単館上映の映画なので、あまり知られていないと思うが、以前関係した映画のスタッフ仲間に紹介され、鑑賞することにした。
江戸時代生まれの日本人が、ガンの原因を探るため、人工的にガンを発生させる研究をしていたなんて、まったく知らなかった…その先生が、こちらの山極勝三郎先生。実験用の動物といえば、ネズミを使うことが一般的だが、耳に刺激物を塗ることでガンを発生させるという実験に対して、ネズミは耳を引っ込めてしまうため、ウサギを使うことにする。そして、紆余曲折の末に、人工的にガンを発生させ、『慢性的な刺激がガンの発生原因』であることを実証してみせた。
そしてノーベル医学賞の候補となるが、残念ながら、日本人初のノーベル賞受賞者になることはなかった。日本人がノーベル賞を受賞したのは、それから四半世紀ほど過ぎた戦後のこと。ノミネートされるだけでもすごいことだったんだなーと思う。
そんな山極博士の人生を真面目に追った映画だった。
明治の初め、廃藩置県により、下級武士たちはアイデンティティーを失う。勝三郎と友人の滋次郎は、そんな時代からの仲良し。二人は上京し、それぞれ婿入りして婚家の資産で東京帝国大学に学び、日本のために役に立つ人材になろうと考えている。
少年時代、上京時、そして結婚してから…と3人の俳優が、勝三郎と滋次郎を演じた。が、少年時代と上京時はほんの一瞬で、20歳くらいからの勝三郎と滋次郎は、遠藤憲一と豊原功補が演じている。ちなみに、勝三郎の妻は、水野真紀。
この二人が演じた結婚式の場面はかなりつらかった…たぶん20歳そこそこの設定なんだよね、これ。
上京した時の勝三郎役の俳優(中込智希)は、エンケンに雰囲気が似てたから、ドイツ留学までは彼に演じさせればよかったのになぁ~と思った。
※右下写真の寄せ書きを引き伸ばして出演者名を確認し、ネット検索したら…俳優さんじゃないんだホンモノのエンケンの甥っ子さんでした
どうりでセリフがほとんどなかったわけだ…
(共演の高橋ふみやさん=豊原さんの上京時=がほとんど彼の代わりに台詞を言っていた。)
あと、少年時代を演じた子役さん(橋本智哉)は、なぜか男の子というよりは、男役っぽい雰囲気の少年だった。現役のタカラジェンヌに似てる人がいるような気がするのだが…。
勝三郎と共同で研究をする市川厚一役の岡部尚がいい味を出していた。
あと、長女の役を演じた秋月成美が雰囲気があっていいなーと思った。それと妹役の緒方美穂も可愛かった
最後に、山極にノーベル賞を与えられなかった…と謝罪するヘンシェン博士(これは実話らしい)が、突然日本語を流暢に喋り出したのには、椅子から落ちそうになった。全体的にプロットはすごくいいのだが、脚本がイケてない感じかな。ナレーターが、滋次郎(豊原)⇒梅子(秋月)⇒晩年の梅子(高橋惠子)とリレー形式になっているのも、統一感がなく納得できない。
あくまでも私の好みの問題ですが、のめり込むことはできなかった。
でも、こんな偉人が明治・大正の世にいたんだなーということを知れて、良かったと思う。
山極先生は、現在の長野県上田市のご出身。おおっ、真田丸に沸く上田に、こんなヒーローもいたのかっ
上杉景勝も素敵だったけど、山極先生も素敵でした
単館上映のいいところ。
関連グッズとかを展示できるんですよね、こんな風に。山極先生の論文とか、出演者寄せ書きとか。
【1月4日】
太平洋戦争で中断した箱根駅伝が復活(1947=昭和22年)。
ということは、当時は、1月4日に走っていたということですね。
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