2010年 日葡修好通商条約150周年記念
宝塚ミュージカル・プレイ
「コインブラ物語」
作:小林公平
監修・演出:酒井澄夫
作曲・編曲:太田健
編曲:鞍富真一
振付:名倉加代子、若央りさ
殺陣:清家三彦
装置:新宮有紀
衣装:有村淳
照明:笠原俊幸
音響:実吉英一
小道具:伊集院撤也
歌唱指導:矢部玲司
演出助手:原田諒
舞台進行:表原渉、阪谷諒子
宝塚歌劇団にとって小林家というのは、特別な存在だ。
創設者小林一三は、阪急・東宝という巨大グループを作った偉大な「経営の神様」だったりする。
が、今の阪急・阪神グループにとって、今の小林家は既に経営の中枢にはいない。
しかし、阪急という会社の一事業部の中の一組織でしかない宝塚歌劇団にとっては、小林家はいまだに「何か」であるようだ。
たかだか20年程度の観劇歴しか持たない私にとって、小林、といえば、公平氏であり、公一氏であるが、現理事長の公一氏(要は歌劇団で一番地位が高い)はともかく、公平氏は、なんだかわからない(劇団の要職にはいない)けど「えらい人」ということになっている。(一応音楽学校の校長ではあるが。)
その公平氏、「公文健」のペンネームで、作詞をやっていることは広く知られているが、2006年に「愛するには短すぎる」という作品で、とうとう芝居のプロットを書いてしまった。
そして今回、ついに脚本家デビューを果たしてしまった。
偉い人がそのネームバリューで文化活動をやるっていうのは、一種の犯罪じゃないかと思うのだが、おかげさまで、私、終演後、帰宅して、寝込みました。
この作品は公平先生の完全なるオリジナルではなく、元ネタがある。「ペドロとイネス」というポルトガル王家の実話に基づいた悲劇で、ペドロという名の王子が妃の侍女であるイネスに恋をしたが、妃の実家に遠慮した国王らの陰謀によりイネスは殺されてしまう。
王の死後、新国王となったペドロは、イネスの遺骸を王妃とし、イネス殺害の実行犯たちに次々と復讐をしていく。
そういうちょっと怖い物語なのだが、公平先生は、もう少しソフトな形でこの物語を構成したようだ。それは公平先生の優しさなのかもしれないし、宝塚らしさの体現なのかもしれないが、おかげで悲劇は台無し、素人って怖い
公平氏がどんな風に素人で、それが芝居を書くということが、どんなにまずいことなのか、というのは、別途書きたいと思うが、ここでは、そんな素人芝居に付き合って寝込んだ私のメモをご覧下さい。
- さすがに公平先生の脚本だけに、とにかくセットが豪華。つか、大劇場作品でもないのに、こんな立派なセットってあり?と思った。いや、むしろヅカのレベルを超えていた
- ヒロインの蒼乃夕妃は、金髪に合った化粧をしようとするあまり、地の表情を生かす化粧が出来ていなかったが、かなり痩せたと思った
- 衣装は豪華できれい。「フェット・アンペリアル」並に楽しめた
- 頬が削げた轟はリアルに美しい男子に見えた。が、この人に若い役をやらせるのはもったいないと思う。若い役は下手でもできる。専科のトップには、若い人にはできないものをやってほしい
- 「バンザイ」って…「ダル・レークの恋」再び、かと…
- 出会いの場面で、侍女チームの中、蒼乃だけがまったく違う衣装というのは違和感がある
- さらに、「バンザイ」の曲に戻って、暗転って…なんのために
- 美稀千種はパパ役だったが、若くて可愛かった
でも演技力で見せる
- 愛の泉で、なぜイネス自身は口をすすがないのだろうか
- 「少しでも早く」というセリフには、どう反応すれば…?
- 真風くんは、顔だけじゃなくて、滑舌も春野&水似だな
- 轟さん、たしかにスタイルはいい
- 涼紫央は、近衛隊長って、ベルばら?しかも幼なじみに恋してるし
- その、幼なじみの王女、コンスタンサ(優香りこ)…あんまり可愛くないような…
- ペドロとその妻、コンスタンサは、それぞれ違う人を愛している。そのことに気づいた二人…なのに、当分このままにしておく、ってなんか…緊張感がない…
- みんなスターブーツが似合う
- 轟と涼のデュエットはなかなか素敵だった
- さて、忘れた頃に現れる、“黒い風”の面々。紅ゆずるは、春野さんみたいな雰囲気。その眉毛はいいのか?というか、この人の化粧は、これでいいんだろうか
- 二役で“黒い風”のミランダを演じるまりもは、元気一杯
このまりもの魅力が失われることのないように…
- イネス家の使用人…心広すぎ
- 黒い風のテーマソングがかかっているのに、黒い風は征伐されちゃうんだ
- え、アフリカまで行く気だったのか、ビメンタ(涼)は
- 国王(にしき愛)は後悔し、ロドリゲス(真風)は、死んでお詫び。後味が悪い
- さらに、「こうするしか道はございません。おさらばでございます」とイネスは去る
- フィナーレは、夢乃、紅、真風で長いシーン。曲は“黒い風のテーマ”だけど、でも真ん中は夢乃だし、真風も関係ないし…その選曲でよかったんだろうか
- フィナーレ頭のすずみんの長い歌、場面が変わらないわりには、なかなか緞帳が開かない
- 最後まで観て思ったのは、バランスの悪い作品だということ…その辺については、もう少し真剣に考察したい
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