「最初の悪い男」

2018年に発行されたこの本のことは、全く知らなかった。ゆうひさんが、「群像」誌の中ですごい本だ、と紹介していて、まあコロナ禍の中、暇だしなーと、Amazonでポチってみた。それ以前から、私のツイッター上を賑わせている「掃除婦のための手引き書」もついでにポチった。両方とも訳は、岸本佐知子さん。昨年の「居心地の悪い部屋」以来、岸本さんの手になる本は、4冊目だろうか。 最初の悪い男 (新潮クレスト・ブックス) 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/08/24 メディア: 単行本 このタイトルで、どんな想像をするだろうか。最初に出会った悪い男に騙され、その影響で私の人生はこんな悲惨なものに…みたいな物語かと、私は思った。 主人公のシェリルは、NPO法人の職員。NPOでは、女性のための護身術を広める活動をしていて、20年くらい前は、ドラマ仕立てになっているシチュエーションごとの護身術ビデオを販売していた。(夜道で後ろから突然抱き着かれたら、こうするみたいな…)もう一人のヒロインであるクリーがシェリルの家の居候になった後、ひょんなことから二人は、このビデオの中のドラマと格闘を全部演じていくことになる。「最初の悪い男」というのは、そこに出てくるキャラクターのことだったのだ。え、なんで、それがタイトル タイトルのみならず、すべての展開が「え、そこ」「え、そうくる」で繋がれていって、最後まで行くと、主人公の人生が大きく変わっている。この小説を書くちょっと…

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