祐飛さんの思い出(10)

(10)2007年

2007年は正月から大劇場公演『パリの空よりも高く/ファンシー・ダンス』に出演。
お芝居では、瀬奈じゅんとケチな詐欺師コンビ。詐欺を働くつもりがエッフェル塔の建設に貢献して、一文も稼げない…というお正月らしいコメディ。作・演出の植田先生は、同期ならではのコンビネーションに期待して、2番手の霧矢大夢を詐欺の題材となるギスターブ・エッフェルに配し、瀬奈と大空を詐欺師コンビにした。しかも大空は、18歳の少年…なんの羞恥プレイ[exclamation&question]
しかし、この少年役が、イタくないと言えばウソかもしれないが…なぜか、ハマる。好きなんだなー、ぱかーっと口を開けて笑う祐飛さん[黒ハート]
あと、あさこさんのテンションの高い芝居に、最後までついていけたことにも感動[ひらめき]暗い役じゃなくても、テンション保てるじゃない[exclamation]同期コンビによるドタバタ芝居が面白くて、脚本はアレだったけど、楽しく通った公演。
一方、ショーの『ファンシー・ダンス』は、1シーン丸々祐飛さんがセンターという場面を初めてもらった。ダンスのオーディションに合格してスターになるという、いやがらせか[exclamation&question]という設定ではあるものの…いや、そもそも、主題歌からして“決めるぜ、ダブルターン”とか、ほんとイヤミな歌詞だったりしますけど、でも、そういう場面があるのは、嬉しかった[グッド(上向き矢印)]
この公演で、月組は、学年も実年齢も近い1.2.3番手が充実した組というカラーがハッキリした。しかし、それは、「瀬奈を頂点とするピラミッド」とは違う組の形でもあった…

続く全国ツアー公演は、『ダル・レークの恋』。
きりやんがバウホール公演『大坂侍』に主演するため、祐飛さんは、全ツ2番手として、ペペルという色悪の役を引き受けることとなった。祐飛さんが退団する時の酒井先生のメッセージで知ったのだが、この時、初代ラッチマン役の春日野八千代先生が、お稽古を見てくれたそうだ。そして、祐飛さんに激励の言葉をくださったとか。小さくまとまらずに大きなスターになってほしい、というような言葉だったと思う。
浅黒い肌にターバンが似合って、スタイルの良さが際立ったペペル役を追いかけて、全国を回ったなぁ~[るんるん]
こうして、着実に一公演ごとに大きな存在になっていく祐飛さんに、わくわくしつつ、次の公演も楽しみにしていた。

次の大劇場公演は、『MAHOROBA/マジシャンの憂鬱』。
『MAHOROBA』は、ヤマトタケルを主人公とした、神話をベースにした和もののショー。祐飛さんは、きりやんと一緒に、サルメとサダルというヤマトタケルを先導する神の役を演じた。謝珠栄先生の振付で踊る祐飛さんは、一生懸命で、神々しかった。
しかし、『マジシャンの憂鬱』における祐飛さんの役どころは、完全な“格下げ”に思えた。
ポスターは、『マジシャン…』のもので、瀬奈・彩乃・霧矢・大空の4人が掲載されているのに、実際は、あさこさん扮するシャンドールの居候5人組の一人。しかも、フィナーレナンバーでは、あさこさんを囲む8人口の一人に。衣装にラインストーンのひとつ追加もない、完全にその他大勢口。この時、使われていた曲は、私の大好きなリストの「ハンガリア狂詩曲」だったのに、しばらく聴きたくないくらい落ち込んだ[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
祐飛さん自身がこの状況をどう考えていたか、わからないが、このままいけば、退団に追い込まれる可能性はあるかも…そんな風に、戦々恐々とした。

しかし、実際には、この時、水面下で、組替え話が進行していた。知らぬはファンばかりなり…

12月、大空祐飛主演のバウホール公演、『HOLLYWOOD LOVER』が上演された。その千秋楽の翌日、運命の12月26日、祐飛さんの花組への組替えが発表された。その時点で、花組トップの春野寿美礼は東宝の退団公演を打ち上げており、新トップ、真飛聖が就任していた。真飛は、大空の3年後輩―祐飛さんの花組での立場がどうなるのか、その時点では、まったく予想がつかなかった。

2007年 『パリの空よりも高く/ファンシー・ダンス』(宝塚大劇場→東京宝塚劇場)、『ダル・レークの恋』(全国ツアー)、『MAHOROBA/マジシャンの憂鬱』(宝塚大劇場→東京宝塚劇場)、『HOLLYWOOD LOVER』(宝塚バウホール)

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