ミュージカル「スウィーニー トッド」観劇

ミュージカル「スウィーニー トッド フリート街の悪魔の理髪師」 原作:クリストファー・ボンド脚本:ヒュー・ホイラー作詞・作曲:スティーヴン・ソンドハイム演出・振付:宮本亞門 翻訳・訳詞:橋本邦彦訳詞:中條純子、宮本亞門音楽監督:山下康介指揮:渡邉晃司美術:松井るみ照明:佐藤啓音響:大坪正仁衣裳:前田文子ヘアメイクデザイン:馮啓孝歌唱指導:安崎求演出助手:河合範子舞台監督:二瓶剛雄、田中絵里子、広瀬泰久音楽アドバイザー:西野淳 <キャスト>スウィーニー・トッド:市村正親ミセス・ラヴェット:大竹しのぶ乞食女:マルシアアンソニー:山崎大輝、糸川耀士郎※ジョアンナ:唯月ふうか※、熊谷彩春ターピン:安崎求※、上原理生ビードル:こがけんトバイアス:武田真治※、加藤諒 市村正親と大竹しのぶ、芸達者なお二人の共演する舞台作品をこれまで避けてきたのには、わけがある。ホラー、苦手なんです。マジ大きらい。そんな私をブリリアに連れてきてくれたのは、糸川耀士郎くん先月、バスケットボールしてたような気がするんですが、(そちらもミュージカル)あっちもやりながら、こっちもお稽古していたのね… 2.5次元俳優と言われる方たちの中でも、「歌が上手い」と評判の糸川くん。いよいよグランドミュージカルに進出、ということで、苦手なホラー作品ではあるが、観劇。しかし、開始1分で心底後悔した。物語は、世紀末ロンドンに実在した殺人鬼の床屋をモデルに展開する。客の喉を髭剃り用のカミソリで掻き切って、その人肉を階下の肉屋でミートパイにして提…

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「ボイラーマン」観劇

赤堀雅秋プロデュース「ボイラーマン」 作・演出:赤堀雅秋舞台装置:池田ともゆき照明:佐藤啓音響:田上篤志衣裳:坂東智代ヘアメイク:林摩規子演出進行:松倉良子舞台監督:足立充章 <キャスト>中年男…田中哲司喪服の女…安達祐実老人…でんでん中年女…村岡希美喪服の男…水澤紳吾若い女…樋口日奈若くもない男…薬丸翔小柄な女…井上向日葵警官…赤堀雅秋 赤堀雅秋×本多劇場、わりとコンスタントに観ている気がする。 今回の作品は、過去に観た作品ほどヤバい人も出ていなくて(少々ヤバい人しか出ていないとも言う)、事件も起こらない。主人公の中年男は、たぶん、今夜のことを今後の人生で思い出すことはないような、そんな、なんでもない一夜の物語が、ちゃんとエンゲキになっている…というのが、素晴らしい。 村岡希美の、訊かれてないのに「独身なんです」と言っちゃう中年女のプチヤバい雰囲気や、喪服の男のカタギなのだけど、ちょっとヤバい感とか、小柄な女の醸し出す宗教感とか、彼女の語る「死」と、老人が恐れる「死」の徹底的に相容れない感とか、赤堀演劇の濃いエキスがあちこちに散りばめられている。それでいて、若い女と若くもない男が、うまくまとまってしまう展開は、あー、まだなんか知らない部分があったかも…と、興味深く感じた。 田中演じる中年男の「ここの人じゃない感」と、安達演じる喪服の女の「ここにしか生きられない感」が交差し、なんとも言えない人生の妙が浮かび上がる。ただ夜の道を歩く二人の世界をもっと見たかったが、それは心の中で想像するべ…

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