「燃ゆる女の肖像」
映画「燃ゆる女の肖像」を見た。そもそもこの映画を見ようと思ったキッカケは、ポスターだった。「Portrait of a Lady on Fire」というタイトルが、女性の肖像にかぶって書かれている。実は、大学時代に、ヘンリー・ジェイムズの「ある婦人の肖像」(英題:The Portrait of a Lady)という小説を勉強していたことがあり、一瞬、その話なのかな、と思ったのだ。私が大学時代に勉強してた作品って、その後映画化される例が多くて、わりと簡単に信じてしまったのだが、まあ、一応、見に行く前にHPを確認し、ヘンリー・ジェイムズは全然関係ないということは、理解
このところ、女性の芸術家が自分の名前で作品を残すことが、昔はとても難しかった…という物語をあちこちで見るが、本作も、そういう女性がヒロインだった。18世紀末、30歳で独身のマリアンヌは、肖像画家だった。が、出来上がった作品は、父の名で納品または発表される。「本当は私が描いたんです」それは自己顕示欲とかではなく、もっと根源的な人間の魂の叫びのように思える。「ここに存在する私を、居ないもののように扱わないで」それって、現代でも、まだいろんなところに残っているなーと思う。
マリアンヌ(ノエミ・メルラン)は、離島の城に暮らす、伯爵夫人(ヴァレリア・ゴリノ)に雇われ、船で島に乗り込む。伯爵夫人の要請は、娘のエロイーズ(アデル・エネル)の見合い用の肖像画を描いてほしいということ。エロイーズは、結婚する気がなく、男の画家に肖像画を描かせることは失…