1995年から23年

阪神淡路大震災から23年、ということは、地下鉄サリン事件からも23年ということになる。若い人は、あの事件をリアルタイムで認識していないだろう。リアルタイムで認識していなければ、あの事件の珍妙さは伝わらないだろうな…と思う。悲惨さは伝えることができるとしても。 1985年の三浦和義逮捕から1995年のオウム真理教一斉摘発までの10年間は、犯罪のワイドショー化ともいえる時代だった。それは、終わったわけではなく、まだまだ続いているが、あの頃に比べれば、ナンボかましだと思う。それほど、あの時はひどかった。ある事件の犯人ではないか、と疑われる人々を、ワイドショーがスターのように日夜テレビでその動向をリポートし、夜には特番で本人たちを呼んで、真面目な番組では討論会を開催し、バラエティー番組ではアイドルのようにいじる…先方はカルト宗教の団体であるから、それも布教の一環…として、どんどんメディアに露出する。広報を担当していた青年などは、もはやアイドル並みの人気者だった。 一連の事件は、既に結審し、本日7人の死刑が行われた。私は個人的には死刑廃止論者なのだが、法律上死刑が存在し、既に判決が言い渡された以上、いつかは執行されるものだということも理解している。それでも今回の執行は異常だった。どんな凶悪事件であっても、(たとえば、連続幼女誘拐殺人事件の犯人でも)これまでは、死刑執行の翌日以降に、伝聞形式で新聞に発表されるのが常だった。ひっそりと執行し、遺体の引き渡しを済ませ、平穏になったところで世間に公表する…それが…

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