宝塚月組バウホール公演「幽霊刑事」観劇

バウ・プレイ「幽霊刑事」 原作:有栖川有栖脚本・演出:石田昌也作曲・編曲:手島恭子振付:平澤智、AYAKO擬闘:清家三彦装置:稲生英介衣装:加藤真美照明:安藤俊雄音響:山本浩一小道具:福井良安嗣歌唱指導:山口正義演出助手:指田珠子、栗田優香舞台進行:阪田健嗣舞台美術製作:株式会社宝塚舞台録音演奏:宝塚ニューサウンズ制作:真加部隼制作補:西尾雅彦制作・著作:宝塚歌劇団主催:阪急電鉄株式会社 珠城りょうの「サヨナラする、その前に」というサブタイトルがついたバウホール公演、緊急事態宣言下という状況だったから、なのだろうか、有難くも観劇することができた。プログラムの演出家挨拶を読むと、「恋愛要素も匂わせつつ、鳳月杏とのバディー物の要素も…と依頼され」とある。恋愛相手は誰でもいいが(トップコンビのプレサヨナラ作品は、あえて別々に行われる。DSとMS開催が多い)、バディー相手は、鳳月杏限定なのか…なんか、胸アツである。珠城りょうの主演作品を、節目節目で手がけた石田先生。上田久美子と石田先生、ある意味両極端の演出家に育てられたからこそ、これだけの振り幅を持つスターになったのかもしれない。(ゆうひさんも、そういえば、節目節目で石田先生にお世話になっている。)(今、あらためてプログラムを眺めているが、裏表紙が…たまらん…) 刑事、神崎達也(珠城りょう)は、冒頭、上司の経堂芳郎(光月るう)に殺害され、幽霊になる。母(京三紗)も妹(結愛かれん)も婚約者の森須磨子(天紫珠李)も、幽霊になった達也に気がつかない。しか…

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違憲判決!

2021年、結婚制度に関するふたつの大きな訴訟が全国で展開されている。ひとつは、選択的夫婦別姓に関するもの、そしてもうひとつが、同性婚に関するものだ。 そして、今般、札幌地方裁判所において、同性婚を認めないのは「違憲」とする判断が示された。 憲法24条には、以下の記載がある。「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」 アンダーラインを引いた箇所に「両性」とあるため、同性婚を認めるためには、憲法改正が必要という意見もあるが、裁判所で合憲か違憲か判断する時は、その文言の意味だけでなく、その文言が「何を目的として書かれたか」まで、考察される。この文章の中では、憲法が作成された当時、同性婚は想定されていなかったので、「両性」と書かれている。このため、婚姻届を受理しなかったことは、憲法24条に違反するとは言えないが、14条(法の下の平等)に違反するという判断が下された。ちなみに、原告の請求(損害賠償)については棄却されている(原告敗訴)が、そもそもこの手の裁判は、裁判所に憲法についての判断を求めるのが本意であり、損害賠償請求は、形式的にされている(民事では、そういう形でしか裁判が起こせない)ため、実質勝訴と言える。 憲法14条の内容は、次の通り。「…

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映画「すくってごらん」

映画「すくってごらん」を見た。 エリート銀行員、香芝誠(尾上松也)は、左遷されて、奈良県大和郡山市の田舎の支店勤務となる。タクシーすら通らない田舎なのに、町の一角は、夜の華やぎが…色街かそこで香芝は、一人の美女(百田夏菜子)に出会い、心を奪われる。気がつくと、彼女に誘われるまま、金魚すくいにチャレンジしているのだった…え、金魚すくい金魚鉢が車体と一体化したような車を運転している謎の青年(柿澤勇人)とか、この町には金魚が溢れている。香芝は、先輩銀行員・川西(矢崎広)に連れられて、町のカフェ・バーを訪れる。やたら、ナポリタンの美味しいカフェには、女優の夢破れてUターンしてきた山添明日香(石田ニコル)がオーナーの兄を手伝っていた。香芝は、数分の滞在で、この店の問題点を指摘、改革に向けての提案を行う。落ち込んで、ダメダメになっているが、出来る男だったらしい。香芝が、金魚すくいという不思議なものに出合い、人前でピアノが弾けなくなった美女、生駒吉乃(百田)への淡い想いを昇華させて、東京に戻るまでの短い、夢のような日々を、ファンタジックな、音楽劇仕立てで紹介している。 謎のインターミッション(休憩している川西が一曲歌う)とか、脱力系の仕掛けが面白い。そして、見終わると、ナポリタンが食べたくなる。「すくってごらん」とナポリタン、無限ループである。  映画の帰りに、ナポリタンを出している店を発見できず、ありものを使って家で作ったもの。 ようやくお店で見つけたナポリタン。

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2021年公演ラインアップ(轟悠関連)

2021年 公演ラインアップ【梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演/東京芸術劇場プレイハウス公演】 2021/03/17 2021年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、【梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演/東京芸術劇場プレイハウス公演】の上演作品が決定しましたのでお知らせいたします。    星組公演 主演・・・(専科)轟 悠 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ:2021年7月9日(金)~7月15日(木)東京芸術劇場プレイハウス:2021年7月21日(水)~7月29日(木) 戯作 『婆娑羅(ばさら)の玄孫(やしゃご)』 作・演出/植田 紳爾 戯作というのは、江戸時代(18世紀後半)から明治時代までに創作された通俗小説などの総称だそうだ。(ウィキ先生いつもありがとうございます)植田先生が、このような角書を使用したのは、初めてじゃないかと思うが、前世紀の終わり頃、春日野先生の後継者として劇団に残ってくれるトップ経験者を探し続け、轟悠に白羽の矢を立てた植田先生が、その最後の芝居を書くということに、その時代を目撃してきた者として、何とも言えない気持ちがしている。 また、プレイハウスという場所で宝塚歌劇が上演されるのは、『THE LAST PARTY』(月組)の東上公演以来ではないかと思う。あ、当時は、東京芸術劇場中劇場という名前でしたね。なんと、15年ぶり…あれから、ゆうひさん、何度も東京芸術劇場にはお世話になっているけれど、行くたびに、あの時の東上公演を思い出してます   …

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轟悠退団!

専科 轟 悠 退団会見のお知らせ 2021/03/17 専科(特別顧問)の轟悠が、2021年10月1日付で退団することとなり、2021年3月18日(木)に記者会見を行います。 なお、会見の模様は当ホームページでもお知らせいたします。 トップから専科に移る時の会見で、「退団する気がありませんでしたので」と衝撃的な発言をしたのは、20年前のこと…か。なぜ、退団することになったのか、記者会見での発言を待ちたい。降臨公演とか、専科トップの功罪は、現代ならでは(春日野先生の時代に比べてトップさんの在任期間が短いから…)のブーイングを生んだが、最近は、若手との共演により、男役芸の伝統を継承しているな~と思うことも増えた。昭和・平成・令和と一線で活躍してきたスターの退団には、色々感じるところがあります。 それにしても…クロニクル作るの…大変だなぁ

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宝塚歌劇、さらに一歩前進!

公演における出演人数の変更ならびに新人公演の再開について 2021/03/15 宝塚歌劇では、昨年7月の公演再開以降、新型コロナウィルスの感染状況ならびに社会情勢に鑑み、感染予防の一環として、公演における出演者の減員ならびに新人公演の実施を見合わせておりましたが、直近の社会情勢や宝塚歌劇における定期PCR検査の実施や楽屋の改修など感染予防対策の進捗を踏まえ、以下の公演より出演者の人数を従来通りに変更するとともに、新人公演を再開いたします。 なお、今後の新型コロナウィルスの感染状況ならびに社会情勢に応じて、急遽変更となる場合がございますので、あらかじめご了承ください。    <対象公演について>月組公演『桜嵐記(おうらんき)』以降の宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演    <出演人数の変更について> 出演者の減員を終了し、全ての公演日時において当該組の生徒全員が出演いたします。    <新人公演について>公演日、キャスト、チケット販売方法等については、決まり次第、当ホームページにてご案内いたします。 ★新人公演の中止期間に鑑み、以下の公演については、特例として100期生を新人公演の最上級学年といたします。 ・月組公演『桜嵐記(おうらんき)』 ・宙組公演『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』 ・雪組公演『CITY HUNTER』 なお、現在、感染予防対策の一環として、オーケストラによる生演奏についても見合わせておりますが、オーケストラピット内の感染予防対策を…

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ブロードウェイ・オリジナルミュージカル「BARNUM」観劇

ブロードウェイ・オリジナルミュージカル「BARNUM」 翻訳・訳詞:高橋亜子 演出:荻田浩一 音楽監督:荻野清子 振付:木下菜津子、松田尚子  美術:乘峯雅寛 衣裳:木鋪ミヤコ(doldol dolani)  衣裳製作:大屋博美(doldol dolani) ヘアメイク:田中エミ  照明:奥野友康  音響:原田耕児 映像:新倉和幸、九頭竜ちあき  映像協力:ウォーリー木下 歌唱指導:満田恵子  稽古ピアノ:中原裕章 演出助手:坂本聖子  舞台監督:弘中 勲 宣伝:エイベックス・エンタテインメント  票券:インタースペース 版権コーディネート:東宝ミュージック 特別協力:木下サーカス 企画:シーエイティプロデュース 映画「グレイテスト・ショーマン」のモデルにもなったフィニアス・テイラー・バーナムの一代記をミュージカル化した作品。日本版は、今回が初演。感染症対策もあり、出演者を絞り、サーカスシーンは映像を駆使して上演。 バーナム(加藤和樹)は興行師だが、当時の興行は「見世物」なので、興行師は、つまり、詐欺師に近い。世界最高齢160歳の女性(中尾ミエ)を歌わせるとか、まあ、天性の嘘つきなのかもしれない。妻のチャイリー(朝夏まなと)は、夫をとても愛しているけれど、夫が嘘をついてお金を稼いでいることには、心の葛藤がある。バーナムは、妻をとても愛しているけれど、スウェーデン人歌手、ジェニー・リンド(フランク莉奈/綿引さやか)との熱愛事件なども起こしたりするし、妻の望むような、「まじめでまっとうな仕事…

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「ラヴ・レターズ」

7回目の「ラヴ・レターズ」。前回は、矢崎広×妃海風。感想は、こちらです。 「ラヴ・レターズ」は、アメリカに住む男女の約50年におよぶ手紙のやり取り、という設定の戯曲を、男女の朗読という形式で、ステージ化した作品。 今回の出演は、太田基裕×矢島舞美。 新しくなったPARCO劇場で「ラヴ・レターズ」を観るのは、初めてになる。前回は、草月ホールだったから。 今回、メリッサを演じる矢島は、℃-uteのメンバーだったとか。前職でちょっと関わったアイドルグループだけど、メンバーまではちょっと覚えてなかったでも、とってもキュートな女性でした1幕の終盤辺りの、畳みかけていくハイテンションなティーンエイジャー、メリッサの表現が、そうだよね、難しいよね…。あれは、年齢を経た女優の方が上手い気がする。この作品、朗読劇だけど、「自分の書いた手紙を読んでいる」設定で、読み進める部分がほとんどだ。手紙に書かれた内容は、その人の本心でもあり、飾った自分でもあり、強がった自分でもあり…。それを、どのテンションで読むのか、ということまでも含めた声の芝居になる。メリッサの手紙のテンションに引っ張られると、嘘くさい演技になるし、かといって素っ気なく読むと、演技が下手な人に見える。今回は、ちょっと手こずっているように感じられた。また、チャレンジしてね。 太田のアンディは、心優しい。男の子だなーと思える部分も随所にあるのだが、基本は、だれかを傷つけることが苦手で。それは、メリッサに対してだけでなく、両親に対しても…。だから、彼は…

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ポケットカレンダー発売!

今年も恒例のポケットカレンダーが発売される。 3月14日発売。全43種、1枚320円メンバーは下記の通り。 (専科)轟悠、凪七瑠海、星風まどか(花組)瀬戸かずや、水美舞斗、柚香光、優波慧、永久輝せあ、飛龍つかさ、聖乃あすか、華優希(月組)紫門ゆりや、鳳月杏、珠城りょう、月城かなと、夢奈瑠音、蓮つかさ、暁千星、美園さくら、風間柚乃(雪組)望海風斗、彩凪翔、彩風咲奈、朝美絢、綾凰華、真彩希帆、縣千(星組)天寿光希、愛月ひかる、礼真琴、瀬央ゆりあ、綺城ひか理、天華えま、極美慎、舞空瞳(宙組)真風涼帆、芹香斗亜、桜木みなと、和希そら、紫藤りゅう、瑠風輝、鷹翔千空、潤花 昨年のポケカレから、退団者のみつるが減り、トップ娘役に就任したじゅんはなちゃんが追加。専科が3、花組が8、月組が9、雪組が7、星組が8、宙組が8…ですか。次回は、新メンバー追加になるかな

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「キオスク」感想 その2

「キオスク」公演感想はこちらです。 こちらでは、出演者感想を書いていきたいと思います。 林翔太(フランツ・フーヘル)…先日、ミュージカル「EDGES」で観たばかり。連続での観劇になった。実は、この公演中に31歳になったらしい。もう、全然17歳な感じだったので、びっくりしたそれくらい、瑞々しくて素直なフランツだった。 橋本さとし(オットー・トゥルスニエク)…若い頃はけっこうやんちゃだったらしく、その頃、フランツの母・マルガレーテと知り合っている。第一次世界大戦の時に、塹壕の中で片足を失い、その後、キオスクの店主となって、そのことに誇りを持っている。彼の店の客には、共産主義者もユダヤ人もいるが、オットーは、すべて大事な客として対応し、そのことで、近所とトラブルになっても、決して引かなかった。橋本さんのオットーは、ちょっと強面で、でもとても優しくて、すごくかっこいい男を、内面がステキだからかっこいいんだよ…と、説得力をもって表現していた。そもそもかっこいい橋本さんが、内面のかっこよさを余すところなく表現しているところが、私的ツボでした 上西星来(アネシュカ)…フランツがプラーター公園で出会った少女で、フランツにとっては、初恋で初体験の相手。脚本によれば、太っている(ふくよか)らしいが、上西はむしろ痩せすぎな感じなので、ちょっと首をかしげてしまった。(ラブシーンで、上半身裸の背中を見せるので、特にそれを感じる)今回は、ものすごいレベルの演技陣の中に入ってしまったため、素人っぽさを感じる部分もあった…

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