来日公演「プロデューサーズ」観劇

来月は翻訳版を観劇するが、今日は来日版。おおざっぱなストーリーを聞いただけで、予備知識なく観劇したが、これがめちゃくちゃ面白い。
まさに往年のブロードウェイ・ミュージカル的面白さ
つまり、最初に提示された問題は重大なのに、最後はなぜかすべて丸くおさまって主人公たちはBigな成功をおさめる。
そういえば、最近はミュージカルを観に行って、自分より不幸な人を見て気の毒がっていることが多かったなぁ…と、最近のミュージカル界を思う。
往年のブロードウェイ・ミュージカルは、たしかに、そこに行けば、ありえない夢を見られる内容だった。田舎から出てきたコーラスガールが、ある日突然スターになってしまうような。
それでいて、風刺のきいたセリフや、業界を席巻するゲイ・パワーなど、現代的な部分も織り込まれている。
いいものを観た!と感激していたら、これは、トニー賞12部門も受賞し、一時チケットが高騰して問題になったほどの人気ミュージカルだった…と知って、愕然。面白くて当然だったんだ…来月彩輝さんが出ること位しか、わかってなかったよ。)

厚生年金会館は、去年、「RENT」来日公演でも使われた場所。
相当古い施設だよね。緞帳に「伊勢丹」「Technics(テクニクス)」の文字。テクニクスは、松下のオーディオ用のブランド名で、今はパナソニックに統一されているはず。(昔は、家電がナショナルで、オーディオがテクニクスで、海外製品がパナソニックだったのね。)
字幕は、左右に2行ずつ電光掲示板に出る。
でも、これが間に合わないんだ。舞台が面白すぎて、字幕見てるのが惜しい。意味わからなくて字幕見ると、芝居のいいところを見逃す。あぁ…英語わからないのがつらい!(出演者、相当早口なので、かなり英語力がないと、面白さが伝わらないと思う。翻訳は、だじゃれや、言外の知識を含めて、相当上手に訳してくれているが。)

いやぁ…しかし、経理やってる人間としては、「借方」「貸方」なんて言葉が入ってるナンバーがあろうとは!!と感銘を受けた。そして、会計とプロデューサーって本当に対極なんだ!としみじみ思う。
(ここで愉美のアリア「私は社長がわからない」)
それから、家に帰って辞書で確認したのだが「Gay」というのは、本当は「陽気な」という形容詞だったのね。(1.陽気な2.派手な3.放蕩な4.[話]同性愛の)
そこを上手く使って、派手なゲイの制作チームが「Keep A Gay」というとびきりお洒落なナンバーを歌っている。

1幕は、昔はヒットを飛ばしまくっていたプロデューサー・マックスの新作が、またまた批評家に酷評されたところからスタート。彼のもとに派遣された会計士(公認会計士の事務所にいるただの会計士という設定。日本では、会計士=公認会計士なので、会計事務所の事務員といった立場かな?)のレオが、オープニングナイトがクロージングナイトになってしまった、「Funny Boy」というショーの会計処理をしにやってくる。
このミュージカル、興行的には大失敗だったにもかかわらず、マックスは損をしていない。むしろ、儲かっていた。なぜなら、出資額>使用額だったから。
レオの純粋な疑問をタネに、二人はとんでもないことを考える。
大金を集め、大失敗のミュージカルを作れば、大もうけができる!と。
二人は、最悪の台本・最悪の演出家・最悪の出演者を探し、とうとう最悪のミュージカルを制作してしまう。

この、第一幕のスピード感が非常にいい。テンポがあるし、登場人物たちも個性的だ。大失敗ミュージカルのネタにヒットラーを使おうという企画も、相当ブラックでパンチが効いている。
大失敗ミュージカルに出資してもらう相手は、すべて、お金に困っていない老婦人である。彼女達に性的な奉仕をすることで、大金をせしめるというのも、かなりブラックなネタである。(おばあさま軍団の歩行補助器兼イスを使ったダンスは素晴らしいアイデア)
で、自分はいくら出すんですか?という、レオに、マックスはプロデューサーの鉄則を語る。
「プロデューサーは、自分の金をつぎ込んじゃダメ!」
なるほど…

さて、彩輝さまが演じることになるウーラは、スウェーデンからやってきた金髪美女。持っているものは見せなさい!という母の教えを忠実に守っている好色そうな娘。二人のプロデューサーは彼女に夢中になり、新作の稽古が始まるまで、秘書にしようとする。
ウーラは綺麗なドレス姿で、衣装換えも主役より多いほど。露出の多い衣装なので、宝塚時代からのファンには、ちょっとショックかもしれない。
ソファを使ったレオとウーラの場面は、「雨に唄えば」を彷彿とさせる。(ほかにも「Got A Sing Sing」というちょっとパクリっぽい場面もある)

ブロードウェイの初日、関係者は縁起を担いで、「Good Luck!」を言わないらしい。代わりに言うのが「Break A Leg!」(足を折ってしまえ)。悪いことを口にすることで幸運を呼び込むしきたりなのか…。
(その昔、「ジャンクション24」というショーで、「Break A Leg!」という場面があったが、そういう意味があったのね。納得!)

2幕で、その最低のミュージカルが劇中劇として上演されるが、これがまたブラックな内容だ。
ドイツ軍人のあの足を高く上げた行進を揶揄するダンスナンバーや、各国首脳に似せた扮装の出演者などなど。第一、本当に足を折ってしまった主演者(脚本家が主役に選ばれていた)の代わりにゲイの演出家がヒットラー役を演じること自体が、ものすごいブラック!
(ヒットラーはユダヤ人だけでなく、同性愛者への迫害もものすごかった。)
ヒットラーに対峙するのが、「エイコーラ」の曲に乗ったスターリンだったり、葉巻をくわえたチャーチルだったりするのだが、必ず自己紹介をしている。
その後に出てくる車椅子に乗った物静かな紳士だけが、自己紹介をしない。
それは、これがブロードウェイ・ミュージカルだから、なんだろうな。それがF・D・ルーズベルト大統領だなんて、子供にでも分かるってことなんだろう。

2幕で、大方の予想通り、そのミュージカルが大ヒットする、という展開に。
必要以上に出資金を集めた二人の裏帳簿が、警察の手に渡り、マックスは裁判にかけられる。レオは、危機を逃れ、ウーラとリオデジャネイロに高飛びするが、マックスを見捨てていられず、戻って来て裁判の証人になる。
ここでの友情のナンバーと、その直前、これまでの経緯を思い出しながらマックスがレオを呪うナンバーの2つが特に印象に残った。

平日の夜公演だし、2階席に人がいただけでも十分なのかもしれない。
が、これだけ面白いミュージカル、もっと多くの人に知ってほしい、と、心から思った。
※公演情報

7/24まで厚生年金会館にて上演中。
脚本・作詞・作曲・プロデューサー:メル・ブルックス
共同脚本:トーマス・ミーハン
演出・振付:スーザン・ストローマン

マックス役のボブ・アマラルはブロードウェイで、「Guys&Dolls」のハリー・ザ・ホースを演じたこともあるらしい。

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  • ミュージカル「プロデューサーズ」
  • Excerpt: 先週、ブロードウェイ・ミュージカルで大ヒット作の「プロデューサーズ」を新宿で見たですが、大変面白かったです。
  • Weblog: 『トークるズ』イングリッシュ・クラブ!
  • Tracked: 2005-07-25 07:22