「カンパニー」あれこれ
月組公演「カンパニー」、脚本へのバッシングが止まらない。主にネット上のつぶやきなので、黒髪の貴公子・高野悠(美弥るりか)のように悠々と構えていればいい気もするが、石田先生、無駄に叩かれているような気もして、ちょっと気になっている。
「カンパニー」は原作の小説がある。 書いたのは女性の作家・伊吹有喜だが、主人公の青柳が、奥さんに愛想尽かされた40代半ばのサラリーマンで、会社人間が多く登場するため、非常におっさんくさい雰囲気の作品である。実のところ、宝塚で上演すると決まった翌日に原作本を購入し、半分まで読んだが、そんなに面白くないな…と思って途中で投げ出してしまった。この手の話(サラリーマンの意に沿わぬ出向と、その先での奮闘記)なら、池井戸潤の方が数倍面白い。しかし、実際に上演されてからあらためて読むと、これがどういうわけか、数ヶ月放置されて発酵・醸造したかのように面白くなっているからビックリする。石田先生が物語の交通整理をしてくれたことで、紆余曲折する小説のポイントがハッキリしたのかもしれない。
でも、設定は、原作小説の方が全部味があってよかった、とは思う。というか、ストーリーは同じでも、キャラ設定が変わると、そのストーリに納得性が低くなる…というか。その辺が、塩梅っていうヤツかもしれない。
青柳誠二(珠城りょう)は、「バツ1の40代半ば、しがないサラリーマン」という設定(原作では誠一。バレエ団での愛称は、それゆえにイチさん)だったはずが、なぜか、妻に先立たれた若きイケメンになっていた。珠城が…