古代ロマン
「邪馬台国の風」
作・演出:中村暁
作曲・編曲:西村耕次、鞍富真一、森本友紀
指揮:塩田明弘
振付:北浜竜也
殺陣:清家三彦
装置:新宮有紀
衣装:加藤真美
照明:勝柴次朗
音響:加門清邦
小道具:三好佑磨
歌唱指導:飯田純子
演出助手:樫畑亜依子
装置補:國包洋子
舞台進行:宮脇学
中村暁先生は、1990年「黄昏色のハーフムーン」で大劇場デビューした。私が、宝塚再デビューした年だ。そして、これが宝塚歌劇には駄作もある、ということを再認識した作品だったと記憶している。(そもそも「レビュー交響楽」の超つまらなさに宝塚から足を洗ったヒト)
まあ、その時踏みとどまったからこそ、東京宝塚劇場公演連続観劇記録27年目を迎えているわけで、自らの忍耐力にあらためて感動している。(自己肯定)
その1990年以来、暁先生の作品は、どれもこれも駄作続き。とうとうショー作家に転身してみたら、これが意外と面白いので、このままショー作家になるかと思いきや、またまた変な芝居を書いてくる…ということを繰り返し、現在に至っている。もうひとつ、歌劇団では重要な任務があって、柴田侑宏先生の作品を演出することが多い。私は、決して柴田作品を生かしているとは思っていないが、演出が立っていないので、脚本家的には気分がよいのかもしれない。
さて「邪馬台国の風」。
またまた、駄作界に新風を吹き込んだというか、駄作道に果てはないというか…もはや、駄作界のカリスマ
古代と未来は、前提となる基礎知識が観客側にないから、提供側が世界観を有形無形で完全に紹介しないといけない。そんな力があるはずもないのに、なぜ、邪馬台国に挑んだのか…
暁先生に表現できる世界は、「原作付き」レベルまでなのに。
作品を観た私の疑問…
(1)邪馬台国がどんなクニだったか、ほとんど解明されていない。魏志倭人伝に書かれた短い記録がその存在のすべてだ。なので、私たちは、暁先生の思う邪馬台国について、想像しなければならない。
⇒全く分からない。
どこにあったか、ということは、敢えて伏せてもいいが(無駄に敵を作ることになるしね)、クニとしての形態はしっかり説明してほしい。邪馬台国と、邪馬台国連合の関係性とか。
プログラムによると、これまでは、どうやら邪馬台国連合では、諸王の合議でものごとが決まっていたが(ここは書かれていない)、世の乱れを治めるために「連合の王」を立てようとしていて、そのために「神の声を聞く」巫女を呼び寄せることとなった…らしい。
まあ、そうは言っても、邪馬台国連合である以上、求心力は邪馬台国の王(羽立光来)にあったようだ。しかし、高齢(その後すぐ死ぬ)でもあるし(そもそもは長老として中心にいたのだろう)、そろそろ連合としての中心を決めた方がよい、ということだろうか。
しかし、諸王たち、卑弥呼が即位しても、ずーっと、邪馬台国に居座っている。
えーと…あなたたちのクニは、あなたたちがいなくても大丈夫なの
日照りの時も、みんな揃ってヒミコさまのところにやって来るし、タケヒコが盟神探湯(クガタチ)やることも、ヒミコを処刑することも全部合議で決めている。だったら、邪馬台国連合の女王とかいらなくね
(2)そもそもマナは、前邪馬台王のたっての頼みにより、遠方のムラから連れてこられた邪馬台国連合の女王候補の娘だったはず。
何故、大巫女(美穂圭子)の配下で他の巫女と同列になっているの巫女たち、大巫女の「巫(かんなぎ)は、神の声を聞けなくなったら死ななければならない」とかいうおどろおどろしい言葉を聞いて頷いているけど、みなさん、神の声を聞けるの
だったら、わざわざ遠くのムラまで命懸けでマナを迎えに行かなくてもよくない
てか、神の声は、アトランダムに巫女に下りたりしないの
見た限り、芝居が始まってからは、マナ(ヒミコ)にしか下りてきてないんだけど、巫女たち、そろそろ集団自決とかしなきゃってこと
てか、祭りの夜に、巫女たち、男にリフトとかされてますけど、あれは(男に触れてますよね)よいのでしょうか
(3)アケヒ様(花野じゅりあ)は、前邪馬台王の娘だったらしい。で、次期大巫女の座を狙っていたらしい。ということは、少なくとも巫女の仲間だったわけよね。神の声が聴けるのよね。娘が巫女なのに、なんで、遠くのムラから危険を冒して…(以下略)
ちなみに、アケヒ様、タケヒコ達が命懸けで走り抜けた狗奴国への道を、ふつーに歩いて踏破。普通の女ではないと思う。
(4)狗奴国は、渡来人である李淵(高翔みず希)を招聘しようとしたが、本人に断られたので、あっさりと斬り捨てる。まあ、そもそも渡来人が世捨て人みたいな生活をしていることも不思議なんだけど、(倭国のために役に立ってもらうために、渡来していただいたんだから)断ったら殺せという命令、意味わかんないんですけど…。
いったい何のために呼ぶつもりだったの本当は、そんなに来てほしくなかったりして
書いてみると、それぞれは些末な話に見えるけど、設定だったり世界観だったりがちんぷんかんぷんだと、そこから先に進めないのだ。
あーもー全然わかんない…
出演者の皆様は、本当にお疲れ様でした
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