カンパニーあれこれ(2)

「あれこれ」の(1)は、こちらです。
なんか、まだまだ色々出てきてしまった…


[9]原作では、高野悠(美弥るりか)は海外在住というのに、“ショートカットペア”(美人ランナーと美人トレーナーのコンビが珍しかったのか、鈴木舞(美園さくら)がマイマイ、瀬川由衣(海乃美月)がユイユイ、二人そろってショートカットペアといつの間にか言われるようになっていた。舞も由衣を“ユイユイ”と呼んでいる。)を知っていた。そして、マラソンランナーのトレーナーをやっていたキミにダンサーの何が分かるの[exclamation&question]という意味で、最初から由衣を「ユイユイ」と呼ぶ。あんな形で、プロジェクトMAIを解散し、今やリストラ対象になっている由衣には、ユイユイの名はつらいだけだ。
からかうのをやめてからは、名前を呼ばれない日々…それが、ウィーンから帰国する時、「瀬川」と呼ばれる。その時の、原作の由衣の喜びを思うと、「由衣」と呼ばれて喜ぶのは、全然違う…と感じてしまう。


[1][0]高野が突然ウィーンに戻ってしまった時、後を追って、由衣は一人、ウィーンに飛ぶ。原作の青柳誠一は、由衣が飛んでいる間も、日本で寝ずに様々な準備をしてくれる。由衣の宿泊先の手配、高野を説得できた時の帰りの便の手配、そして由衣が空港に降り立った時には、高野の住所とホテルのURLが由衣のスマホに送ってあった。何かあった時のために、有明F&Pの現地駐在員にも連絡してくれたり、さすが総務のベテラン…という細やかな対応。
サラリーマンのカッコよさって、こういうとこじゃないかと思う。だから、由衣に同行してウィーンに来た舞台の青柳誠二(珠城りょう)には、すごーく失望した。


[1][1]盆踊りのフラッシュモブ、あれ、なに[exclamation&question]
フラッシュモブについては、原作の中で、参加者にしつこいくらい注意している。
「これが何よりも大事です。終わったら、即、その場から立ち去ってください。フラッシュモブとは、一瞬きらめく集団という意味です。みんなで踊ってキラッと光ったあとは、何事もなかったように通行人に戻る。そこが一番大事です」
普通の通行人が、突然踊り出す。みんなが注目する中、ものすごいパフォーマンスをして、何事もなく消える。それがフラッシュモブの真髄だ。盆踊りの途中で、灯りを消して、一斉にバッチリコスチュームで決めた集団が現れるとか、どう考えても違うんだけど。


[1][2]「白鳥の湖」の公演は3回。木曜日に初日、一日あけて土曜日、日曜日の3公演だ。初日のネット上での感想を気にして、休演日にバーバリアン側から振付変更の申し出がある。そして、王子役の水上那由多(月城かなと)は土曜日に無事リフトを成功させた。で、最終日の日曜に事故が起きた…というのが、原作の設定だ。
それが、最終日の前に振付変更をして、そのただ一度の公演で失敗するなんて、那由っち、ちょっと可哀想というか…バーバリアン、口だけのダメんずになっちゃうんだけど…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][爆弾]


[1][3]原作では、「白鳥の湖」のあと、高野はさらに高い評価を得て、この作品を「ロットバルト」として海外公演が決まるなど、順風満帆。由衣は会社をやめ、高野には、有明F&Pのプロジェクトの一環で優秀な男性トレーナーが付けられた。まだまだ引退は先のことになりそうだ。
しかし、舞台では、ラストシーンのダンスパーティーで、バレエ団の田中乃亜(憧花ゆりの)が高野に声を掛ける、その言葉をまっすぐに受け取ると、なにやら高野は引退したみたいな雰囲気。そして、ヨーロッパで新しい事業をやるのに由衣を誘う。
高野が引退するってことは、由衣は、彼の引退を伸ばすという目的を果たせなかったということで、そんな由衣を新しい事業のパートナーに選んでもいいの[exclamation&question]っていうより、好きになっただけじゃないの[exclamation&question]
これって、そういう話じゃないと思うんだけどな…
原作では、高野と由衣の間には、何も起こらない。でも、それ以上の素晴らしいシーンがある。ぜひ、原作を読んでほしい。


[1][4]紗良お嬢様(早乙女わかば)や、美波(愛希れいか)など、バレリーナたちは、原作では、みんなとても積極的で、さばさばしている。ライバルが幽霊じゃないので、青柳の元妻にガン飛ばしたりしている。紗良お嬢様は、ハルカチン(高野の幼少時の愛称)に、結婚を迫るのではなく、「遺伝子」を迫る。
優秀な遺伝子は、瑞穂先生が立派なダンサーに育てるし、生物学上の孫の父親なんだから、パパもハルカチンを一生大事にするだろうし、とかあっけらかんと言う紗良は、なんだか可愛い。
実は、そっちの方が、結婚を迫るより印象は悪くなかったりする。私が女性だからかな。


ネットで言われている「孕ませ…」「ファンもアンチも根っこは一緒」とかは、原作にもある台詞なので、そんなに気にならなかったが、主人公の性格や物語の流れ方が、あんまり好きじゃなかった。てか、舞台の青柳さん、わりと苦手かも。


しかし、あの浴衣姿を見ただけで、すべてがチャラになるような気がしている。 そして、「月が綺麗ですね」の台詞。
浴衣と「月が綺麗」で別作品作った方が、石田先生の印象、良かったんじゃないかな…[あせあせ(飛び散る汗)]

この記事へのコメント

  • 歴史好き

    遅レス失礼します。
    余計な説明台詞が多いなと思っていましたが、
    こうして比較を見ると、原作のつまみ食い感がすごいですね。
    昨年子規と漱石を題材にした作品を外部で演出してるので、
    「月が綺麗」はむしろそこから頂いたのかなと。
    2018年05月04日 10:47
  • 夜野愉美

    歴史好きさま
    コメントありがとうございます。
    石田先生、そのようなお仕事をされていたのですね…どうりで唐突に夏目漱石が出てくると思いました。
    子規と漱石は松山で同居生活をしているのですよね。GW松山帰りの私としては、気になるお話です。
    2018年05月06日 23:26