平さん…

俳優、平幹二朗さんが、自宅で亡くなっていたことが、23日わかった。82歳。死因等はまだわかっていない。浴槽で倒れているところを、長男の岳大さんが発見したそうだ。

このブログの過去記事によると、2005年「ドレッサー」、2008年「山の巨人たち」、2013年「滝の白糸」が、私にとっての平幹二朗体験ということになる。
蜷川さんの舞台を初めて観たのも2005年。巡り合わせなのかな。

「山の巨人」は、とても難しい芝居だった。 


「意味のわからない芝居に引き込まれ、楽しかったのは、ひとえに平幹二朗のセリフに迫力があったからだと思う。あのセリフはすごい。
サラ・ベルナールは、食堂のメニューを音読しただけで、レストランの他の客を泣かせたという。
そんなのあり~?と思ったが、平が語れば、「オムライス・カツレツ・ラーメン…」とかでも、感動しそうな気がする。そんな方と、セリフ交わしちゃってますよ、及川健が!
いいんですかね、本当に…」


と、その時、私は書いた。

2013年の「滝の白糸」の時、私は、平さんの演技に強いショックを受けた。
圧倒的なセリフの力は、上記の公演で知っていたはずなのに、それでも、祐飛さんが完膚なきまでに押さえ込まれたことに、演劇界侮れない…と改めて思ったし、そこに挑戦し続けてくれるかな…と不安にもなった。
でも、大千秋楽で、頑張った後輩たちに自ら手を差し伸べてくれた、大先輩の名優の姿に、涙が出た。

人は自分の求めるものがこの世に存在しないと分かって、なお生き続けることができない
だから終わりのない、神聖なる酩酊が必要なんです

「山の巨人たち」の中で、心に残ったセリフ。
終わりのない、神聖なる酩酊…それは、蜷川さんの創り出す世界だったのだろうか。
だから…あちらの劇団に移籍してしまったのだろうか。

私たちは、大いなる不在を前に、立ち尽くすのみ―

“今日は何の日”
【10月23日】
シャクシャインが松前藩の謀略で殺害される(1669=寛文9年)。

アイヌVS江戸幕府という単純な構図でもないらしいけど…不勉強で、まったくわからない事件です。

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