「今日もわからないうちに」その3
「その2」はこちらです。あらすじとゆうひさんへの感想を記載しております。
では、あらためて、その他の出演者のお話など。
舞台は、ものすごくシンプルな作り。シアタートラムの奥ゆきをほとんど使わず、真ん中あたりにホリゾントを置き、そこに映像を出して、場面転換の助けにしている。この映像は、ほっこり家族の物語から凄惨なラストシーンへ繋ぐ長めの劇中歌の場面などで使用されていた。頭上に屋根のような形で木材がセットされていて、舞台上にも、家の範囲という意味なのか、木材が置かれていて、これは場面ごとに出演者が動かしてシーンを作っている。シーンの数はわりと多いのだが、こんな感じで場面転換をするので、次のシーンへの転換がスムーズというか、むしろオーバーラップするように次の場面に転換していき、息もつかせない。そういう舞台のわりに、小道具の数は、わりと多い。出演者が持って出てくるもの以外は、舞台上に最初から置かれていて、この場面を最後にもう使わないものを、出演者が、セットの階段として開けてある奈落に落とし込んでいく。装置と呼べるものは、天井の屋根のような木材と、奈落からの階段くらいなのだが、木材のほかに大道具のようなものがふたつある。ひとつは洗濯機でもうひとつは冷蔵庫。しかし、洗濯機はなぜか流しとして扱われていて、冷蔵庫は横倒しにしてテーブルだったり椅子だったり恵の父を埋めるための地面だったりしている。この、「家具(というか白物家電)をそもそも有している機能として使わない」ことの不自然さが、芝居の緊張感に繋がっている…