ミュージカル
「花・虞美人」
演出:花虞美人制作委員会
演出協力:本間憲一
演出協力補:西祐子
脚本:岡本貴也
脚本協力:長谷川晃示
作曲・音楽監督:鎌田雅人
楽曲製作:黒木渚
美術:柴田隆弘
照明:吉枝康幸
音響:相川幸恵
振付:麻咲梨乃
殺陣指導:TeamAZURA
歌唱指導:宮崎誠
衣裳:山下和美
ヘアメイク:中原雅子
舞台監督:小笠原幹夫
演出助手:出口雅敏
都内の劇場で、私が仕事帰りに行きやすいのは、東京国際フォーラム、帝国劇場、そして、東京宝塚劇場&シアター・クリエかな。
ACTシアターは、微妙に行きづらい。「MY HERO」の後、この先、この劇場に来るのはいつかな~なんて、思っていた。
ところが、突然行けなくなってしまった…と友人からSOSのコールがあり、たまたま夜に予定がなかったので、観劇することに。チケットを受け取り、いよいよ観劇する日前日くらいに確認してみたら、開演時間18:00…ぜーったいに間に合わない
赤坂18:00開演、無理です、無理
しかも年度末。休みを取ることもできないし、時間有休特典も使い果たしている。
考えあぐねた末、取引先から直行するという、裏技を行使した。関係者の皆様、申し訳ございません
宝塚ファンの皆様は、大昔から「虞美人」は、お馴染みの物語。宝塚ファンは、古代中国にも造詣が深いのだ。
しかし、今回の「花・虞美人」は、ひとつ、大きな創作がある。なんと、虞美人、そもそもは、劉邦の恋人だった、という設定だ。
始皇帝が統一した中国。もとは楚の国だった沛県の小さな村では、村一番の美女、虞(凰稀かなめ)が、結婚を控え、父(鈴木智久)や、弟・子期(松田凌)と幸せな時間を過ごしていた。相手は、劉邦(ユナク)。
しかし、結婚の直前、始皇帝の兵が村を襲い、娘を差し出すように、と言いつける。村一番の美女、虞は、当然目を付けられるが、結婚式当日なので許してほしいと取りすがる父親は兵士に斬り捨てられ、村人も多く殺され、虞は、兵士に連れ去られる。
生き残った、劉邦、その親友の樊噲(ハンカイ・岡田亮介)、そして子期は、始皇帝への恨みを募らせる。
愚は、始皇帝の後宮に入れられ、純潔を奪われるが、そのまま愛妾になることをよしとせず、宦官の趙高(桑野晃輔)から刀を奪うと、始皇帝を殺そうとする。もちろん果たせずに、返り討ちに遭いそうになるところで、阿房宮に項羽(黒川拓哉/池田努)の軍がやってくる。始皇帝は、他人の振りをして逃げようとするが、虞はそれを許さない。彼女の言葉により、始皇帝は、項羽に成敗される。
汚れてしまった自分はもはや帰る所もない、と、燃え上がる阿房宮と運命を共にしようとする虞を、項羽は、助け出す。彼らがハケた直後、劉邦、樊噲らが、阿房宮に攻め込んでくる。
以後、虞と劉邦は何度もすれ違いを繰り返して、観客をハラハラさせる作戦と見た。
で、ラストシーンは、項羽の死後も虞は生き残り…そして…という意外なものだった。
殺陣が大迫力こればっかりは、宝塚を見慣れているせいか、おおーっ
と思ってしまう。アクロバット技を含んだ激しい戦闘シーンと、あと剣舞のシーン、素晴らしかったです
セリフ的な部分は、劉邦の日本語の発音がたどたどしいこともあり、なかなか、気持ちが伝わって来ない。私が観劇したのは、黒川版の項羽だったが、こちらは、荒々しい場面での緊迫感が伝わって来ない。主役の男性二人がそんな感じなので、全体的に盛り上がりに欠ける部分もあった気がする。
そんな中で、大澄賢也の范増が素晴らしすぎた。全部さらった感じ。大澄のソロの後の拍手が凄かったのが、私も嬉しかった。残念ながら、この作品には、張良は出ていなくて、韓信(石橋直也)がそのキャラクターも含めて演じていた。こちらも素敵だった。呂雉(高橋由美子)は、もっと上手に使ったら、作品に厚みが出る人になったと思うのに、権力欲の塊のようなステレオキャラになっていて残念。
題材はよいのに、たとえば、村に始皇帝の軍隊がやってきて、剣を抜いて娘たちをかどわかしていく場面、どうして愚の父親があっさり斬り殺されるのに、劉邦、樊噲、子期だけは、斬られないのかとか、演出に疑問を感じる部分は多かった。
なんだよ、演出の花虞美人制作委員会って誰か、演出を立ててくれ、頼むから。
こんな状態の中、世紀の美女・虞美人を演じ切った凰稀かなめ。美しさは際立っていたが、運命に翻弄される美女という存在に、なんとなく居心地悪そうな雰囲気があった。もう少し、自立した女性として書いてあげた方が、似合っていたような気がする。
項羽と劉邦、それぞれに魅力があり、虞への接し方も違うので、両方に惹かれてもしょうがないなーと私は思ったのだが、凰稀は、項羽への想いは、恋愛感情ではない的解釈に感じた。そのわりに、劉邦への思慕が弱い気もするし…あまり、三角関係的なドラマが感じられなかったのは残念
あとね、個人的な感想ですが、スタジオライフで娘役メインでやっている鈴木智久くんを、お父さんとか、おじいさんとかで使うなんてどゆことよっ
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