新聞報道の用語

三笠宮崇仁殿下が亡くなられた、というニュース速報を見て、不思議に思ったこと。私が見た限り、ほとんどのニュースが、「三笠宮さま、ご逝去」という見出しを使っていた。その中で、産経新聞だけが、「薨去(こうきょ)」という見出しを使っていたので、「おや」と思った。それで、昭和天皇崩御の際の、見出しを思い出したのだ。あの時は、ほとんどの新聞が、「天皇陛下、崩御」という見出しを使っていた。その中で、沖縄の新聞社が「ご逝去」という言葉を使っていて、沖縄は、昭和天皇に複雑な気持ちがあるんだろうな…と、昭和という時代の重みを感じた。人が亡くなったという場合、このように記載する、ということが、中国の古典「礼記」という書物に記されている。日本でも、これに準じる形で書物が作られている。日本の文書は、主語が省略されることが多いが、同じ「死」でも、身分によって表現が違うことを使って、これは誰についてのことを書いている、と推定したりしているとか。その慣例に従うと、天皇陛下の叔父にあたられる、三笠宮さまについては、薨去と呼ぶのが正しいことになる。とはいえ、本来「崩御」を使うべき皇太后であった香淳皇后についても、すでに「ご逝去」とした新聞報道が多かったそうなので、(私もご逝去と書かれていたのを覚えている)今は、天皇陛下のみ「崩御」とし、それ以外の皇族については「ご逝去」にしているのかな、と感じた。そのことに異を唱える向きもあるようだ。産経新聞も一石を投じるつもりで、「薨去」を使ったのだろう。でも、「薨去」を使うべき相手は、なにも皇族…

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