「神々の土地/クラシカル ビジュー」感想
宙組東京公演感想、「クラシカル ビジュー」に行く前に、あらためて「神々の土地」について、もう少し感想を述べておきたい。公演中は、上田先生の脚本の素晴らしさと、イリナを演じた伶美うららのヒロイン像に心を打たれ、ほかのことに言及する余裕がなかったので、変な感想になってしまった。いささか箇条書きっぽい内容になるが、その他感じたことを残しておきたい。
ラスプーチン(愛月ひかる)の初登場シーン、子供なら夢に見るほどの怖さだった。愛月の二枚目をかなぐり捨てた体当たりのラスプーチンには、感動を通り越して震えが来るほど
上田先生がこの物語のヒロインは、イリナ一択である、と、どこまでも侠気(おとこぎって読むんですけどね。でも、私がこの言葉を前に使ったの、景子先生だったわ)を通す一方で、オリガ(星風まどか)にのみ銀橋渡りのソロを与える戦術には拍手を送りたい。劇団も黙るしかないし、観客も耳福で幸せだし。劇中でまどかちゃんの美声を聴けて(うららさまに積極的に歌ってほしいわけではない)ラストシーンは、朝夏&伶美の二人だけトップ娘役を置かず、伶美と星風を均等に扱うという(おそらく)劇団の方針通りに作りながら、作品の方向性をひとつも曲げていないあっぱれな構成に胸がスカッとした。そして、このことは、次期トップ娘役の星風まどかも救っていることに、注目したい。簡単に劇団に忖度し、退団する伶美より次期トップ娘役となる星風に寄った作品を作ってしまえば、伶美に同情的な観客は、その矛先を星風に向けてしまうからだ。星風の今後のためにも、伶…