「ルート64」ミニ感想
演劇ユニット ハツビロコウ#4「ルート64」
作:鐘下辰男演出・上演台本:松本光生照明:中佐真梨香(空間企画)音響:日陰可奈子宣伝写真:スイヤスモリ(Sui_Photografica)演出助手:大木明チラシデザイン・制作:岩野未知
1989年11月に発生した弁護士一家殺害事件の顛末をフィクションとして再構成した作品。登場人物の氏名や年齢構成、人数も男女比も変えてある。誰があの教団の誰、ということではなく、もっと普遍的にとらえてほしいということだろうか。メンバーは、次の4人。全員、ある宗教団体のメンバーだ。元小学校教諭の宮田(松本光生)。一番早く出家している。家族を亡くして入信したらしい進藤(高川裕也)。知的障害を持つ兄を亡くした過去を持つ谷村(藤波瞬平)。そして唯一の女性である元看護師の片桐(岩野未知)。この中では、片桐と新藤が幹部、宮田は「あの人」のおぼえがめでたくなく、谷村は出家してまだ3ヶ月、これが最初の大きな「ワーク」という設定。芝居は、時系列に進むのではなく、行きつ戻りつしながら、過去の重大な教団内部の事件を再現したり、それぞれのメンバーの来し方の独白があったり、今回の事件の再現があったり…。それらの事件が、かつて彼らが社会の一員であった頃の記憶を呼び覚まし、どんなに修行してもワークをこなしても、人は人である限り解脱なんてできない現実を突きつける。
舞台上には車が1台。そこに4人の人間が乗っている。教団を糾弾する瀬川弁護士に対して「あのひと」からの命令が下りる。仕事帰りを拉致して殺…