宝塚月組梅田芸術劇場特別公演「G.O.A.T」

Grand concert「G.O.A.T」~Greatest Of All Time~ 監修・演出:石田昌也構成・演出・振付:三井聡作曲・編曲:手島恭子、太田健、高橋恵、麻吉文振付:御織ゆみ乃、原田薫、Seishiro装置:木戸真梨乃衣装:有村淳照明:柏倉淳一音響:大坪正仁映像:栗山聡之小道具:加藤侑子歌唱指導:堂ノ脇恭子イリュージョン:北見伸演出助手:雑賀ヒカル舞台進行:阪田健嗣舞台美術製作:株式会社宝塚舞台演奏コーディネート:新音楽協会制作:真加部隼制作補:野田良昭制作・著作:宝塚歌劇団主催:株式会社梅田芸術劇場 ちけぴがお友達になってくれたので、今年初めての宝塚観劇は、大阪になった。退団を控えた月城かなとを中心とする月組のコンサートは2時間ノンストップ、充実した時間だった。 冒頭、映像からスタートしたのは、令和の時代のお約束…かもしれない。もう誰も驚かないが、舞台上の月城とその日の観客達が一緒に入った写真をスクリーンに見せるところから始まるのは、素敵なアイデアだな~と思った。よくファンミなどで一体感を高める演出に使われるが、最初から一体感がハンパなかった。 S1では、月城かなとの代表作を一挙紹介。「ダル・レークの恋」「ブラック・ジャック」「今夜、ロマンス劇場で」など、月組でのヒット作だけでなく、「銀二貫」「るろうに剣心」など雪組時代の作品も登場。過去作品の登場人物のパレードになって、超豪華もう少し長くやってもいいのに、その辺が月城の謙虚さということだろうか。 鳳月のハンサムガイを海…

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「ヘルマン」観劇

「ヘルマン」 構成・演出:川村毅 照明:南香織(LICHT-ER)音響:藤平美穂子(山下舞台音響)映像:御調晃司、菅沼智弥衣裳:伊藤かよみ(ぷりめーら館)ヘアメイク:川村和枝(p.bird)演出助手:小松主税舞台監督:鈴木輝美術・舞台監督:小笠原幹夫(劇工房双真) <出演>麿赤兒大空ゆうひ横井翔二郎 鶴家一仁村井友映朝田百合子キクチカンキ灘波愛小林彩和田華子村松えり笠木誠 JR吉祥寺駅から徒歩5分程度のところにある「吉祥寺シアター」。線路沿いのエリアから一歩奥まったところにあり、周囲には飲食店も多く、私は、遠かったので昼公演メインで観劇したが、観劇後の夜も楽しめそうなエリアだった。 劇場改札真上の外観。以前も何度か来たことがあったが、シンプルで見やすいすり鉢状の空間。建て込みがされているとわからないが、今回、舞台の奥行きもかなり広いことがわかった。客席数300弱。毎年年末に行っているMy観劇まとめでは「小劇場」に分類される客席数ですね。ただ、ベランダ状の2階席があり、天井が高いので、圧迫感がなく客席数以上に広く感じるよき空間。 さて、本作、主演は麿赤兒。演劇界の伝説的な方に、大空ゆうひがどんな風に絡むのか、お正月から攻めたチョイスだな~と、一抹の不安もありつつ劇場へ。 ポスターじゃなく、チラシを並べて掲示してある辺り、予算も厳しいのではなんて考えたり。 「ヘルマン」とは、かのノーベル賞作家、ヘルマン・ヘッセのことで、劇中、ヘッセの小説の一部が登場人物たちによって語られる。…

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「ある閉ざされた雪の山荘で」観劇

舞台「ある閉ざされた雪の山荘で」 原作:東野圭吾構成・演出:野坂実脚本:米山和仁 脚本協力:小原ゆか美術:仁平祐也照明:阿部将之(LICHT・ER)音響:竹下好幸、島村幸宏衣裳:清水喜代美ヘアメイク:黒田はるなアクション指導:藤田けん演出助手:高島大輝舞台監督:住知三郎 主催:ハピネット・メディアマーケティング、ノサカラボ <出演>久我和幸…室龍太中西貴子…大野いと田所義雄…加藤良輔元村由梨江…本西彩希帆麻倉雅美…入来茉里笠原温子…綾凰華雨宮京介…小南光司本多雄一…今江大地 東郷陳平…山寺宏一(声の出演) 映画と舞台が同時に上映/上演されるということで、両方見た人キャンペーンというのをやっているのを知り、直前に映画も鑑賞し、内容を頭に入れた上で観劇。この時点で、あやなちゃんが一番最初に消える人物ということがわかっていたので、ちょっと気分は下降気味。でも、本作、ほぼ原作通りの内容にもかかわらず、唯一と言っていい原作にない設定が、探偵役の久我が、第一の被害者を脳内でパートナーにして推理していくタイプの探偵だったこと。あやなちゃんの登場シーン、大幅アップ 犯人は俳優たちの誰か、という設定は、つまり、彼らの証言が演技かもしれないわけで、見ている方は楽しいが、演じている方は、役を演じるだけでなく、嘘の部分をそこに上乗せして演じなければならないので、演技プランがより大変になる。多重構造(演劇のオーディションという空間を利用した殺人劇と見せかけて…みたいな)になっているので、観客に理解させるのも大…

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「イザボー」観劇

ミュージカル「イザボー」 作・演出:末満健一 音楽:和田俊輔 美術:松井るみ 照明:関口裕二 音響:山本浩一 衣裳:前田文子 ヘアメイク:宮内宏明 音楽監督・編曲:桑原まこ 歌唱指導:西野誠 振付:三井聡、港ゆりか アクション指導:星賢太 演出助手:渋谷真紀子、高橋将貴 舞台監督:幸光順平 宣伝美術:岡垣吏紗 宣伝写真:中村理生 <出演>イザボー・ド・バヴィエール…望海風斗シャルル七世…甲斐翔真シャルル六世…上原理生ジャン(ブルゴーニュ公)…中河内雅貴オルレアン公ルイ…上川一哉ヨランド・ダラゴン…那須凜ブルゴーニュ公フィリップ…石井一孝 イザベル…大森未来衣ヴァレンチーナ…伯鞘麗名 フランス史上最も悪名高き王妃と言われる(らしい)イザボー・ド・バヴィエールの生涯を描いた日本発のミュージカル。…という謳い文句なのは、本作を海外に売り込みたいという希望があるのだろう。最近、世界的に発信されている韓国ミュージカルでも、欧米を舞台にした作品が多く上演されているし、日本発ミュージカルがフランス王妃の物語でも全然おかしくない。 時代は、14世紀末から15世紀初め、百年戦争の頃。現ドイツのバイエルン地方の公女、ヴィッテルスバッハ家のエリザベトが、フランス王・シャルル六世に見初められたことから物語は始まる。もしもーしでも、これは創作ではなく事実なので、あの一族は、皆様、なにか業を背負っているのかもしれないですね。こうして、ドイツ語圏から、慣れないフランスという外国にやってきた14歳の少女(これもどこかで…

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「シラの恋人」観劇

シス・カンパニー公演「シラの恋文」 作:北村想演出:寺十吾 美術:松井るみ照明:服部基衣装:前田文子音楽:坂本弘道映像:ムーチョ村松音響:岩野直人ヘアメイク:宮内宏明ステージング:小野寺修二舞台監督:芳谷研プロデューサー:北村明子 剣術指導:楠見彰太郎(座☆風流堂)、田村令 <出演>草彅剛、大原櫻子、工藤阿須加、鈴木浩介、西尾まり、明星真由美、中井千聖、宮下雄也、田山涼成、段田安則 「シラノ・ド・ベルジュラック」の翻案だと思って観に行ったら、「シラノ…」に「着想を得た」オリジナル戯曲だった。物語は、近未来の日本を舞台にしている。たぶん、十年ほど先の。コロナ禍などを経て、既存の抗生剤の効かない結核が「新たな死病」となった日本。各地に、患者を受け入れて療養させ、最期は看取るためのサナトリウムが出来た。鐘谷志羅(草彅剛)は、患者としてここを訪れる。山と海が見える美しい場所にあるサナトリウム。そこには、クセのある院長(段田安則)や、色々抱えていそうな看護師(西尾まり)がいて、個性的な患者もたくさん療養している。そんな中に、まだ若い女性の入院患者・野浦小夜(大原櫻子)がいる。志羅は、小夜の姿に、子供の頃好きだったテレビ番組の中の少女剣士の姿を見ていた。(志羅が小学校に上がったくらいの頃に10代の若手女優だったその役の女性は、20歳前に交通事故で亡くなっていた。) サナトリウムの学芸会(?)みたいなシーンが長々あって、その辺りで集中力が切れてしまった残念な私…「シラノ・ド・ベルジュラック」が脳内に…

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THE STAGE「HIGH CARD」観劇

THE STAGE「HIGH CARD」CRACK A HAND 原作:TMS・河本ほむら・武野光「HIGH CARD」 演出:山本一慶脚本:西森英行音楽:ただすけ美術:乘峯雅寛 舞台監督:今野健一 アクション監督:加藤学 振付:MAMORU 照明:大波多秀起 音響:宮城貴弘 映像:O-beron inc. 衣裳:摩耶 ヘアメイク:車谷結 特殊小道具:桜田卓 歌唱指導:藤川梓 演出助手:山口美絵 制作進行:麻田幹太 制作:尾崎裕子 主催:HIGH CARD the STAGE Project <出演>フィン・オールドマン…赤澤遼太郎クリス・レッドグレイヴ…丘山晴己レオ・コンスタンティン・ピノクル…石橋弘毅ウェンディ・サトー…七木奏音ヴィジャイ・クマール・シン…松田岳ノーマン・キングスタット…久保田秀敏ボビー・ボール…里中将道ミシェル・レッドグレイヴ…行天優莉奈チェルシー・ハモンド…明音亜弥バーナード・シモンズ…萩野崇 孤児院で育ったフィンは、立ち退きを迫られている孤児院を救うため、一攫千金を目指してカジノに向かう。そこでフィンは、クリス・レッドグレイヴと運命的な出会いを果たし、国中に四散した52枚のカードを回収する「ハイカード」のメンバーとなる。シリーズ第一作の今回は、フィンと仲間たちの背景と対抗する敵組織の存在が語られる。 「ミュージカル 憂国のモリアーティ」の西森-ただすけラインのお仕事だし、一慶くん(ルイス)初演出だし、くぼひでくん(アルバート)大活躍だし…奏音ちゃん(ハドソンさん)…

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花組次期トップコンビ決定!

花組 次期トップスター、トップ娘役について 2024.01.19 この度、花組 次期トップスターに永久輝せあ、次期トップ娘役に星空美咲が決定しましたのでお知らせいたします。 なお、永久輝せあ、星空美咲の新トップコンビとしてのお披露目公演は決定次第ご案内いたします。 思いのほか、発表、早かったですね。トップ人事って、順当の場合は「遅い」のが定番なので、意外…おめでたいことを出して、ファンのつらい毎日を和らげようとしてくれたのでしょうか。 フレッシュな新トップコンビになりますね。 おめでとうございます

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少年社中「テンペスト」

少年社中25周年記念ファイナル 第42回公演「テンペスト」 原作:ウィリアム・シェイクスピア脚色・演出:毛利亘宏 照明:斎藤真一郎音楽:YODA Kenichi衣裳:村瀬夏夜舞台美術:秋山光洋(n10design)舞台監督:横尾友広音響:井上直裕(atSound)振付:本山新之助アクション指導:栗田政明(倉田プロモーション)映像:森すみれヘアメイク:林美由紀演出助手:本藤起久子 原作者・シェイクスピアは、劇団の座付作家だった。新作の公演は、おそらく、上演時の劇団員に当てて配役されている。不自然に劇中で登場しなくなるキャラクターは、初演当時一人二役で配役されていたのではと言われているし、後年、演技経験の浅い少年が演じているはずのヒロイン役が複雑なキャラクターになったり、独白したり、エピローグを担ったりするのは、天才俳優が現れたか、大人になってもヒロインを演じられるような、日本で言うところの女形役者が育ったのか、それともこっそり禁断の女優が登場したか、研究者でなくても想像は止まらない。 シェイクスピア劇には、主人公やその相手役のようなメイン配役だけでなく、トリックスター、道化、脇筋の主役など、様々な役が配置され、劇団員のあっちにもこっちにも配慮しているな〜と感じることが多い。まさに、本作の作・演出の毛利さん他の舞台では普通にダントツで主演している鈴木拡樹、矢崎広、鈴木勝吾の三枚を煌びやかに揃えて、劇団員の井俣太良主演の一作を作ってしまうのだから。 私が観た回は、そんな毛利さんが、日替わり配役の亡…

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明治座「西遊記」

日本テレビ開局七十年記念舞台「西遊記」 脚本:マキノノゾミ 演出:堤 幸彦 音楽:植田能平 美術:松井るみ 照明:高見和義 音響:山本浩一衣裳:宮本宣子 ヘアメイク:川端富生 映像:髙橋洋人 ステージング:広崎うらん アクション:諸鍛冶裕太 演出助手:松森望宏 舞台監督:小川 亘 制作統括・プロデューサー:松村英幹 出演孫悟空…片岡愛之助三蔵法師…小池徹平猪八戒…戸次重幸沙悟浄…加藤和樹玉竜…村井良大紅孩児…藤岡真威人鎮元子…田村心玉帝・高伯欽…曽田陵介虎力大仙…小宮璃央高翠蘭…柳美稀鹿力大仙…押田岳羊力大仙…桜庭大翔銀角…山口馬木也金角…藤本隆宏鉄扇公主…中山美穂牛魔王…松平健 釈迦如来…藤原紀香(映像出演)ナレーション…神田伯山 さすが、日本テレビ70年記念舞台だけあって、出演者が豪華昨年、字は違うけど(by田村心)「最遊記」の外伝を観劇したので、天上の物語から始まったのも、胸アツ。猪八戒が天蓬元帥、沙悟浄が捲簾大将として登場するシーンもあって、それがあることで、ブタやカッパに見えないイケメンの彼ら…というのが、納得できちゃうシステムというのはあるものの、私は勝手に「最遊記外伝」を思い出して、盛り上がっていた。とにかく豪華キャストな上に、さらにお釈迦様=藤原紀香の巨大映像が登場。お釈迦様のてのひらの上で踊らされている孫悟空=片岡愛之助という設定が普通に笑えるのは、たぶん紀香様が本当は愛之助さんに献身的に尽くしているというのが伝わっているせいもあるんだろうと思う。 豪華キャストはさ…

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