「葛城事件」

公開当時、上映館が少なくて、結局、見られなかった「葛城事件」。WOWOWが放映してくれて、ようやく見ることができた。 映画「64」でも大絶賛した三浦友和が凄いんだ、これが。 「葛城事件」というタイトルは、葛城稔(若葉竜也)が起こした事件、というふうにも取れるが、映画を見ていると、稔の父である葛城清(三浦友和)の存在が、「事件」じゃないか、という気になってくる。清は、妻・伸子(南果歩)の父のやっていた金物屋の後をついだ。たいして大きな仕事ではないが、それでもマイホームを建てた。まだ二人の息子は小学生。その頃の幸せな一家の映像がほんの少しだけ映る。もちろん、現在の三浦と南が演じているのだが、(子供は子役)アップになっても30代の精悍なパパにしか見えない三浦友和。どうなってるのそれでいて、事件後の清のイケてなさぶりは、本当に唾棄したくなるほど。ここまでの変貌は、どこから来るのだろうか。いや、事件の少し前、「イヤな奴」としか言いようがない清の態度も忘れ難い。これが、「64」の捜査一課長と同一人物だろうか。この作品で三浦は、主演男優賞をあちこちで受賞しているが、まさに迫真のイヤな男っぷりだった。 永遠の二枚目、三浦友和が、息子への不安を払拭しようと妻に抱きつくと、激しく拒絶されたあげく、「あなたのことがずっと嫌いだった」とか言われちゃうなんて…。それだけじゃなく、事件を起こした息子と獄中結婚した死刑廃止論者のちょっと変わった女性・星野(田中麗奈)が、死刑執行を伝えに来てくれたら、彼女を押し倒そうとする…

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