先日、スタジオライフのファンの集いでいただいたお土産、こんな包装紙でした。
こんなお店があるんだ~と、ワクテカ
というわけで、花組公演の感想です。
宝塚舞踊詩
「雪華抄」
作・演出:原田諒
作曲・編曲:玉麻尚一
音楽指揮:大谷木靖
振付:花柳壽應、藤間勘十郎、尾上菊之丞、麻咲梨乃
装置:松井るみ
衣装デザイン・監修:丸山敬太
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
小道具:松木久尚
歌唱指導:山口正義
ヘアメイク監修:Eita
演出助手:栗田優香
衣装補:加藤真美、中村秋美
舞台進行:香取克英
原田諒先生、初のショー作品となる『雪華抄』は、伝統的な宝塚の和ものショーらしさに溢れた秀作。⇒初めて、原田作品を褒めた気がする。
<プロローグ 紅梅白梅>
全員が梅の花の衣装を着ての総踊り。幕開きは、もちろん、チョンパ
チョンパは、拍子木の“チョーン”の音の合わせて、パッと一斉に照明が点いたら、舞台上にずらっと出演者が並んでいる、という壮観な幕開きの光景を指す言葉だが、原田先生は、その場面の効果を増すために、袖の内側の灯りも消灯させているという。
出演者側も本当に真っ暗な中の移動になるので、前後の人と繋がってそろりそろりと舞台に出てくるらしい。移動が慎重になれば、衣ずれの音さえしないから、ますます効果は上がる。危険のない範囲で…とは思うものの、その拘りがプラスに働いたようだ。
和ものショーのプロローグといえば、慶長の若衆が定番だが、慶長といえば桜が多い中、あえて梅をテーマにしたところに新しさを感じた。和ものショーの定番は、季節が一巡してプロローグのところに戻るイメージだったが、梅から始まって桜で終わるのもいいなぁ~
大劇場を観た時は、あまり、「旬」ということを感じることはなかったが、東京では、お正月公演でもあり、梅がしっくりくる。もうすぐ、梅が咲いて、春が来るのだ、と寒さに耐えて劇場に通っている感じ
舞台中央の水の流れを模したセットも素敵だった。
ところで、「慶長の若衆」と、毎回書いている(プログラムにはこんな記載はありません)が、そもそも、なんで「慶長」なんだあのヘアスタイルと、陣羽織を羽織ったような衣装を見ると、条件反射的に、「慶長の若衆」と書いてしまうのだが。
慶長年間の始まりは、豊臣秀吉の最晩年。(終わりは、大阪夏の陣の豊臣氏滅亡)その時代に行われた豪華な花見の宴のような、爛熟してるけど、後から見れば、儚いもの…それが、桜の花の特性と相俟って、日本人の大好きな春のイメージになっているのかな…と思っている。
とはいえ、今回は、梅、です。
桜はもちろんフィナーレに登場するが、桜でサンドイッチせずに、まずは、梅で幕を開ける。なかなか、新鮮でした
この場面の衣装が全員新調というのも、すごい太っ腹
そんな新しさもありつつ、内容は定番のプロローグらしく、華やかで美しかった。特に、和ものショーのお化粧を初めて見たが、桜咲彩花が雛人形のように美しくて、驚かされた
<花椿>
続いて、松本悠里による一人舞。
ここでは椿(雪椿)がテーマになっている。
バックに流れる影ソロ(音くり寿)の歌詞によれば、去年の雪が溶けて流れる2月が舞台。なるほど、梅⇒雪だと、なんとなく季節が後戻りしたようにも感じられるけど、どちらも2月…か。片や早春の喜びを歌うプロローグ、そして、一方では雪が残っている。それは決して矛盾しないし、それこそ日本らしい景色かもしれない。
情緒たっぷりの松本の踊りだが、歌詞が若干都々逸っぽいかなー。(そもそも芸者という設定なのかも)
そのわりに、ラスト「散る」で終わるんだね…せっかく椿なのに…ってか、歌詞がかなりイミフ
それっぽい言葉を連ねているわりに、何を言っているのかわからない。くりすちゃんの歌がクリアに聞こえるので、あれれ
と思ってしまった。
音は、童顔に似合わず、声だけだと、なかなか色っぽいなぁ~
<鷹と鷲>
続いて、春。
鷹と鷲が大空の覇権を争う。
女性が一人でしっとりと踊るところから、一気に勇壮な男役の群舞になる辺り、メリハリがあって、とてもいい
また、鳥といっても、鷲や鷹は、羽ばたくのではなく滑空する。そんな姿も見事に再現した振付(by藤間勘十郎)だった。
山のセットも中国の山水画のようで、美しかった。
<七夕幻想>
そして、夏の夜。
七夕の夜を楽しむカップルたち。浴衣姿が似合う。江戸時代の庶民という感じかな銀橋の鳳月杏と桜咲のデュエットが美しいハーモニー。
そして、現実のカップルたちがハケた後、幕が上がり、そこでは、幻想的な七夕の風景が繰り広げられる。
彦星(芹香斗亜)と織姫(仙名彩世)を中心に、星空がつり下がった世界が美しい。舞台の奥行をすべて使って、盆が回って、天人と天女のカップルたちがポーズを取っているのが、本当に素敵そのセンターで、苧環から織姫の織った布を彦星が引いている光景が美しくて
こちらは、天平時代辺りのファッションかな。中国風のテイストが、しっくりきてました。
ところで、冒頭の江戸風景が「七夕幻想A」で後半の織姫彦星が「七夕幻想B」なのね…ちなつちゃんったら、なにげに、1場面もらったと考えていいのかしらね
(ちなつ贔屓
)
<波の華>
カーテンが閉じると、音楽が一変。勇壮なリズムの中、瀬戸かずやがセリ上がり、斎太郎節からスタート。中詰はノリノリの民謡メドレーだ(貝殻節~尾鷲節~佐渡おけさ~串本節)太鼓のリズムがエイトビートのロック調と融合して、血が騒ぐ
斎太郎節や、佐渡おけさなど、誰もが知っているメロディーに混じって、尾鷲節や串本節など、へぇ~こんな民謡があるんだ~と、思ったり、飽きさせない。妙に紀伊半島寄りだけど。
徐々に盛り上がったところで、トップ明日海りお登場。綾棒と呼ばれる銀の房のついた棒を両手に1本ずつ持ち、軽快に歌いながら操る。この総踊りは圧巻
さらにそこから、芹香の歌で、テーマ曲(音頭バージョン)が、夏を読みこんだ歌詞で歌われるのもニクい。ここでは綾棒を使って、寄せては返す波を群舞で表現している。いいなぁ、日本の夏。
<清姫綺譚>
一瞬の暗転の後、舞台には、安珍に扮した明日海。
舞台上背景に、秋の月。安珍清姫の恋模様を舞踊劇にして見せる。
ぶっかえりのような歌舞伎手法と、大きな布を使ったマスゲーム的パフォーマンスの融合が素晴らしい。
一途に恋心を燃やす清姫(花乃まりあ)と、恋と修行に引き裂かれる安珍。安珍が修行を選ぼうとするところで、下級生男役たちが、安珍を守ろうとするかのように、周囲を取り囲んで踊る様は圧巻。女から稚児に逃げているようでもある…(実は、日高川の波だそうです。)
赤いライトと旗で紅蓮の炎を表した場面もわかりやすく、清姫の痛々しいまでの愛に殉じる安珍の決心からのセリ下がりは、ドラマチックだった。短い場面なのに、芝居を一つ見たような充実感。
そして、冬。
舞台上の空間にまだ残る火の粉に混じって雪が降る。
若手の男役・娘役が8人ずつ、白い衣装で登場、静かに踊る。二人の霊を弔うかのように。和海しょうの銀橋での歌も雰囲気がある。
<フィナーレ 桜花夢幻>
そして、松本が桜の着物に身を包み、セリ上がる。春よ、美しい春よ
という歌で、少しずつ生徒が増えて行く。一人一人が違う着物。原田先生が生徒に合わせて選んだらしい。
ここの影デュエット(咲乃深音・愛乃一真)が素晴らしい
最後に、安珍清姫が復活したかのように、セリ上がる明日海と花乃。春って復活・再生の季節なんだなぁ~(冬に枯れたものが、春に芽吹くみたいな…)と気づいて、うるっとした。明日海が、春よ、美しい春よ
と一節歌って、そこからテーマ曲が再び流れ、一同銀橋で挨拶して終わる。
久々に素敵な和ものショーを堪能した気分。原田先生、こっちに転向したらどうかなぁ…
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