの熊(ハリボテってか、板に描かれた熊)に大腸があるはずもなく、大腸の中のものってなんだよ、便とか、思うかもしれないが、オープニングから、ナンセンス(出演者が揃っているにもかかわらず、唯一の若手・小園茉奈が彼らになりかわって、あらゆる場所から出てきて一芸をする、そして当然のように出遅れる…を繰り返す)に始まるので、もはやその時点で客席もナンセンスに慣れてしまっており、無問題。
青年に技を指南するのが、ベテランの作業員・白川さん(池谷のぶえ)。彼女の夫を演じるのがいとうせいこう。俳優としての出演だったが、なかなかうまい。ブルー&スカイもとぼけた味を出して、面白い。
大倉が八面六臂の大活躍で、ナンセンスワールドに巻き込まれ、やがてナンセンスそのものと化す人物を体現している。面白すぎる…(役としては巻き込まれてるんだけど、彼が創ってる芝居なんだもんね…)
歌もすごい素敵でした
そしてそして、池谷のぶえ様
白川さんもすごいキャラなんだけど、彼女の死後登場する「お兄さん」が最高
あれは、男役ですっ
かっこいい。いや、おっさんだけど、ダンディ。でも宝塚じゃないから、大腸に現ナマ突っ込まれて(ここで、白川さんに教えられた技術が生きる設定)、それをスッポンと抜かれる…なんていう、乙女として恥ずかしーい役も、根性で演じてしまう。(ま、白川さんの死に様もそうだったけどさ)
白川さんの死後、夫がすぐに再婚した若妻に一目惚れした、白川さんの実兄、「お兄さん」。
しかし、大腸スッポンの姿がカッコ悪いと言われて、振られてしまう。
そこで、彼女を思慕して、一曲歌い上げる。これがめっちゃ素晴らしい。宝塚の男役だっ
いや、胸を揉みしだいたとか、乳が…とか、あられもない歌なんだけどさ、でも、男の哀愁、素晴らしかったです。
初めてのナンセンス劇…それは、愛と感動のステージでした
結果的に、この日は、「ニューレッスン」と「グッド・バイ」を梯子して、演劇の多様性と、さらなる発展の可能性を感じて幸せな一日となった。こういう日は本当に幸せなお酒が飲める。
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