Jun企画「Who am I?」観劇

「Who am I?」 作・演出:宮本紗也加照明プラン:倉本徹照明オペレーター:前木健太郎音楽協力(楽曲提供):竹下亮(OFFICE my on)、山本芳樹音響オペレーター:吉成奨人制作:Studio Life スタジオライフで、脚本・演出を担当する倉田淳氏の企画した、Jun企画。今回は、朗読シリーズ「言葉の奥ゆき」の2回目と、演出助手の宮本紗也加が書いた二人ミュージカルの上演という二つの企画を4日間でやってしまおう…という、さすが倉田さんな企画である。そんな無茶振り企画を、しっかり形にしてしまうライフの男たちが、私は大好きである。 若い演出助手の宮本さんの作品を上演しようとしたのは、スタジオライフという劇団を自身のライフワークに終わらせず、次世代ということを考え始めたのかな…と、思った。 作・演出が宮本さんで、出演は、Jr.11の若林健吾と、Jr.16に昇格したばかりの鈴木宏明。路上ライブをしている連(若林)の姿に感動して、彼を家に連れ帰る不思議な青年、奏(鈴木)。いささか、唐突で強引な導入部は、二人がほぼ同じタイミングで、他の人格に転換することで、納得に変わる。奏は、連の歌の中に、自分の抱えている不安に通じるものを感じ取ったのだろう。そう、二人は、いわゆる二重人格者(解離性同一性障害)だったのだ。連は、旬という人格に変わっている。オドオドした連と違い、明るくて人なつこい。奏は、律へ。彼は、解離性同一性障害について研究している。その研究費を捻出しているのが、奏。彼は元ホストのキャリアを生…

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上原まりさん…

初演シリーズの「ベルサイユのばら」花組公演で、マリー・アントワネットを演じ、「あかねさす紫の花」初演で額田女王を演じた上原まりさんが亡くなった。奇しくも4月に亡くなった順みつきさんとは同期。初演のベルばらシリーズ出演者の訃報は、憧れまくった世代として、とても悲しい。…てか、早すぎる 初代マリー・アントワネットの初風諄さんは、まさにフランスの女王、「ベルサイユのばら」という作品の女主人公だった。だって、初演の「ベルサイユのばら」開演アナウンスは初風さんだし…一方、上原さんのアントワネットは、恋する王妃、ヒロインだった。ゆえに、男役トップ至上主義が徹底されるようになった宝塚では、現代に続くアントワネットの系譜は、実は、上原さんの演技が元祖ではないかと思う。あの「アンドレとオスカル編」でのアントワネットは、フェルゼンとの恋の終わりに泣き崩れながら、ポリニャック夫人を諭し、フランスの女王としての道を選び取る、悲壮なヒロインの美しさがあって、今でもセリフを反芻するだけで心が震える。 そして、「マリー・アントワネットはフランスの女王なのですから」で一幕の幕が降りる展開こそ、私にとってはベルばらなんだけどな…そんなアントワネット様上原まりさんは、「娘役は若い方がいい」という劇団の価値観と戦った人でもあった。まあ、その価値観は、いまだにずーっと引きずられているけれど、娘役だって年月を重ねてこそ出る技量ってのがあるんだよ、ということを示した人で、それは、筑前琵琶という特技を持つ上原さんだからこそ…だったのかもし…

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