「カントリー」の裏側(3)

ゆうひさんご出演の「カントリー」、その台詞の向こう側の世界をもう少し考えてみたい。(2)はこちらです。 そんなこんなしているところへ、ソフィーから電話が入る。電話にはコリンが出て、あれこれと話し出す。子供たちは元気かと聞いたり、リチャードからプレゼントに靴を貰ったことを話したり。 すると、リチャードは、電話口で話すコリンのところにやってきて、後ろから抱き締め、髪にキスなどしてくる。電話口からソフィーに聞かせるようにかな…と思ったのは、私だけだろうか コリンの方は、リチャードがふざけていることは理解し、嫌悪感を示してはいないものの、彼のハグやキスに1ミリの反応も見せないし、むしろ、うざっ!という空気を醸し出す。 ここでも、TPO関係なく欲情したり、性的なことを仄めかすリチャードに対して、朝や昼だったり、人前だったりでは、そういうことはおくびにも出さないコリンの対比が鮮やかだ。 英国は、世界でも性的な抑制度の高い国だったとか。(20世紀に読んだ本の情報なので、現代は少し違うのかもしれない。)厳格な家庭に育ったであろうコリンは、両親の過干渉に腹を立てているようだけど、家庭における父親と母親の立ち位置、というか、子どもの前で、どれくらい、いちゃつけるかみたいな部分は、両親から受け継いだものが、わりとそのまま出る部分じゃないかと思う。とはいえ、コリンの場合、それだけでもないようで。というのは、昼間からベタベタするのはイヤ、とか、よくないと思う、という考えの持ち主であっても、実際に愛する人からハグされたり…

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宝塚雪組東京公演「幕末太陽傳」観劇

かんぽ生命ドリームシアターミュージカル・コメディ「幕末太陽傳」~原作 映画「幕末太陽傳」(C)日活株式会社監督/川島雄三 脚本/田中啓一、川島雄三、今村昌平~ 脚本・演出:小柳奈穂子作曲・編曲:手島恭子音楽指揮:寺嶋昌夫振付:花柳寿楽、若央りさ殺陣:清家三彦装置:大橋泰弘衣装:加藤真美照明:勝柴次朗音響:大坪正仁小道具:増田恭兵歌唱指導:山口正義三味線指導:今藤和歌由演出助手:栗田優香装置補:稲生英介舞台進行:庄司哲久 早霧せいな&咲妃みゆコンビの退団公演は、落語を題材とした古い日活映画を原作にした「幕末太陽傳」。この意外すぎる作品で、トップコンビは鮮やかに宝塚を去って行った。 脚本・演出は、現在、劇団の中で最も信頼できる演出家の一人である小柳奈穂子先生。思えば、このコンビの大劇場お披露目公演も、小柳先生の「ルパン三世」、以来、雪組は、5作連続稼働率100%超という記録を達成する人気組に成長したのだった。そんな小柳先生の脚本・演出による、サヨナラ公演は、決して守りに入るのではなく、新しい宝塚の可能性を示す「楽しい」公演だった。 東海道五十三次、お江戸日本橋を出て一番最初の宿は品川。しかし、日本橋から品川なら江戸時代でも数時間で踏破できてしまう。こんな中途半端な場所にある宿に泊まる人々は、もちろん旅人ではない。ここ、品川の宿には、北の吉原と並ぶ、でっかい歓楽街があった。  以前、東海道五十三次を歩くイベントに参加した時、品川宿にも立ち寄りました。こちらが、土蔵相模の跡地。現在は普通の民家(…

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ミュージカル「ビリー・エリオット」観劇

ミュージカル「ビリー・エリオット」 <ロンドンオリジナル・クリエイティブスタッフ> 脚本・歌詞:リー・ホール 演出:スティーヴン・ダルドリー 音楽:エルトン・ジョン 振付:ピーター・ダーリング 美術:イアン・マックニール 演出補:ジュリアン・ウェバー 衣裳:ニッキー・ジリブランド 照明:リック・フィッシャー 音響:ポール・アルディッティ オーケストレーション:マーティン・コック <日本公演スタッフ>演出補 : サイモン・ポラード 振付補 : トム・ホッジソン 音楽監督補 : スティーブン・ エイ モス 翻訳:常田景子 訳詞:高橋亜子 振付補:前田清実 音楽監督補:鎮守めぐみ 歌唱指導:山川高風 照明補:大島祐夫 音響補:山本浩一 衣裳補:阿部朱美 ヘアメイク:前田節子(StudioAD) 擬闘:栗原直樹 演出助手:西 祐子、伴・眞里子、坪井彰宏 舞台監督:徳永泰子 技術監督:小林清隆 プロダクション・マネージャー:金井勇一郎 コーチ協力:Kバレエ スクール、Higuchi Dance Studio、コナミスポーツクラブ ずいぶん前からこのミュージカルのことは聞いていたのだが、観るのは初めて。複数キャストの多い公演だが、私の観たキャストは以下の通り。 ビリー:木村咲哉お父さん:増岡徹ウィルキンソン先生:柚希礼音ビリーのおばあちゃん:久野綾希子トニー:藤岡正明ジョージ:小林正寛オールダービリー:大貫勇輔マイケル:城野立樹デビー:佐々木琴花トールボーイ:山城力スモールボーイ:岡野凜音貸切公演だ…

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「世襲戦隊カゾクマンII」観劇ミニ感想

プリエールプロデュース「世襲戦隊カゾクマンII」 作・演出:田村孝裕(ONEOR8) 音楽:石山理美術:田中敏恵照明:稲葉直人(ASG)音響:今西工(山北舞台音響)映像:ワタナベカズキ+CO2舞台監督:金安凌平衣裳:竹内陽子ヘアメイク:奥野展子演出助手:中込里菜主催:株式会社プリエール助成:芸術文化振興基金 パート1を観ていないのですが、スタジオライフで先行予約があったので、思わず取ってしまいました曽世海司氏ご出演の「世襲戦隊カゾクマンII」。「世襲戦隊カゾクマン」は、日曜朝7時半からやっている、あの戦隊シリーズのメンバーが、全員家族だったら?という設定の芝居らしい。カゾクマンは、地球防衛軍の日本支部にあたり、敵は、ミドラ―(西山水木)という女怪人で巨大化できる。ミドラ―は、父・ヒドラーをカゾクマンに殺されている。(どうやら、敵も世襲らしい。)ミドラ―の部下の最下層はジョッカーという全身タイツマンで、怪人たちは改造手術によって怪人になっているので、この辺の設定は仮面ライダーのようだ。さて、かつては、日本のヒーローだったカゾクマンも、寄る年波には勝てず、腰痛治療にマッサージチェアを購入したところ、防衛費の私的流用だとして謝罪会見を行うことになってしまった…ってなところから、物語は始まる。記者会見は、実は、ミドラーの配下であるイーゲン(塚原大助)が仕切っているので、カゾクマン糾弾大会みたいになってしまう。さらに、昨今の法律改正(野党に“戦争法案”とか言われているアレです)は、日本が地球防衛軍を離…

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「琥珀色の雨にぬれて」「CAPTAIN NEMO」配役発表

雪組別箱公演の配役が発表された。まずは、「琥珀色の雨にぬれて」から、前回の星組全国ツアー公演と比較しつつ記載していきたい。 役名 出演者 2012星 クロード・ドゥ・ベルナール公爵 望海 風斗 柚希 礼音 シャロン・カザティ 真彩 希帆 夢咲 ねね ルイ・バランタン 彩凪 翔 十輝 いりす フランソワーズ・ドゥ・プレール 星南 のぞみ 音波 みのり *~*~* シモーヌ 梨花 ますみ 毬乃 ゆい ジョルジュ・ドゥ・ボーモン伯爵 奏乃 はると 十碧 れいや ソフィー 早花 まこ 万里 柚美 エヴァ 沙月 愛奈 花愛 瑞穂 イヴォンヌ 千風 カレン 優香 りこ ポワレ 透真 かずき 千寿 はる ミッシェル・ドゥ・プレール伯爵 真那 春人 鶴美 舞夕 フレデリーク 煌羽 レオ 翔馬 樹音 カトリーヌ 杏野 このみ 紫月 音寧 シャルル・ドゥ・ノアーユ子爵 桜路 薫 壱城 あずさ アルマン 天月 翼 真月 咲 エレーヌ 白峰 ゆり 若夏 あやめ アルベール 橘 幸 天寿 光希 ジュヌヴィエーヴ 妃華 ゆきの 五條 まりな テレーズ 華蓮 エミリ 毬愛 まゆ セルジュ 鳳華 はるな 海 隼人 エ…

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「カントリー」の裏側(2)

ゆうひさんご出演の「カントリー」、その台詞の向こう側の世界をもう少し考えてみたい。(1)はこちらです。 第5部は、2ヶ月後の朝、ということもあって、1~4部とはすっかり様相が変わっている。 ここまで出てこなかった情報がたくさん盛り込まれている前半。夫の事件によって少々心を病んでいる風ではあるが、美しい妻として登場していたコリンの意外なキャラクターがここで明らかになっていく。 その前に、第4部のレベッカの「物語」について、少し復習しておこうと思う。 レベッカは、夫婦の子どもたちの顔を見たい、と言った。そして、子どもたちがもし目を覚ましたら、おとぎ話を聞かせてあげるから大丈夫だと言う。それは、男として、父としてのリチャードを震え上がらせる。 どうしても、あなたの子どもが見たいとか懇願する愛人って、それだけで怖いですよね。リチャードも、子どもに何かされたら…って思ったのだろう、本能的に震える。 (自分が彼女に何をしたか、ということは、すっかり忘れて…)そして、そこでレベッカが語り出す「おとぎ話」が、またまたリチャードを震え上がらせる。 二人の出会いは、レベッカがまだ少女だった頃らしい。ということは、アメリカ人と言いつつ、レベッカはイギリスで学生生活を送っていた人なのかな。家族もイギリスに住んでいるのかもしれない。 彼女は、最初、「病気だからお薬がほしい」と言って、リチャードの診察室を訪れ、その時は、にべもなく追い返されたらしい。 なぜ、レベッカはリチャードの診察室を訪れたのか。彼女の友人の間で、あの…

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トラックバック機能提供終了

先日、行ってきた落語会の感想をアップしました。こちらです。 【重要】トラックバック機能提供終了 いつもご利用いただきありがとうございます。 トラックバック機能について、ご利用者数の減少に伴い、送受信ともに2017年8月3日(木)に終了とさせていただきます。 ご利用いただいておりました皆様におかれましてはご不便おかけし申し訳ございません。 何卒ご了承くださいますようお願いいたします。 なお、トラックバックの送受信機能は終了いたしますが、既存のトラックバックは消去されません。 ※機能終了時点で未承認状態のトラックバックは表示されなくなります。 1.終了機能  トラックバック機能(送受信ともに) 2.終了予定日  2017年8月3日(木) 今後ともサービス向上に努めてまいりますので、ご理解いただけますようお願い申し上げます。 ブログというウェブサービスが始まった時、「トラックバック」機能で、他のブログと繋がるということが、この新しいメディアの特長という風に言われていた。もう、どういう機能か知らない人の方が多いかもしれないですね。 ツイッターでいうところの、引用リツイートみたいなものかな。このトラックバックを他のブログに対して行うことで、「あなたのブログについての記事を書きましたよ」というお知らせをブログ主に伝えることができる、というシステムなのです。あるいは、私のブログ記事、あなたのブログ記事と同じテーマを取り扱っていますよ、みたいなこともあるかな。見知らぬ人とこのシステムでつながれる…

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宝塚星組梅田芸術劇場メインホール公演「オーム・シャンティ・オーム」観劇

マサラ・ミュージカル「オーム・シャンティ・オーム~恋する輪廻~」 脚本・演出:小柳奈穂子作曲・編曲:青木朝子振付:御織ゆみ乃、AYAKO、KAZUMI-BOY殺陣:栗原直樹装置:二村周作衣装:有村淳照明:笠原俊幸音響:大坪正仁小道具:西川昌希インド舞踊指導:野火杏子歌唱指導:彩華千鶴映像:奥秀太郎演出助手:野口幸作舞台進行:阪田健嗣舞台美術製作:株式会社宝塚舞台録音演奏:宝塚ニューサウンズ制作:西山晃浩制作補:中下駿制作・著作:宝塚歌劇団主催:株式会社梅田芸術劇場 1月に東京で上演されたプレお披露目公演「オーム・シャンティ・オーム」を大阪でも上演することになった本作品、トップコンビ以外の配役が大きく変わったことも話題となっている。この公演をさっそく観に行って来ました。なお、前回公演の感想はこちらです。 内容は、1月公演の通りなので、あらすじ等は、上記感想を読んでいただければ幸いです。 ということで、さっそく、出演者感想を役替り中心に。まず、なんといっても、ムケーシュ役に七海ひろきについて。 ムケーシュは、悪役。どこをとっても「悪」なキャラクター。そんなムケーシュを、まさかの、説得力のある「悪」として造形してきた「脚本の読み込み能力」と「演技力」には、脱帽。まあ、演技力については、前から感じていたものの、芝居が盛り上がったところで歌になる、という宝塚では、そこでだいぶトーンダウンしてしまっていた。しかし、スカピンを経ての今回、すっかり歌えるようになったかいちゃん、特に2幕のソロが素晴らしく…

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宝塚星組シアター・ドラマシティ公演「阿弖流為」観劇

「阿弖流為―ATERUI―」 原作:高橋克彦「火怨 北の耀星アテルイ」(講談社文庫)(C)高橋克彦/講談社 脚本・演出:大野拓史作曲・編曲:高橋恵、玉麻尚一振付:峰さを理、平澤智殺陣:清家三彦装置:新宮有紀衣装:河底美由紀照明:氷谷信雄音響:実吉英一小道具:増田恭兵歌唱指導:KIKOサウンドプログラマー:上田秀夫映像:九頭竜ちあき演出助手:生駒怜子舞台進行:荒金健二舞台美術製作:株式会社宝塚舞台録音演奏:宝塚ニューサウンズ制作:西山晃浩制作補:中下駿制作・著作:宝塚歌劇団主催:株式会社梅田芸術劇場 スケジュールの関係で、たった一度だけの観劇になりました。 が、30名の星組生を見事に使い切った大野先生の渾身の傑作、しかと受け止めました あまりの感動で、友人としゃべり続け、飲み続け、翌朝起きたら、声が出なかった…という(笑) 桓武天皇(万里柚美)の時代、北方の蝦夷(えみし)を殲滅しようとする平安貴族に対して立ち上がった阿弖流為(礼真琴)たちの戦いの歴史を丁寧に描いた物語。やがて、朝廷は坂上田村麻呂(瀬央ゆりあ)を征夷大将軍に任じ、最終決戦の時が近づく。そして…。 桓武天皇といえば、平安京に遷都した天皇。遷都は794年。鳴くよウグイス平安京。平安京は、四神相応の地らしく、そこに遷都した桓武天皇は風水的なものに頼っていたのかもしれない。とすれば、鬼門は気になるハズ。鬼門といえば艮(うしとら)。京都から見ると、それって東北地方になるらしい。まあ、そんなわけで、東北平定を命じたんじゃないか、なん…

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宝塚月組大劇場公演

  劇場ロビーの花は、公演をイメージしたものでしょうか。銃士隊のメンバーは、ブルーのデニム地コスチュームなので、色合いはこんな感じ。 また、1F席後方扉前で、ベルフォンテーヌという白ワインと、ベルフォンテーヌを使ったカクテル「Soleil(太陽)」を販売。 私は、ネーミングから「Soleil」の方を選びました。ベルフォンテーヌは、ガスコン地方(ダルタニアンの出身地)のワインのようですね。  さて、小池先生ご自身がプログラムにさっくりと書いているので、例の話は、ネタバレではない、と判断して書きますね。 冒険活劇、というジャンルになると思うのですが、いや、もう、完璧に面白かった~! 17世紀だから…なのか、NPO法人もエコホテルもマッドサイエンティストもいなくて、宝塚ファンにはおなじみのルイ14世時代の宮廷と三銃士の世界が、ごく普通に融合しているという…。三銃士は登場するけど、物語はデュマの三銃士とは別物。こういう創作世界は、ありかもしれない!と、感動した。 それぞれのキャラクターが、月組の各生徒に見事にアテ書きされ、1本物の長い物語が、まったく飽きずに進んでいく。 なにか、奇跡?手品?を見せられているような3時間だった。 小池先生すごいわーと感動しきりだったが、これ、珠城りょうが主演じゃなかったら、こんなに素直に感動したかなという気も少しする。現役生で比較するのはまずいから、たとえば、大空さんだったら…最終的にはどうにかするかもしれないけど、ハッピーなミュージカルにするために、すごくエネ…

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