「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」
バレエ・ダンサーのドキュメンタリー映画を見てきました。この映画は、全国一斉公開とかではなくて、少ないプリントを限定期間上映しては、全国ロードショーしている映画らしく、知人に「見たよ~」と言ったら、「え、今頃やってる映画館が」と驚かれた。7月くらいからやっている劇場も多かったのですね。
ポルーニンは、ウクライナ出身。1989年生まれとのことなので、生まれた時は旧ソ連がまだあったけど、彼がバレエの才能を発揮した頃には、ソビエト社会主義が崩壊した後だった…と。ソ連時代なら、才能さえあれば、貧しくてもピックアップされてボリショイバレエでスターになることが可能だったと思うけど、もはやそういうこともなく、セルゲイにバレエを続けさせるために、家族はバラバラに出稼ぎに行くことに。セルゲイは、家族の期待を一身に背負ってバレエを続ける。その甲斐あって、史上最年少でロイヤルバレエのプリンシパルに就任。でも、その裏で両親は離婚し、セルゲイは、レゾン・デートルを失ってしまう。上半身裸で踊ることも多いバレエ・ダンサーでありながら、全身に入れ墨をしたり、突然ロイヤルを辞めてしまったり。モスクワで再び活動をしたかと思ったら、引退宣言したり。
踊ることを神から運命づけられた人間だけが持つ孤独。とはいえ、とにかく彼が踊る姿は圧巻。もちろん、映像の焦点がセルゲイに当たっていることもあるのだが、バレエの映像でありながら、プリマ・バレリーナに全然目が行かない。神の跳躍地上に降りた天使一人の人間として大いに苦悩するセルゲイと、今そこで神…